間違い
「まだか、まだ始まらないのか」
今日は吾にとって、一番害悪と捉えている日だ。
歳末の奉仕活動だと・・・・・・?
いくら吾の実力が貴様らの作りし試練の水準を満たしておらぬとは言え、この仕打ちは・・・・・・。
しかも貧乳の銃士と赤の姫は対象外だという。
吾の他に来ているのは、四人。
どいつも、吾より下の存在だ。
当然だ。闇の魔戦士たる吾と同等の者など、吾の敵たる光の民だけなのだからな。
「やあ、江代」
面識もないのに吾と話すとはな。
愚か者め。
「なんだ貴様」
木刀の柄に手を掛ける。
「いや始まる時間までまだあるし、ちょっと話でもしようかな、と」
ふっ、吾と話だと?
「馬鹿を抜かすな、貴様などが吾の話について来れるわけがなかろう」
「いやあんたも赤点取ったからここにいるんだろ」
こいつ、痛いところを突いてくるな。
「江代。期末テストで国語と世界史は何点だっけ?」
「ふっ・・・・・・七十点と八十五点だ」
吾の手にかかれば、文系教科など容易い。
「化学と英語は?」
「・・・・・・四十点と五十点だ」
「もう一つ質問良いかな。
数学は、何点だった?」
事こうなれば言うしかあるまい。
「・・・・・・貴様のような勘の良い童は好かんよ」
「赤点じゃねえか!」
だから何なんだ。
何故奉仕活動などに参加せねばならんのだ。
吾は光に溺れし龍を狩るという使命がある。そのような事に現を抜かす暇など無い。
仕方ない。この吾が直々に、それを行う事を決めた教師を手討ちにするとしよう。
そう決意すると同時、教室の扉が開く。
吾とそれ以外の五人が、入って来た教師の方を向いた。
「あの、すみません。
奉仕活動の日時、間違えました」
何だと・・・・・・。
「正確には十二月三十日です。
今日は帰って下さ
「いや、奉仕活動だ。
今日は吾が、貴様という害悪を掃除してやろう」
「いや、だから何を言ってぎゃああああああああああああああああああああああッ!」
吾は自らの剣で、その教師を病院送りにした。