第165話【Nostalgia】
懐かしさがこみ上げる
ロダンとバンテージ達はロダンの取った部屋で話し合いを続けていた。
「ロダン、 どうしても俺達と一緒に来てくれないのか?」
「えぇ、 僕は今のパーティに満足しています」
バンテージの言葉に返すロダン。
「だがしかし・・・俺達はオーギュスト王国の勇者パーティだぞ?
戦力的にはこっちの方が上だし色々と手厚いサポートも・・・」
「そう言う事じゃないんです、 勇者は確かに強い
でも責任も重いと思うんです」
「責任?」
「僕は人を治療し、 アンデッドを浄化したい
でも勇者パーティになったら好き勝手に出来ないじゃ無いですか」
「・・・確かにな」
思う所があるバンテージ。
「お前とこの街で久々に出会ってから昔の夢を見る様になったよ」
「?」
「昔、 俺とバンドとエイド、 そしてロダン、 お前とで一生懸命に冒険したりして
辛い事も多々在ったし、 金も装備もまるで足りなかった、 でも希望が有った」
遠い目をするバンテージ。
「あの頃は楽しかった」
「僕は覚えていません」
「・・・・・そうか」
物悲しい顔をするバンテージ。
「貴方は僕を追い出した、 それに関しては恨みは有りませんが
それに対する責任は貴方は持たなければならないと思います」
「そうだな・・・」
「未来を見ましょうよ、 回復役なら他にも一杯居ると思います」
「・・・・・」
バンテージは立ち上がった。
バンドとエイドも後に続く。
「今回の戦いでテック爺も俺に武器を作ってくれる事になった」
「それはおめでとうございます」
「その武器を持ってオーギュスト王国の王都アウグストゥスに帰ったら
新しく回復役をパーティに入れる事にするよ」
「そうした方が良いですよ」
「そうだな・・・今度手紙を書くよ、 住所は?」
「カリーの街です」
「そうか・・・」
バンテージは晴れやかにロダンの部屋から立ち去った。
「ロダン、 そろそろ出発するよ」
入れ違いに花子達がやって来た。
「分かりました」
「所でさっき勇者が晴れやかな顔をして去って行ったけど・・・」
「吹っ切れたんでしょうね、 良かったです」
「爽やかな顔しちゃってぇ、 ホントは名残惜しいんじゃないの?」
「少し残念ですよ、 彼等の感じる懐かしさを共有出来なくて・・・残念だ」
少し悲しそうに、 それでいて楽しそうにロダンは言ったのだった。