初の新しい能力
放課後。
私は他の二人と別れて、公園で一人、ベンチに座っていた。
私は最近悩みを抱えている。
江代が牙○。淀子姉さんが超人的な身体能力に目覚めていく中で、自分は何も能力に目覚めていないのだ。
そんな状態のまま、あいつらと生活していけるのかな、と考えてしまっていた。
時計が四時を指すと同時に、私の学校のクラスメイトが頭を抱えながら入って、ブランコに座ってうつむき始める。
まあ高校生というのは、色んなことに悩み苦しむ時期だし、彼氏が欲しいという悩みを持つ人は私達三つ子だけではない。
ちょっと話は聞いてやろうかなと考えて、私はそいつに近づいた。
「どうした? 何か悩んでいるなら、相談しなよ。一応私はあんたのクラスメイトだからさ」
俯いていた少女が顔を上げて、口を開く。
「別に悩んでないけど」
ーーいやどんだけわかりやすい嘘ついてんだよ。
まあ私の悩みも下らなすぎて人に言えないが。
少女はそのまま、続けて言う。
「私に限って、悩みなんかないんだからね!」
彼女がその一言を言い終えると同時に。
ーー二個の錠前が、少女の前に突如出現した。
なんだこれ!? いつの間に私は変な麻薬飲まされたの!?
だけどこれどっかで見たことあるぞ。
これは、サ○コ・ロックじゃねえかアアアアアアア!
でも私は勾玉持ってないのに何故だ?
まあいいや。とりあえず少女の秘密を暴けば、鍵が破壊される筈だ。
「絶対何か隠しているでしょ。早く言った方がいいよ」
「だから無いよ」
少女は反論する。
女子高生特有の悩みと言えばこれかな?
1.彼氏 2.体型や容姿など 3.女の子の日 4.アレな本
心で呟くと同時に、何故かゲームの如く頭に選択肢が出現する。
何これ。ゲームなのかこの世界。四番は男の子の悩みな気がするけど。
でもゲームだと一番確率が低い奴が当たってたりするんだよな。
四番にしよう。
「貴女、親にアレな本の場所でも暴かれたの?」
「何故バレた!?」
少女が驚愕した後に鍵が破壊された。マジかよ。
あと一個に隠された悩みは・・・・・・。
1.ただの男の写真集 2.腐女子向け同人誌
鍵が二個あるとすれば、二番かな。
「それもただのアレな本じゃない。腐女子向け同人誌を発見されたでしょ」
「あ・・・・・・」
「アアアアアアアアアアア!」
二つ目の鍵が破壊されると同時に、少女は脱力する。
そしてそのまま顔を押さえて、泣き出した。
「うわああん! 初にもバレたあああ!」
これはまずいと思った私は、少女の肩を押さえて呟いた。
「大丈夫だ。私だってバカ姉貴と厨二臭い妹にアレな本のことでよく弄られてるから。
だから元気出しな」
とりあえず飲み物でも奢ってやろうかと、私は手を差し伸べた。
「じゃあ、行こう」
「うん!」
少女はブランコから立ち上がり、駆け出そうとした。
しかし足は見事に石に引っかかり、私の所へと綺麗に倒れる。
うつ伏せの状態で私の胸にのしかかる少女。あの二人が見たら、絶対勘違いされるだろう。
しかも悪いタイミングで、バカ姉妹二人が来た。
「初、一緒に帰・・・・・・」
そのまま黙り込んだ淀子姉さん。
予想通り、江代の肩を掴んで姉さんは言う。
「初。今日のことは、誰にも言わないでおくよ・・・・・・」
そのまま全力で駆けだす二人。こいつら、絶対に親に言う気だ。
アレな本よりヤバい不祥事を晒せるかアアアアアアアアアアア!!
「待てゴラアアアアアアアアアアア!!」
私はそのまま、二人の所へと全力で駆けた。