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第一期最終回 卒業の季節

後付け この最終回は夢オチです。

鏡の前で赤いリボンをきちんと締め、赤いブレザーを着る。

 きちんとこのブレザーを着たのは、多分入学式以来だろう。

 無茶苦茶な事ばかり起きた一年生の頃から、ほとんど変わらずにバカな出来事は続き。

 気付けば、卒業式の日。

 姉さんや江代も、今日はきちんとした服装をしていた。

「卒業だな・・・・・・」

「うん。初はここの大学、私は東京の体育大学、江代は大阪の美術大学か」

「離れても、私はマイシスターの事は忘れないぜ?」

 笑顔を作ってから、私は呟く。

「じゃあ、行こうか」

「いや、私と江代はこれから藤堂達に会ってくる。

アンタは琴柄に会ってやりなよ」

「分かった!」

 

 琴柄の家の近くで。

「琴柄、おはよ」

「おはよう、初さん」

そのまま二人で学校へ行く。

「それにしても琴柄凄いじゃん! 一番難しい国立大学に入学するなんて」

「たまたまだよ」

「なあ、琴柄」

「何? 初さん」

「思えば、お前は初めての親友だったな。

私の事、一生忘れるなよ」

「ボクだって忘れないよ。キミの事は一生親友だと思ってる」

「お、学校が見えたな!」

 

 そして卒業式が始まった。

 学校や友人、そして家族との別れが待っているが、私は前に進む。

 校歌を歌い、証書を貰うのはあっという間だった。

 そして卒業式が終わってから、私は琴柄達に別れを告げてから三人で家に帰った。

 家で淀子と江代が荷物をまとめ終わり、トラックに運んでもらうのもあっという間だった。

 

 最初は江代との別れ。

 最後まで厨二ポーズで別れようとする江代に、姉さんは涙している。

 そして、あの人まで来ていた。

 そう。二年前に江代と恋人同士だった彼。

 心臓病が完治し、無事に学校も卒業し、江代について行くことにしたらしい。

 

 そして姉さんとの別れ。

 姉さんは何故か、父さんと母さんに帰るように告げて、私だけを残して二人きりになった。

「どうした? 姉さん」

「やっぱり、別れたくない」

「は?」

「初!! 私はアンタ達と離れたくないよお!!」

 私に泣いてすがりつく姉さんは、初めて見た。

 親や相棒の江代にだけは、見せられなかったのだろう。

「私だってそうだ・・・・・・。お前らと別れんの、本当はすっごく寂しい。

だけど、お前が決めた道だ。

進めないとか言うんじゃねえよ」

「うわああああああああん!!」

 バスが着ても、姉さんは泣き止まなかった。

 散々泣いて疲れたのか、眠った姉さんをバスに乗せて見送った。

 あとは、帰るたけ。

 

 現在時刻は六時くらい。

 卒業式で皆を見送ったので、すっかり帰りが遅くなってしまった。

 私の名前は浅井(あざい)(はつ)。とある高校に通っていた卒業生だ。

 彼氏はいない。何せ通っていた高校が女子校なので、校内で男に会うことは無い。

 私はドアを開けて、帰りの挨拶をした。

「ただいま」

 母親である浅井(あざい)(いち)も、玄関に立って私の帰還を出迎える。

「おかえり。晩ご飯まだだから、部屋でゆっくりしててね」

 どうやら父親は会社に行って卒業式や見送りで出来なかった仕事をしに行ったらしい。ローファを脱いで鞄片手に、初は部屋がある二階へと向かう。普通ならばこういう時、部屋で好きではない勉強を気分転換しながらやるか、好きなことだけをしながら部屋で夕食の時を待つだろう。

 だが私には、そう出来ない理由がある。

 いつものようにノックをして、鞄片手にドアを開けると、広めの部屋に二人の制服姿の女子高生が――。

 いない。

 広い部屋には、私の荷物以外全て無くなっていた。

 ここにいる筈の二人は、もういない。

 寂しくなるな・・・・・・と呟く私の耳に、スマホの着信音が流れる。

 差出人は書いていない。

 ただ、『二人きりで話したいことがあります。噴水のある公園に来て下さい』と書いてある。

 私は親に何も言わず、家を飛び出した。

 

 そこに待っていたのは、私服姿の京極先輩だった。

「京極先輩?」

「三年間、キミの楽しそうな姿が愛おしかった。

その姿を、近くで見たい。

だから!!」

 もしかして・・・・・・。

「僕と付き合って下さい!!」

 私の瞳から、涙が溢れた。

 憧れていた男の人に、認められた。

 勿論、私の答えは決まっている。

「こちらこそ、よろしくお願いします!!」

 

 私は入学式から春休みの間、京極先輩と沢山デートした。

 そして、春休みが終わり、大学の入学式。

 京極先輩は頑張れと言ってくれたけど、やっぱり緊張した。

 高校までは、あのバカと一緒だったからか、この気持ちは初めてだった。

「おい、初!」

 ん・・・・・・この声は。

 後ろを振り返る。

「淀子姉さんに江代!!」

「入学式如きで何緊張してんだよ! 行ってこい!」

「ああ!!」

 これから、私の新しい物語が始まる。


松野心夜です。半年間続いた浅井三姉妹も、今日で最終回です。

これから三つ子が、どんな人生を送っていくのかは、皆さんの想像にお任せします。

これで本編は終わりますが、気が向いたら、スペシャルエピソードを書くかもです!

それでは皆さん、またいつか会いましょう!

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