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暗いくらい夜の下で。
「何言ってるの?」
僕は気づいた。
この数日間、この時間、この彼女との出会いの意味を。
「すまない、少しだけ…少しだけ待っていてくれ。」
頭の中がぐるぐる回る。
肌が熱い。耳が熱い。
体の中の血があがってくる感覚だ。
「別にいいけど…やっぱ君って変だわ。」
そうだ、そうなのだ。
僕は変なのだ。
変だからこそこの出会いには意味があったんだ。
「君にひとつだけお願いがある。」
きっとこのお願いは僕にとって最良の選択だっただろう。
今でも思う。
この質問が、この夜が、僕の人生を変えた。
大げさでもなく誇張でもなくただの事実。
今から話すのは彼女と出会って、たった数日間の話だ。
なんでもない、天使の僕と人間の彼女、そんな2人のお話だ。
だけど僕はこのたった数日間の彼女を一生、本当に一生、忘れないだろう。
だって天使は死なないのだから。
「えぇ…なに?マジどうしたの?よく意味分かんないだけど。」
この世界には「一生のお願い」というものがあるらしい。
「僕に…君の話を聞かせてくれないか。」
天使の一生は長い。
これは0話です。
0話の始まりです。