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Howling Moon  作者: 椿屋 ひろみ
9/24

テルの禁酒生活

ここは繁華街の居酒屋。

「ぷはーっこれがいいんだな、これが」

「テルさん、これで六杯目ですよ」

テルは自分の店で出会ったちょっとお気に入りの男と飲みに来ているところだ。

豪快にビールを滝呑みする彼女の前で男はちびりと日本酒を呑んだ。

「ばかやろう、男がなにチビチビ飲んでるんだよ」

すっかり酒に飲まれたテルは無理矢理彼にビールを飲ませた。

「助けてーちょ・・警察よんで」

周りが騒然とする中、テルはガハハと笑った。


次の日・・

「またやってしまった」

蒼白のテルは机にうっ伏して泣いた。

「これは調子に乗るボスが悪いのよ」

ルルは怒っていた。

「切り替えていけ」

ヨミはテルの背中を叩いた。

「うっ・・」

すると口を押え、目が虚ろになった。

「まさか」



二人はテルの吐いた後始末をした。

「バカねー二日酔いしてる人の背中なんか叩くんじゃないわよ」

「いろいろすまない」

ヨミは謝った。

テルは横たわりながらぶつぶつ独り言を言った。

「このままじゃ一生独身になりかねないわ・・そうよ酒のせいよ。酒さえ飲まなかったらいいのよ」

そう言って急に起き上がった。

「私、禁酒するわ!」

さっきの調子が嘘のように高笑いを始めた。


二人は引いていた。

「この人、自分の欠点のすべてを酒のせいにしだしたわ」

「てか、いつまで続くんだろな」

その様子を積み木をしながら遠くで見ていたララがぽつりと言った。

「三日でしょな」


その日の夕ご飯時。

「今日はお隣の西原さんからホッケをもらったから開きにしてみたわ」

めいの母は嬉しそうに夕飯の準備をした。

こんがり焼けたホッケを前にテルは目を輝かせた。

「わあ、いいっすね。これでビール・・」

背後で三人がじと目で見ている気配がした。

「おい、禁酒」

「わ・・わかってるわよ」

焦ったテルはご飯をかきこんだ。


そんなこんなで一日目が終わった。

「へぇ、テルさんが禁酒をがんばってるのね」

めいはベッドの上で猫の抱き枕を抱き、寝そべっていた。

「そうなんだ。何日もつかみんなで賭けをやってるけどお前も参加するだろ?」

ヨミはルルララ姉弟と桜庵のどらやきを賭けていた。

「呆れた。バカね、人の努力を賭けるんじゃないわよ」

めいはそのまま寝た。

「ちぇっどらやきがもう一個増えると思ったのに」


そして次の日。

ヨミとテルはバトルスーツを着てベーゼと戦っていた。

「テル!回り込め」

影のような機敏さが売りなのに今日は様子がおかしい。

「だめ・・ウオッカがほしい。動けない」

「どこの世界に酒がないと動けない戦隊ものがあるんだよ!」

テルはその場でへたれこんだ。


ルルとララは双星剣の力がほぼ使えないのでめいにベーゼを倒してもらった。

「もうっふがいないですわね」

「へへっ・・ごめん」

ルルは顔面蒼白になったテルの体を揺すった。


すっかり廃人化したテルはルルララお気に入りの筆ペンきょーちゃんのDVDを観ながらぶつぶつ言っている。

「いいよな・・ひろゆきもビール飲んでる」

近寄り難いどんよりとした空気に三人は引いていた。

「子供アニメに向かって・・完全に末期だな」

「キモい通り越して不安しかないですわ」

ララは大泣きした。

「ボスのそんな姿みたくなかった」


めいはテルの前にお茶を置いた。

「テルさん、無理しない方がいいですよ」

「ありがと。そう言ってくれるのめいちゃんぐらいよ」

テルは感極まって泣きながら抱きついた。

「ちょっと・・テルさん」

ふとヨミの方を見ると鼻で嗤っていた。

「テルを泣かしたな」

「違うわよ!」


すると外が騒がしくなった。

「この気はベーゼか」

ヨミたちはそれぞれバトルスーツに着替えた。


公園でベーゼが暴れていたのでヨミは紅月剣で斬りかかった。

「こんな鈍刀で倒せると思っているのか!」

鋼より硬い皮膚にびくともしなかった。

「テル!援護を頼む」

「もうだめ・・」

公園まで走るまでに気力を使い果たしたテルは敵の前で力尽きた。

「愚かな・・闘う前から倒れてやんの」

ベーゼは大笑いした。


痺れを切らせ、双星剣から戻ったルルはテルの頭上からウオッカを流した。

「ええい!いつまでもこんなんじゃ仕事にならないですわ」

スポンジが水を吸うようにウオッカを吸収したテルが光を放ち、立ち上がった。

「テル様、復活」

体からスパークが飛び、双星剣を振り回し敵を瞬きをする間もなくバラバラに切り刻んだ。

それをヨミは口を開けたまま呆然と眺めた。

「強ぇ・・」


敵が消え、元に戻ったテルはルルとララを抱きしめた。

「二人ともありがとな」

「酒はほどほどにするのですよ」

するとテルの携帯が鳴った。

「もしもし・・あ、ケント?今からのみに行かないかって?すぐ行く!」

ふとヨミの方を見てにやりと笑って言った。

「じゃあ、そんなことで」

といって颯爽とその場を去った。


「だめだこりゃ」

残されたヨミ達はずっこけた。

予想通りだったララは手をヨミに差し出した。

「そういえばどら焼き」

「へ?・・ああ、あれな」

賭けのことを思い出したヨミは逃げ腰になった。

「約束は守りなさいよ」

めいは首根っこを掴んだ。


「約束って破るモンだろ」

そう言い捨てて力づくで逃げたのでルルとララは追いかけた。

「待てーっヨルミア!」

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