第112話【Conflagration】
話とは関係無いがメリークリスマス
ファイアサークル、 それは指定した箇所に火柱をあげる魔法である。
炎の勢いは強かったが花子が咄嗟に二人を引き摺ったおかげで
モルガナは両手首から先、 マドルドは前半身が黒焦げになっただけで済んだ。
「マルチ・ミドル・ヒール!!」
二人を治癒するロダン。
「ジャック!! 私ごと燃やすとは何事だ!!」
マドルドが激怒する。
「あ? てめぇを助ける意味有るの?」
「なっ・・・雇い主に向かって!!」
「この状況で雇い主とか関係あるかァァァァァ?」
ファイアサークルの火柱が屋敷に燃え移り火事になり始めた。
警備員達は慌てて逃げた。
「コラ!! お前達逃げるな!! 戦え!! こんな時の為に金を払ってるんだろう!!」
「命の方が大事だろ」
マドルドの言葉にモルガナが口を挟む。
「それよりもマドルドさん、 あのジャックとか言う奴は何か弱点は無いの?」
「・・・・・薬の効果切れを狙うしかないだろ」
「薬はどの位で切れるの?」
「大体30分位・・・」
「ヒャアアアアアアアアアアアアアハァアアアアアアアアアアア!! ファイアボール!!」
「危なっ!!」
咄嗟に躱すロダン。
「・・・とりあえず逃げよう」
「そうだな」
改めてマドルドをワイヤーで縛る花子。
「ちょ、 ちょっと縛るなよ!!」
「いや、 逃げるでしょ」
「そうじゃなくて・・・」
「あ」
マドルドは体の前半分が焼かれて治癒されたので現在前半分裸である。
ワイヤーが肌に食い込むのだ。
「ワイヤーの傷は後で治してあげるから」
「いやいやいや、 何か着る物寄越せ!!」
「・・・・・」
ロダン達は無視してマドルドを連れて行った。
ロダン達の胸中は『こいつこの状況で何言ってんだ?』である。
命のやり取りの状況なのに意味が分からない、 温室育ちか。
「とりあえず如何する!? 逃げる!?」
「いや、 あのジャックって奴を如何にかしないと
また被害者が出かねない!! 捕まえよう!!」
「だが如何やって!? 私の拳もロダンの剣も近付かなければ使えないが
近付けば魔法の餌食だ!! この女をまた盾にするか!?」
「ナチュラルに私を殺そうとするな!!」
「いや、 その人はゾンビパウダーの売買を行っていた証人!!
ネクロマンサーの事を吐いて貰わないといけない!!」
「そうだそうだ!! 私は生かせ!!」
マドルドの合いの手にイライラする一行だった。