第116話【Beyond the fence】
一つ隔てた先は未知の領域
朝方、 高級住宅区をぶらぶらするロダン。
「ふわぁ・・・」
仕事が無くて退屈を紛らわす為に散歩をしているが暇である。
「おぉ、 ロダン君、 おはよう」
掃き掃除をしている老人に挨拶をされる。
「お爺さんもおはようございます」
近所の人との交流が持てるのは良いと思うがそれにしても暇である。
「暇なのは良い事だよ」
「え?」
口に出ていた? と内心思うロダン。
「・・・お前、 顔に出ているよ」
デッドが呆れ顔で呟く。
「あ・・・」
「ほっほ、 まぁまだまだ若い内はな・・・
若いと言えば、 君の家には若い女子が一杯いるじゃないか
彼女達とは如何なんだ?」
「うーん、 そういうのは無いですね」
「ほっほ、 若いのに興味無いのか、 まぁ
若い内は女なんてと思うがね、 年取ってから独り身だと言うのはそれなりに辛いぞぉ?」
「はぁ・・・」
困惑するロダン。
「まぁ良いさ、 人生なんてどう転ぶか分からない
だから尊く素晴らしいッ!!」
「そうなんですかねぇ・・・」
「まぁそう言うもんじゃよ、 ほっほ」
そんな感じで老人とは別れた。
「ふぁあ・・・如何しようかなぁ・・・」
屋敷に戻って来るロダン。
「はっ!!」
「ふっ!!」
「しゃあ!!」
「はぁ!!」
庭のテニスコートでカリエとモルガナがテニスをしていた。
何処からか持って来たのかテニスウェアを着ている。
「何をしてるの?」
「テニスだよ、 はぁ!!」
「実家ではでぶ妖精をボール代わりにしていたが、 はっ!!」
それぞれ華麗に打ち合っている。
「うぅん、 やはり大公令嬢と言った所ですか・・・
カリエお嬢様は小規模のテニス大会に優勝した経験がありますが・・・」
「身体能力ならばモルガナの方が圧倒的に上じゃない?」
「身体能力を技術でカバーしているんですよ・・・」
ベルーズと花子が話し合っている。
「テニスかぁ・・・僕も始めようかなぁ・・・」
二人の横に来るロダン。
「ロダンには向かないと思うよ?」
「確かに、 スカートは似合わない」
「いやスカートは別に履かなくても良いけど」
「パンツでやれと?」
「いや、 そういう訳じゃあ」
「「あぁ!!?」」
カリエとモルガナが同時に叫ぶ、 ボールは隣の塀の向こうに飛んで行ってしまった。
「あぁ・・・隣かよ・・・うわぁ・・・」
心底嫌そうな顔をするカリエ。
「悪い悪い、 取って来るわね」
モルガナが駆け出す。
「え、 隣の人、 凄い印象悪いし・・・多分ボール渡してくれないわよ」
「ボール一個を渡さない人なんか居ないでしょ、 じゃあね」