第106話【Awful Soup】
味見は一切していない
一夜明けて取っていた宿から再び貧困層区に向かったロダン達。
すると何やら炊き出しを行っている所で揉め事が起こっている様だった。
「だから仕方ないでしょう!!」
「仕方ない訳が無いでしょ!! 何言ってるの!!」
マドルドと山田が揉め事を起こしていた。
二人の足元には切り倒された市民の死体が。
「!! 大丈夫ですか!?」
ロダンは死体に駆け寄るが当然息が無い。
「何を、 何をしたんですか!?」
「いや、 マドルドさんにそいつが危害を加えようとしたから斬り倒しただけだ!!」
「殺す事は無いだろう!!」
マドルドと山田は揉み合っている。
「一体何が有ったの?」
「実は・・・」
炊き出しの係員の一人に事情を聴いた。
市民の一人が炊き出しの量について文句を言ってマドルドに駆け寄ると
山田が唐突に市民を斬り倒したそうだ。
「な・・・何でそんな事を?」
「だから危害を加えそうだったから・・・」
「警告も無しに斬り倒す馬鹿が何処にいる!!
もういい!! お前は首だ!! 失せろ!!」
「なっ・・・俺は剣聖だぞ!?」
「それ以前に人殺しだ」
「人殺しだぁ!? こんな底辺の連中何をするか分からないんだから仕方ないだろ!!」
「山田さん、 その辺で・・・」
「あ”!? 何だ福島!!」
福島の静止で辺りを見渡すと武装する市民達が・・・
「何見てる!! 見世物じゃないぞ!!」
剣の切っ先を市民達に向ける山田。
「取り押さえて摘まみだしなさい」
「お、 おい!! 止めろ!! お前等!!」
山田は警備員達に取り押さえられて摘まみだされてしまった。
「うわ・・・これは酷いな・・・」
モルガナがドン引きする。
「そうだよ・・・あんまりだよ・・・」
ロダンがぽろぽろと涙を零す。
「兄ちゃん、 ちょっと退いてくれそいつを連れて行くから」
市民達が死体を運んで行く。
「さて、 炊き出しを再開するか」
マドルドが炊き出しを再開するも、 多くの市民達がその場から離れ。
残った市民達もマドルドを親の仇の様な目で睨みながら
炊き出しを貰って行った。
「ふぅ・・・残っちゃったわね、 君達も食べる?」
「いや、 朝食を食べたから良いです」
炊き出しの良く分からないスープとすいとんを見て遠慮するロダン達。
「そう、 栄養を考えているのに・・・」
マドルドは残念そうに言った。
