第82話【Lookout】
警備でぶ妖精は大量の食事を与える必要が有るが
人間よりもローコストで雇えるメリットがある
「とりあえずロダン、 勝手に治療しないでね」
「・・・・・」
ロダンに追い付いた花子がロダンと並んで歩く。
「見つからなきゃ大丈夫でしょ」
「見てるよ」
「?」
花子が指差した先にはでぶ妖精が座っていた。
「? でぶ妖精が如何したの?」
「さっきから付けられてる」
「でぶ妖精に?」
「でぶ妖精に」
「気にし過ぎじゃない?」
「気にし過ぎじゃないにょ」
ロダンの頭の上にでぶ妖精が乗る。
「われわれはカレーの街警備でぶ妖精
何か怪しい動きをする人を見張るでぶ妖精にょ」
「怪しい動き? 花子か」
「何で私?」
「ぶっちゃけ女の子の方に付いてましたにょ」
「何で!?」
「何でって・・・二階から飛び降りてたじゃない」
「ぐうの音も出ない不審人物じゃない!! 私!!」
「でも話からするとこっちの男の子の方が怪しいかも
勝手に人の治療をしようとするし」
「何で勝手に人の治療をしたら駄目なの?」
「にょ、 なら簡単に説明するにょ」
警備でぶ妖精のなぜなに講座―何で勝手に治療行為をしちゃいけないにょ?―
「モグリの医者や未熟な医師、 治療師等の横行を防ぐ為の決まりなんだけど
その他にも理由が有るにょ」
「他に理由?」
「経済的な問題にょ、 例えば善意でどんな怪我でも無料で治してくれる人が来たら
この街の医療従事者は商売あがったりなにょ」
「お金の問題なの?」
「分かり易く言うと、 治療行為=お金と考えるとわかりが良いにょ
お金をばら撒く人が居たら経済が混乱するでしょ?」
「確かに・・・」
「まず間違いなく事件になるな・・・」
「でも治療したいしたいー」
「その場合はちゃんと申請出せばOKなにょ」
「申請出そう」
「本来の目的を忘れている!?」
「本来の目的・・・警備をしてカレーを食べるにょ」
「でぶちゃんの目的じゃなくて」
「そういえばお腹空いたなぁ・・・」
「この先に入浴しながら御飯食べられるお店あるにょ」
「意味不明な需要!!」
「うーん、 お酒飲みながらお風呂なら分かるけど
御飯食べながらお風呂はちょっと・・・」
「じゃあカレー屋さん行くにょ」
「行くにょ」「行くにょ」「行くにょ」「行くにょ」「行くにょ」「行くにょ」
「行くにょ」「行くにょ」「行くにょ」「行くにょ」「行くにょ」「行くにょ」
わらわらと警備でぶ妖精が湧いて出て来た。
「行っても良いけど君達に奢らないよ」
でぶ妖精達に9999の精神的ダメージ!!
「いや、 そこまでは喰らわないだろ」