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お前(アンタ)の名は

それは、地球の前を彗星が通り過ぎた、次の日の朝の事。

 休みの日。別にいつもと変わりない朝。

 目を開ける。

 そして時計を見る。起床時間だ。

 だが私は、自分の今の格好に違和感を覚えた。

 ――私の胸って、こんなにあったっけ?

 一夜にして大きくなるとか、そんなバカな話があるわけない。というか私のパジャマは赤だっけ?

 赤は姉さんのだと思うが。

 右を見る。いつもなら姉さんが寝てる筈なのに、いない。

 左を見る。江代の前に、見知らぬ誰かがいる。

 誰?

 いや待て。この顔。地味と揶揄されているこの顔。

 そして、貧相な胸。コレは私じゃないか?

 幽体離脱か?と思った。

 鏡まで這って自分の顔が映るか確認する。

 そこにいたのは。

 百人いれば百人美人と答えるが、性格故に非リアとなっている私の姉の顔。浅井淀子の姿が映っていた。

「は? えー!!」

 思わず姉さんの声で叫んでしまった後。自分の声が聞こえた。

「初、うるさいよー。殴るよ? ってあれ、私の胸ってこんな貧相だっけ?」

「失礼なこと言うな!!」

「は? 何で私が見えんの?」

「鏡見てみな」

 私の姿をした姉さんが、鏡の前で叫ぶ。

「えー!! もしかして私と初って、入れ替わってる!?」

 

 それから数時間後。江代や両親に誤魔化し、ビルの屋上に来ていた。

「おちつく為に、喝上げでも行くか?初」

「地味で平凡な女子高生設定の主人公が、不良みたいな事していいと思ってんのかバカ姉貴」

 はあキツいなあ・・・・・・。

「んな事よりブラしてるとキツいからとっととポケットにぶちこみてーんだが」

「そんな胸してる奴がブラしてないとか非常識だからやめろ初」

 ・・・・・・。

 

「「ていうか!! 私の体返せこのアマァ!!」」

 

「いや心あたりねーし私」

「それは私もだからね初」

 なんだコレ。これも作者か!?

 つーか作者は元ネタちゃんと見てないからこんなことになってんのか?

 流行に乗りたいだけって言って、大冒険しすぎだろ!! 元ネタの映画がどれだけ人気か分かってんのか!? さすがにここで人気映画に喧嘩売ったら不味いことにッ!

「まあいいじゃないか初。どうせこの話が終われば元に戻れるオチの筈だ。

映画の最後のシーンの真似すれば、この話終わる筈だ」

「いやあのアホ作者、映画の予告と主人公の少年が神〇ってことぐらいしか知らないぜ?」

「じゃあ適当でいいよ」

 いいのかよ!

 

 そして私の姿をした淀子はマンションの階段に戻る。芝居開始。

 ドアをバタンと開ける。

「やっと見つけた! 初!」

「うん! 姉さん!」

 淀子は全力で駆け出して私に向かってジャンプし、私も同じように駆け出して飛ぶ。

「「君の名は!!」」

 と二人で叫んでからの事。

 私は抱きつくのに失敗して顔面を打ち、私の体の姉さんは鉄柵を飛び越えて。

 地面に落下した。

 ――え?

 ということは・・・・・・。

 これこの話終わった瞬間全身骨折した体に戻らなきゃいけないの!? うわあああああああああああああああああああああああああああ!!


松野心夜です。流行に乗りました。

それだけだ!

最後に一つ。

この話の為だけに、あの映画ファンに喧嘩を売るような真似をしてしまった自分をどうか許して下さい。

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