表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼穹のエターナルブレイク-side イクトス-  作者: 星里有乃
第三部 転生の階段編
87/355

第三部 第21話 ガチャで超レア装備?


 修道院での療養生活から1週間……身体が完全に回復したオレは、魔王討伐の旅に出ることになったが……。


「守護天使エステル様からお告げがあり、このシスターマリアも勇者イクト様の冒険の旅に着いていくことになりました。勇者様のお力になれるよう、精一杯努力しますわ!」


 チャララララララン!

 テレレレレレレレチャーラーン!


『シスターマリアが仲間に加わった!』


 スマホから仲間が加わった時の音楽が流れ、シスターマリアが仲間に加わった。金髪美少女天使エステルは勇者を見守る守護天使というポジションで、すんなりみんなに受け入れられた。

 そういえばここは、神様や天使などの像や絵画も飾られているような修道院だ。守護天使という存在への信仰も厚くて当然か。


「イクト君、今現在のマリアさんはタイムリープ中の記憶がリセットされていてとても自然体なんだよ。だから、マリアさんの人柄が突然変化したわけではなくて……多分、イクト君が今まで知っていつマリアさんが進化を遂げたマリアさんだったんだと思う」

「進化……賢者に一度転職したのは確かに進化だったんだろうけど、ギャンブルにハマっていたのはかなりマイナス要素だったからな。まだ世間の毒に侵されていない清らかなマリアと一から冒険し直した方が安心なのかも」


 エステルの調査によると美しく優しいシスターマリアは、やはりオレの仲間のマリアと同一人物だった様子。ただ、記憶を完全に失くしている所為で、限りなくナチュラルな初期状態のマリアに戻っているのだという。


 シスターマリアが優しくオレに微笑み、「回復呪文とお料理しかできませんが頑張ります」と自己紹介。恥ずかしがるように微笑むシスターマリアは清楚で可憐で美しい……。


 まさか初期状態に戻るだけで、あの破天荒ギャンブラーがこんなに美しく見えるとは……。元々外見は美人だったものの、やはり人間中身が重要なのか?


「じゃあ、仲間も揃ったし冒険へ……あれ、そういえば……みんな武器を持っていないな」

「あっそういえばそうですね。私も杖すら持っていませんし……」


 オレもなむらちゃんも装備品が足りないことに気づく。

 さぁ旅立ち……と思ったが、装備品を整えていないのは不安だ。流石に、武器なしでモンスターと戦うのは抵抗があるし、何かしら護身用でもいいので揃えておくと良いだろう。


「教会の売店で、冒険者向けの初期装備を扱っていますわ! まずはそこで、職業に合ったものを揃えましょう」

 シスターマリアが売店の販売員さんにそれぞれの職業を伝え、倉庫から装備品を出してもらう。通常では、装備品の類は店頭に並べていないのかも知れない。


「そういえば……修道院の売店で初心者向けの装備は手に入るけど、それ以降はガチャシステムに依存するようになるから気をつけてね」

 守護天使エステルが思い出したように、ガチャシステムについて語る。


「ガチャって……もしかして課金要素のある? あれってデジタルコインに依存するんだろう。ログインサービスで毎日集めていくとガチャを回せるようになるまで結構時間がかかるし」

「うん。だけど今なら最初のクエストさえこなせば、無料で冒険の序盤限定10連ガチャが引けるから……まぁまずはステータスの確認だね」


 エステルに促されて、メンバーのステータスや装備データを取得する。冒険者用のアプリを起動すると、登録メンバーの現在のレベルやHPなどの情報が自動で追加された。



 * * *



 現在のパーティーメンバーのステータスは、以下の通り。


【メンバー:1】

 勇者イクト 職業:駆け出し勇者

 レベル:1(女アレルギーレベル3)

 HP:350

 MP:65

 攻撃武器種:棍・剣・槍

 装備武器:初心者の棍

 装備防具:冒険者のマント、旅行者の上下セット(ともに駆け出し冒険者シリーズ)

 装飾品:シンプルなベルト用チェーン

 呪文:初心者用攻撃呪文(炎系)


【メンバー:2】

 シスターマリア 職業:修道院出身の白魔法使い

 レベル:3

 HP:460

 MP:95

 攻撃武器種:杖・鞭

 装備武器:シスターの杖

 装備防具:シスターのローブ・旅人向けシューズ

 装飾品:琥珀の髪飾り

 呪文:状態異常回復魔法、治癒系回復魔法初級


【メンバー:3】

 黒魔法使いなむら 職業:魔法少女見習い

 レベル:1

 HP:300

 MP:70

 攻撃武器種:杖・ショートダガー

 装備武器:魔法使いの杖

 装備防具:魔法使いのワンピース、魔女っ子ブーツ

 装飾品:星型ペンダント

 特技:地図系探索魔法初級、攻撃呪文初級


【冒険案内役】

 守護天使エステル 職業:転生者の守護天使

 非戦闘員のため戦闘データなし。


【備考】

 ニューエディションモードに入った所為で、これまでの冒険のデータがリセットされてレベル1から3までに戻っている。ニューエディションというから、もう少しレベルが高いのかと思いきや女アレルギーの耐性に対する数値がプラスされただけで、攻撃ステータスには全く影響していない。


