閑話【イチジクの顔の現在】
一方その頃
ギルドから除名されたイチジクの顔の三人は仕事を探して各地を放浪としていた。
何か良い仕事は無いかと探して回っていたがギルドを除名された彼等には
まともな勤め先なんて見つかる筈も無かった。
彼等三人は安宿でグダグダと職探しをしながら毎日を過ごしていた。
「糞ッ!! 剣聖の俺を雇えるなんてチャンスだろうが!!」
ドンッ、 と隣から壁を叩かれる、 安宿だから壁が薄いのだ。
剣聖の山田は当初、 商会や企業、 貴族に自分を売り込んだ。
剣聖の自分を雇えるのは非常に高いステータスになると見越していたのだ
しかし、 誰もギルドを追い出された剣聖を雇おうと言う者は現れなかった。
のだが・・・
「山田さん!! 雇ってくれる方が現れましたよ!!」
福島が慌てた様子で山田の元にやってくる。
「何ッ!? 何処の誰だ!?」
「ターメリックの街のマドルドと言う騎士階級貴族の方です!!」
「騎士階級・・・今一つな感じだが・・・依頼内容は?」
「警備員の仕事です」
「警備員!? 剣聖の俺を雇うのにか警備員!? 報酬は!?」
「月40万G、 労災、 寮も付いてる」
「月額!? そんな安い給料で俺を雇おうと言うのか!? 冗談じゃない!! 断れ!!」
「何を言っているんだ山田」
京子が割って入る。
「もう貯えが底を突きそうなんだ
我々を雇ってくれるのならばそこで良いじゃないか
もうこの宿の支払いも厳しい状況になっているんだぞ
装備を売るかどうかの段階に入っているんだ」
「ぐっ・・・ならば仕方が無い、 そのターメリックの街とやらに向かうぞ
その街は何処に有るんだ?」
「ジェスター教国です」
「国が違うのか・・・」
「国境に先方が迎えに来てくれるらしいですよ」
「それなら問題無いか・・・では行こう」
画してイチジクの顔の三人は警備員として就職する事に決まった。
「でも月40万? ちょっと高給じゃないの?」
荷造りをしながら京子が尋ねる。
「何言ってんだ、 俺達は月100万は稼いでいただろ」
「山田さん、 普通の人達は月20万あれば暮らせるレベルですよ
普通の仕事にしては高給じゃないかって話です」
「俺は普通じゃないじゃないか、 剣聖だぜ?」
「福島、 山田だからオファーが来たのか?」
「腕が有って秘密を守れる人と言う条件です」
「秘密? 秘密って何だ?」
「さぁ・・・分かりませんね」