ユーチューバーの苦悩
とある日の公園。
私は江代と共に、私のお気に入りの場所である噴水近くのベンチに座っていた。
「のう、貧乳の銃士」
「ぶっ殺すぞ?」
「最近ちょっと悩んでいることがある」
江代にしてはシリアス顔で、私に悩みを打ち明け始める。
「吾がユーチューバーであることは知っておるな?」
「まあな」
取り敢えずエヨキンという名でやっているのは承知している。
「最近動画の再生回数が伸びんのだ」
「逆に聞きたい。あれでどうやって今まで伸びたのか説明してくれ」
私は動画内容の一部を知っている。
しかし内容の殆どが、宗教放送のような何かなのだ。
「商品紹介とか、もっと普通のユーチューバーがやりそうなことしろよ」
「ならば貴様を殺し
「そんな姉さんがやりそうな事をしたがってもダメだぞ。
お前じゃ私を殺せないし」
「本当に闇へと葬ろうか?」
そろそろ江代の怒りを買いそうなところで咳払いし、私はスマホを操作し始めた。
そこで、良い記事を見つけた。
「いいアイデアあったぞ」
「何?」
私は笑みを浮かべながら、用意するものを説明した。
◇◇◇
数分後、姉さんがバイクで遠出したのを確認し、撮影を開始する。
用意したものは、氷を入れたバケツと木刀だ。
「おい貴様、これは・・・・・・」
「はい、そこでじっとしてろ」
私の作戦はこうだ。
まず江代にアイス木刀チャレンジをさせ、江代に姉さんを指名させる。
それから、姉さんにも同じことをする。
どうせ仕返しされるだろうが、鬱憤を晴らすいいチャンスだ。しかも、江代に入った収入の一部を協力費として私に払うように要求すれば、金を得られるチャンスだ。
「じゃあ、やるぞ」
バケツを江代の頭の上でひっくり返す。
そのまま木刀を江代の尻に叩きつけた。
「うぎゃあああああああああああッ!!」
普段冷静沈着な江代が、物凄い顔をして叫んだ。
冷たさと痛さで悶絶する妹に、私は悪い笑みを浮かべて問う。
「次は誰を指名するんだ? ん? ん?」
「貴様に決まってるよな?」
江代が木刀を拾う。
そのまま私に接近し始めた。
「えっ、ちょっ!
ぎゃあああああああああああッ!!」
私の骨が数本折られた。
◇◇◇
「まったく貴様は・・・・・・。
次は姉さんをやる。腹いせだ」
「へい・・・・・・」
まあ、これは私が悪いわな。
そろそろ姉さんが帰ってくる時間だ。
「ふっふふっふ~♪」
予想通り、姉さんは正面から突っ込んできた。
「吾を侮るなよ!
とうっ!」
姉さんが近付くと同時に、氷バケツをシュートする江代。
そのまま江代が、瞬間的な速さで、木刀を姉さんに振り下ろ――――せなかった。
「え?」
木刀は、姉さんの腕に掴まれている。
そのまま美貌を鬼のような形相に変えて、こう言い出した。
「この淀子様に、暴力を振るおうとしたわね?
覚悟は出来ているのよねェ?」
「え、ちょっまっぎゃああああああああああああッ!」
目の前で、残酷な光景が広がった。
「あ、ついでに初もやる」
「ぎゃああああああああああッ!」
有無さえ言えず、私は淀子姉さんに半殺しにされた。