第164話【Hype】
勇者の方が映える
王が消えて静寂が残った。
「・・・終わった、 のか?」
バンテージがぽつりと呟いた。
「周囲にアンデッドは居ない、 終わりました」
ロダンが答えた。
「そう・・・か・・・」
バンテージが脱力して地面に座り込んだ。
「メテオストライクを使わずに済んで良かったよ・・・」
エイドがほっ、 とため息を吐いた。
「これもワシの杖のおかげじゃな!!」
テックはわっはっはと笑っていた。
その後、 自警団が街に避難勧告を取り下げた。
四天王を倒した事は凄まじく大反響を巻き起こし
ロダンとバンテージ達は取材を受けたのだった。
「納得が行かない」
宿屋の取った部屋でぶーたれるカリエ。
「また言っているよ・・・」
「だってそうでしょ、 何この新聞記事
【勇者バンテージのパーティ【白紙の冒険記】が冒険者パーティと協力して
四天王の一角『王』】を撃破って明らかに可笑しいでしょ
寧ろロダンの方が活躍していたからね!!」
「はいはい、 でもいいじゃない
報酬代わりにテックさんに色々武器を作って貰えたし
ステーキの食券も貰えてステーキを食べられているし良いじゃない」
花子が適当にあしらっていた。
「サラダも欲しい」
「それは同感ね、 閑話休題、 新聞の取材も終わったし
そろそろカリーの街に帰る?」
「そうね、 ロダンは今何処に?」
「あぁ・・・まだバンテージ達に口説かれているみたいよ」
「しつこいわねぇ・・・」
カリエが呆れている、 あれから何度もロダンに対して交渉をしているが
ロダンはバンテージ達のパーティに入る事を拒んでいる。
「でも不思議ですね」
ベルーズが言葉を漏らす。
「何が?」
「勇者と組めばもっと高い戦果を挙げられる、 ロダンが拒む必要性は無いでしょう」
「それは無いでしょ」
花子が断言する。
「何故?」
「パーティを追放した者が強くなったから呼び戻すって恥知らず過ぎるでしょう
そもそも信頼関係とか滅茶苦茶じゃない、 強弱のみを見ているんだとしたら
弱ければ平気で切り捨てるとか、 そんな人間以前の奴のパーティに入りたい人居る?」
「居ないですね・・・」
「そうそう、 もうこっちは準備は出来たし何時でも帰れるよ」
「じゃあそろそろロダンを呼んで来ますか」
「そうしましょう」
そう言って3人は部屋から出て行った。