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戦場ヶ原闘子シリーズ

戦場ヶ原闘子、日本を変えるっ!!

作者: 生茶

「闘子、名大に受かったんだって?」

私の目の前にいるのは、高校1年からの腐れ縁の岡崎太陽だった。

にやにやしながらこちらに聞いてくる。

この顔うざいなあ……。

「受かったけど? でも、太陽さんはどちらに受かったんですかね?」

「東大だけど」

「マジそのドヤ顔がむかつくぅ……!」

私はどんどんと机をたたく。

ふん、全国公立高校の中で東大合格者数No.1の長い歴史を持つ岡崎高校ですから? 東大に受かっても普通ですからねあなた? ごめん、そんなことはないわすごい努力してるマジ凄い。

「かあ、やっぱり合格しちゃったんだ、マジでむかつくなー」

「いやいや、そこでムカつかれても困るんだが。努力の結果だから」

太陽はからからと笑いながら、お店から出してもらったコーヒーを一口飲む。

「俺はむしろ闘子の方がすごいと思うけどな? そっちの高校じゃ何年かぶりの名大合格者だろ?」

「まあね……。でもまあ、私はたまたま運が良かっただけだし」

「そんな謙そんするなよ、俺は素直にすごいと思うぜ」

そういって太陽はなんの嫌味もない笑顔を浮かべる。

太陽の笑顔は本当にまぶしく、まるで本物の太陽がそこにあるかのようだった。

「うわあ、太陽まぶしすぎる。サングラスしたいわあ……」

「俺を天体の方の太陽みたいに言うな、人として認識してくれ」

「君の左目、左端に黒点あるじゃん」

「これただの泣きぼくろなんですが?」

そう、この泣きぼくろのせいで、ただでさえ爽やかイケメンなのに、ちょっと憂いがある感じの色気を付け足されていて、もう造形美としては神なのである。太陽神ラーかな?

「ただまあ、大学に入ってからの過ごし方の方が肝だからな」

「そうだね、それは本当にそう」

太陽はたたずまいを正し、どこか遠くを眺めながら口にする。

私も同じ方向を見つめながら言葉を発した。

「俺が東京で」

「私が名古屋で」

「「学生たちを覚醒させる」」

私たちは同じ方向を見ていたが、一言目を発したときからお互いの方を向き合い、視線を交差させながら決意を表明しあった。

「うん、いい感じに名古屋と東京でばらけてよかったんじゃねえか?」

「まあ、そういうことかな。名古屋にずっといるのは少し不服ではあるけど……」

「いやいや、お前、名古屋だって魅力的なところとかあるだろ? ほら、あれだ。あれだよあれ」

太陽はいったん考えるそぶりをして顎に手を当てて、そのあとでピンと指をはじいた。

すごい名案を思い付いたに違いない。


「うん、あれ」


「ないじゃん。完全に名古屋魅力ないじゃん。やっぱり日本で最も魅力ない年に2年連続選ばれるだけはあるよ。もはや王者の風格さえ漂ってるよ」

太陽はくくくとおなかを抱えながら笑っている。

「まあでもあれだ、そういう環境でもさ、やっぱりこう、世界のTOYOTAとかあるから」

「がっつり豊田市じゃん。なんで世界のNAGOYAじゃなかったんだ。政令指定都市どうした」

「まあしょうがない、そういうこともある」

太陽はうんうんとうなずきながら私の苦悶を軽く流す。

そういう、ちょっと本気目な悩みを流しちゃうから女の子から本当の信頼を寄せられないんですよ? まあ今の私はめっちゃ適当に口にしてるだけだからどうでもいいけど。

「ま、でもお互いに頑張っていこうぜ」

「ん、まあ感覚はだいたい高校生活中にわかったし。やっぱり何より、人が本気になって動き出す瞬間を見るのは気持ちいから、がっつりコミットするわ」

「だよな、俺も闘子が本気を出したときはマジでしびれたわ。もともとビジュアルがいいのに、信念まであったら、それは格好いい女性になるよ」

「そこは本当に感謝してる、ありがとね」

私はちょっと照れながらも感謝の言葉を述べる。

「おう、ま、お互い気楽に頑張ろうぜ」

そういって太陽は右手をぐーで握った状態で突き出してくる。

私も右手を出し、こつっとお互いの握った拳を触れさせる。

そう、大学に入って、私たちは動き始めるのだ。

形はどうなってくるかはわからないが、日本の学生を覚醒させていくために。

そのために私たちは、大学の4年間を使っていこうと決めたのだから。

どうなるかはわからないけれど、私と太陽の、大学生活が始まる。

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