第149話【Insufficient ability】
誰か腕を持っている方は居ませんか?
武闘大会優勝から早一週間。
屋敷で項垂れるロダン。
「うーん・・・如何しようかな・・・」
「如何したのロダン?」
項垂れるロダンを後ろから起き上がらせるモルガナ。
「賢者の石を杖にしたいんだけど、 何処も加工してくれなくて・・・」
「何だと? ロダンの頼みを拒否るとは・・・」
「何でも貰った賢者の石のサイズが結構大きくて
このサイズの賢者の石を杖にするのは結構難しいらしくて・・・」
「そうなの?」
「砕いて指輪とか魔法の触媒とかにするのなら簡単らしいけど
それじゃあ効果が弱くなるらしくて」
「ふむ・・・良い所を探さないとな・・・」
「ロダンさん、 御客様です」
ベルーズがロダンに呼びかける。
「お客さん? 誰です?」
「勇者シエン様とその仲間だそうで・・・」
「シエンさん? 行きます行きます」
ロダンが応接室に向かうとシエンとその仲間達が居た。
シエンは床に座り、 仲間はソファーに座っている。
「やぁ、 久しぶり、 でも無いか」
「いや、 久しぶりでは? そして何で床に座っているのですか?」
「慢心しないようにだよ、 元気そうで何より」
「えぇ・・・まぁ・・・今日は如何言う御用件で?」
「まぁ近くを通ったんだ、 武道大会でバンメンさんに勝ったそうだね
見たかったが少し残念だ」
「いやぁ・・・あ、 そうだ、 シエンさん
実は大会の優勝賞品で賢者の石を手に入れたんですが・・・」
「加工が出来ないとか?」
ドクが会話に割って入る。
「えぇ・・・大きくて杖に加工するのは難しいらしくて・・・」
「そうか、 ならば良い鍛冶屋を知って居るから紹介状を書いてあげよう」
そう言って紙とペンを取り出し紹介状を書き始める。
「鍛冶屋さん? ですか?」
「何か不安なのか?」
「武器なら兎も角、 杖を作る鍛冶屋さんは聞いた事が無いですが・・・」
「あぁ、 今代最高の鍛冶職人だ、 武器は愚か鎧や盾、 防具
更にはアクセサリーまで仕上げてしまう超プロだ、 勇者の装備を作る事も多い
勿論杖も大丈夫だ、 あ、 お金は大丈夫か?」
「先日100万G貰いました」
「なら大丈夫か、 じゃあこれ紹介状とその鍛冶屋の住所」
「ありがとうございます、 態々すみません」
「良いよ、 それでは私は失礼する」
そう言ってシエン達は立ち去って行った。