第32話【Lying】
疲れからは逃れられない
フロアを彷徨い階段を見つけ登り、 早50階は登った。
その時点でロダンに疲れが見え始めた。
「なんだか疲れて来た・・・寝たい」
「敵は居ないのは分かるだろ?」
「うん、 周囲に命の気配は無いし、 寝ようかな」
横になるロダン、 そしてそのまま眠りに着いた。
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ロダンは夢を見ていた。
のんびりと牧羊的な風景が広がる村でのほほんと過ごす自分。
目線から見て自分は子供になっている様だった。
麦畑が広がっている。
「おーいロダン、 ■■■■■おばさんがケーキ焼いてくれたから来いよー」
少年の声が響く、 誰の声だろうか。
「にょー」
でぶ妖精の声がする。
「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」
「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」
「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」「にょー」
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そこでむくりと起きるロダン。
「・・・・・」
周囲を見渡すと小さなでぶ妖精達に取り囲まれている。
「えぇ・・・何、 如何したの?」
「食べ物を分けて頂けるとありがたいにょー」
勝手に荷物漁りをしない善良で友好的なでぶ妖精の様だ。
「何でこんな場所にでぶ妖精の群れが・・・」
「我々は苔とか食べて暮らすでぶ妖精なんだけど偶には苔以外も食べたい」
「外に出たら?」
「流石に50階も登るのはちゅらい・・・」
「だったらもっと浅い階層に住めばいいだろう」
「浅い階層だと熊さんにぽーん、 される」
恐らく熊に殴られて吹き飛ばされると言う事だろう。
「・・・・・とりあえずジャーキーが有るからそれを食べると良い」
「ありがてぇありがてぇ・・・」
でぶ妖精達は沢山居たが小さかったので
数枚のジャーキーを渡したら満腹になって大人しくなった。
「食べ物をくれた御礼に枕とお布団になるにょー、 のっかってー」
そう言って敷き詰まるでぶ妖精達。
ロダンはその上に横になる、 にょーにょー言っているがとても柔らかい。
「変な事になったなロダン」
デッドが横でニヤニヤしている。
「うん、 だけど一つ学んだよ」
「何だ?」
「僕の命を察知するスキルはでぶ妖精には通じない」
当然である、 生き物を探知する方法ではでぶ妖精は観測出来ない。
もしもロダンがスキルででぶ妖精を感知出来る様になったら
大気中のウイルスまで感知出来てしまい情報量の多さに頭が破裂するだろう。




