第18話【Blank】
元々下手
「やぁ!! やぁ!!」
ロダンが剣を振っている。
「久々だからか腕が鈍っているなぁ・・・四日間は剣を振って無かったし・・・」
「いや、 変わって無いぞ?」
デッドが即答する。
「・・・・・いや、 いやいやいや、 少しずつ上達していたよ多分」
「いや、 気のせいだぞ?」
デッドが即答する。
「そ、 そんな事は無いよ」
「だって剣のスキル覚えてないじゃんか」
「・・・・・」
しょげるロダン。
「やっぱり才能無いのかな・・・」
「最初から剣の才能は無いと言っているだろうに・・・
学問とか魔法系に行った方が良いと思うぞ?
実際学問系のスキルは取れているんだから」
「そうなの?」
「そうだよ、 ステータス確認してみろ」
「後で見ておくよ・・・でも僕は剣でばしーんとやりたい訳だよ
そして人を助けたいんだ」
「まぁ才能が無くても人生はやりたい事をやった奴の勝ちだ
剣の才能が無くても剣を使いたいのなら使えば良いと思うぞ」
「うん!!」
そしてロダンは剣を一心不乱にまた振り始めた。
「・・・・・」
デッドはロダンの傍を離れた。
「人を大分見ていないのにまだ人を助けたがっているとは
やはりお前は善人だなぁ、 ロダン」
ぼそりと呟くデッド。
「天使に世話されている人間なんて善人に決まっているでしょう」
「ん?」
デッドの前に現れる四枚羽の天使。
「アンタが来るとは驚きだね、 なんか有った?」
「臨界点が近い」
「まだ余裕は有る筈だ、 限界には程遠い」
「ここから指数関数的に状況は悪化すると推測される
もう残り時間は少ないだろう、 甘く見積もっても2年弱
ロダンはまだ使えないのか?」
「アンタのそういう所が嫌い」
デッドが顔をしかめる。
「アンタんとこのボスが
この世界の連中にスキルを与えてくれるのは感謝しているが
そういう人間を駒としか見ない態度には憤りを感じずにはいられない」
「気分を害したのなら済まない
だがロダンが動かないとこっちの世界が魔王に攻め込まれる
何とかならないのか?」
「まだまだロダンには学ぶべき事、 知るべき事がある
まだ我慢して貰わねばならない」
「ならばこちらもセカンドプランを発動させねばならない
そちらの方もよろしく頼む」
「あぁ、 ロダン一人では荷が重いからな、 セカンドプランは必須だろう
並列して進めて大丈夫だ」
「では失礼する」
四枚羽の天使が去っていく。
「ふん・・・」
デッドが鼻を鳴らす。