イケメン登場!
休みの日。
今日もまた、私は珈琲屋の扉を開ける。
今回の先客は六人。だが今回も様子がおかしい。
面子は淀子姉さん、寿奈、シズカのそっくりさん、カケルのそっくりさん、松岡、そしてもう一人いるのだが、女性陣――シズカ以外はだが、六人目の人物を凝視しているのだ。
男だ。輝く青い髪に、色白で端正な顔立ちをしている。
多分容姿は、イケメン揃いの某事務所に入っても、一番目立つレベルだ。
紅いブレザーの下には、青いネクタイを締めており、どこか執事っぽさを感じた。
「黒執事とかに出てきそうなイケメンだな・・・・・・」
でもやっぱりカッコいい!
私の人生で、こんなイケメンに会う日が来たとは・・・・・・いや、まあ私の本命は京極先輩だが。
それを傍から見ているカケルと松岡が口を開く。
「女の子って、やっぱイケメンに弱いなあ・・・・・・」
「あれのどこが良いんだろうな」
うるせえ松岡てめえは黙ってろ。
とか思っている内に、シズカがイケメンの方に顔を向けた。
「どこから来たんだろう、あの人・・・・・・」
え、これマズくない?
シズカがカケル以外の男性に興味を示すとか物語崩壊の危機じゃ・・・・・・。
「ん、そこの君。
浅井初、だよね?」
「は、はい!」
やばいやばい声掛けられた・・・・・・。
体火照りそう・・・・・・。
「あ、あの何故私の名前を存じておられるんですか・・・・・・?」
「君の小説を読んだことある人から聞いたんだ。
だから知ってる。
あ、自己紹介するね。俺の名前は土方慧」
土方慧・・・・・・なんてすばらしい名前なんだろう。
「ところで、慧は何故この世界に?」
「ああ、実は俺が主人公の小説が出るらしいから、それでここに来られるようになったみたいなんだ。それで今、他の方に挨拶をしているところなんだ」
なるほど、新主人公か。
「土方様ァ・・・・・・」
「ん、なんだい?」
「い、いえ何でもありません」
こんなデレデレしてる寿奈見たことがない。
「ところで、そこにいる彼女は俺と話したくないのかな?」
しまった。シズカに気付いたか・・・・・・。
まあでも、反応を見るのも悪くない。
慧はシズカの下に歩み寄り、声を掛けた。
「これこれはお嬢さん。少し俺と話しませんか?」
イケメンだぁ・・・・・・。
これはリア充のシズカでも流石にオチたでしょ・・・・・・。
「すみません。今彼氏といるんで邪魔しないでもらえます?」
「こ、これは失礼・・・・・・」
シズカァァァァァァァ!
「流石異世界を超えても繫がる赤い糸ってとこだな」
松岡がそう呟くのを聞いてから、カケル達を見る。
「良いのかい、あんな芸能人みたいな人と話せるチャンスだったのに」
「良いの! あんなのより、カケルの方がカッコいいよ」
「そ、そう・・・・・・?」
リア充・・・・・・。
てか淀子姉さんはどんな感じなんだろ。
「ところで君、浅井淀子さんだよね?」
「は、はい」
「実は同姓同名の人物が、俺の世界にもいるんだけど、君はそっちの方よりも美しいよね」
「あ、ありがとう・・・・・・」
「こんな事を言うのは初めてだ。俺と付き合って下さい」
唐突ッ!
だが淀子姉さんは。
「うーんでも、私は松岡と付き合うことにしたから」
「いやなんでだよ」
「付き合う気が無いなら抵抗するぞ拳で」
「嫌だァァァァァァァァァ!」
松岡の声が店中に響き渡るのであった。
はい、今度イケメン主人公の短編書きます。