 幸い、修道院での仕事を行なっていたシスターマリアがレベル3に到達しているものの、リセット状態のオレとなむらちゃんはともにレベル1。

 オレに関しては、女アレルギー耐性だけが先にレベル3に到達してしまっていて、なんだかアンバランスな気分だ。


 それどころか、以前の冒険には初期職業格闘家の妹アイラがいたため、攻撃はとても楽だったが、今回は魔法使いにシスター、非戦闘員とMPが切れたら終わりそうなメンバー構成である。

 早急に、攻撃効果の高い強力な装備を揃えたいところだ。ガチャに依存しても良いが、運に頼るよりも武器屋を探した方が効率が良いだろう。



 * * *



「取り敢えず……物理的な攻撃力をもうちょっと高めたほうが良さそうだよな。次の街に行けば、専門的な武器屋はあるのかな? みんなも、攻撃力の高い武器を装備しないと心配だろう?」

「ええ、そうですね。ほんの少し取り戻した記憶を頼りにすると、この辺りから行ける大型都市のネオ立川シティかネオ八王子シティで武器屋を探すのがいいと思います」


 地図情報が正確なら、旅立ちの場所は前回の冒険スタート地点と同じく再奥の村だ。23区を目指しながらネオ立川経由で武器を揃えても良いし、以前とルートを変えてネオ八王子ルートを選んでも良い……。なかなか、迷うところである。


「あの……イクトさん、なむらさん……非常に残念ですが今回の冒険では武器屋というものは存在していない仕様なんです。以前はあったそうですが加工技術の特殊なスキルが魔王の圧迫によって封印されているので……。元々、存在している装備品を錬金する職人は存在していますが……」


 なんだって……武器加工スキルが封印されただと……。かろうじて生き延びている錬金職人が身近にいれば良いが、前回の冒険時では錬金職人にすら出会うことがなかった。

 オレやなむらちゃんよりも今回の世界線に詳しいマリアに、事情を尋ねる。


「武器屋がいなくて、どうやって冒険するんだろう。ガチャって最初の10連以降は滅多に引けないし。まさか、ガチャ以外では全部ダンジョンのお宝で揃えるとか?」

「そういえば、さっきの売店でも倉庫から大事そうに初期装備を出してくれましたものね。もしかしたら、今の初期装備でさえこの世界線では貴重なのかも……」


 不安感に襲われるオレとなむらちゃんを安心させるように、エステルが装備品について解説モードに入った。


「実はね、今回のシリーズから武器も防具もハイレベルなもにはすべてガチャで手に入れる仕様になったんだ。運が良ければ、いきなり超レア装備で冒険できるよ!」


 どうりでさっきから、ガチャを推奨しているわけだ。


「いきなり超レア装備? すごい仕様だな。いきなり最強装備で冒険か……。じゃあ、そんなに身構えなくてもいいんだな」

「まぁ10品も装備が手に入るんだったら、何かしら使える装備品が当たりますよね。常識的に考えて……。私達、ちょっぴりマイナス思考になっていたのかも」


 アプリを再び立ち上げて、基本画面の【ガチャ】という文字をタッチすると、陽気な音楽とともに宝箱のイラストが出てきた。

 ガチャ専用の可愛らしい犬型マスコットキャラが、ボイス付きでシステムを紹介。


『みんなの大好きなガチャについて説明するね! 武器防具がランダムに排出される10連ガチャは、必ず1つは高レア度の装備が揃う仕組みになっているよ。レア度は分かりやすく色で判断出来るから、初めてのガチャでも安心だね!』


 キラキラとした鉱石が周囲に輝いていて、鉱石の色でレア度判別できる仕様だ。もっともレベルの高い装備品を当てた時には、虹色の鉱石が輝き始めるとのこと。

 陽気で明るく高揚感が溢れるサウンドが流れてきて、何だかワクワクしてしまう。


『さあ、最初はスペシャルサービスで10回連続ガチャ無料お試しキャンペーン! 思いっきりタッチしてね!』


 宝箱をタップするための矢印が画面上に表示され、まばゆくカチカチと輝く。


「おおっ。なんだか、良さそうなガチャ画面だな! 必ず1つは高レアアイテムが手に入るらしいし……かなりいいんじゃないか?」

「そうですね。もしかしたら、いきなり虹レア装備が出てくるかもしれないし……」


 しかしその時のオレは、このガチャというシステムのおそろしさに気づいていなかった。そして、恐ろしい新システムがオレたちを以前にも増して、より一層狂わせてしまうことも……まだこの時は気づいていなかったのである。


 まだ、10連ガチャへの希望に満ち溢れていたオレたち……。


「ガチャで、超レア装備獲得だぜ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