バカ姉妹とその友達と私
浅井家・三姉妹の部屋。
冬休み初日。淀子姉さんが、珍しく真剣な顔で、正座する私と江代と、残り三人の友人を見ていた。
そして十一時になると同時に、淀子姉さんが口を開く。
「全員揃ったな。
まず私から言いたいことがある」
「いい加減にしろ!! 貴重な冬休みに、友人の誘いに乗りやがって!! デートで行けないって断れよ!!」
いや私達彼氏いないよ!
「まあ、女だけで集まって喋ったするのもいいんじゃない?」
「ハイ出ました処女の極み! おめーみてーなのが最後余るの!
そんなこと言ってる暇あるなら、彼氏作りに行け! このアマァ!」
なんで私が怒られてんの・・・・・・?
「はぁ、はぁ。ったく。
仕方ない。じゃあ何するか決めるよ。
じゃあ遠藤、何したい?」
指名されると同時に、遠藤が口を開く。茶髪のおかっぱの少女だ。
「じゃあ、渋谷で逆ナンしない?」
「そのネタは第二話で使ったからいいよ!」
「やめろその発言! 世界が崩壊する!」
はぁはぁ。サザエさん方式の筈なのに、なんで前の話覚えてるんだ家の姉さんは。
「じゃあ藤堂」
次に指名されたのは、一番端に座る遠藤の左に座る青髪の少女・藤堂。入試の成績が一番良かったことから、選挙を通らずに生徒会役員に選ばれたのだが。
「じゃあ・・・・・・」
「生徒会の仕事、めんどいから手伝ってー」
「誰がやるかァァァァァァ!」
淀子姉さんのツッコミ。そう、藤堂は勉強が出来るバカの一人だ。
次の人を指名する前に、ドアを二回ノックする音が聞こえ、ガチャリとドアが開く。
入ってきたのは、浅井三姉妹の父親・浅井長政。
「あ、父さん。質問。この中で嫁にするなら誰が良い?」
少しばかり考える父。
「・・・・・・。磯野さん?」
選ばれたのは姉さんが最後に意見を聞こうとしていた一人。あまり喋らないクール系少女・「磯野」。
感情を表に出すことは少ないが、今回は顔を赤らめていた。
そして私と磯野以外の全員は、悪魔のような顔で父を見る。
父の後ろにはケーキを持つ母親が、同じような顔で父の背中を見ていた。
さようなら、お父さん。
今週二本目の小説。松野心夜です。
特に話すネタもないので、また次回。