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蒼穹のエターナルブレイク-side イクトス-  作者: 星里有乃
第十部 異世界学園恋愛奇譚〜各ヒロイン攻略ルート〜
340/355

ハロウィンデート編1:それでもイベントは開催される


 人気スマホRPG『蒼穹のエターナルブレイク-side イクトス-』は、運営の変更などを経てついにサービス終了……いわゆる『サ終』が宣言された。とはいえサ終は来年の2月であり、それまではごく普通にイベントなどを開催するつもりらしい。サ終宣言後初の大型イベントは季節ものの定番『ハロウィンイベント』だ。


 ちょうど、恋愛シミュレーションパートを楽しんでいたオレにとっては、絶好のデートチャンスのはずだったが……。


「はあ……やっぱりサ終が決まると、なんだか気持ちが落ち着かないな。ガチャとか回したところでサービス時間も残り少なくないし、それとも最後は買い切りアプリにでもなるのかな?」


 ゲーム内の拠点であるマイルームの鏡の前で呟いていると、守護天使のエステルが励ますように明るくオレの独り言を拾う。


「イクト君、サ終は残念だけどすぐにシリーズ物で復活するケースだってあるし。これだけ長くサービスを続けていたんだから、買い切りアプリくらいにはなるのが常識だよ」

「そうだよな……せめて、買い切り化で基本的なデータくらいは残せるようにするのがユーザーへの恩返しってもんだ。よし、新しい運営を信じよう!」


 いろいろあって運営は行柄社長から妹の聖女ミンティアに変更後、さらに現在では新しく設立された別の運営会社にバトンタッチしていた。


「それで、ガチャ回すの? 今は、ハロウィン装備ガチャが開催されていて、吸血鬼のコスプレとかカボチャモチーフの武器とか揃っているんだって! しかも、運が良ければインテリアも手に入るよ」

「へぇ……一応、イベントを円滑に進めるためにガチャを回してみるか。あれっ? なんだよ、このレアハロウィンガチャって。良い装備が確定する10連は有償のみじゃん。まったく……ええと、課金カードで……」


 仕方なく有償ガチャを回すためにコンビニでゲット済みの課金カードを取り出し、ゲームの有償ガチャ石購入画面へと移動するが……。



【増税に伴う有償ガチャ石の価格変更について】


 ユーザーの皆さま、蒼穹のエターナルブレイクシリーズを遊んでいただき、誠にありがとうございます。この度、消費税増税に伴い、ガチャ石の販売価格を値上げしましたことをお知らせします。変更価格は以下の通りです。


【増税前】

 10連分につき3,000円


【増税後】

 10連分につき3,300円


 増税分に加えて石の価格そのものを値上げしましたため、購入の際はお間違えのないようご注意ください。今後とも蒼穹のエターナルブレイクシリーズをよろしくお願いします。



「こっ……これは! 増税した分に加えて、今までよりもガッツリ高くなっていないか? 誤魔化してるだろ、この価格。なんだよ、もうすぐサービス終了するくせに、消費税に便乗して値上げしやがって! 聖女ミンティアに代わって別の運営会社が終了まで切り盛りするらしいけど、こんなんじゃ先が思いやられるな。チッ……気分悪いっ!」

「イッイクト君、落ち着いて……。増税は、みんなに降りかかっていることだし、ここは我慢しよう」


 いつもは温厚なゲーム少年のオレだが、珍しくプチ切れしそうになるところをエステルに止められる。本来ならば、エステルの他にハーレム勇者認定協会のククリがオレを宥めてくれるのだが、ククリはリス精霊特有の『秋のリス祭り』に参加中で不在なのだ。おそらく、いつも以上にエステルの心身に負担がかかっている。


 それに普通に考えて、みんなに降りかかっている増税分以上に値上げが行われている気がするが。それだけ、ゲーム会社も運営費がかさんでいるのだろう。


「はぁはぁ……悪かったなエステル。つい切れそうになっちゃって……。ほら、今回の増税って飲食店とかテイクアウトと店で食べるのとで消費税が違うっていう仕組みじゃん。店の外のベンチの場合は……とかパターンが多いし訳わかんなくて、増税って聞くだけで頭がごちゃごちゃしちゃったんだ……。エステルと一緒に居られるのもあと僅かなのに、つい……ごめん」

「ううん。今回の増税は、飲食に関して設定が複雑だし。その一方で生活雑貨のお店なんかは、据え置き価格で頑張っているお店もあるし……なんだか大変そうだよね。でも、時間が経てば増税後の価格に対応した商品やプランも出てくるから! さっ楽しい気分で、ガチャ回そう」


 気を取り直して有償10連ガチャに挑戦! 確実に超レア装備が手に入るというスペシャルなガチャ……まぁわざわざ有償石を使っているのだから、良いものが手に入るだろう……多分。


【有償ハロウィンガチャ結果】

 レア度3:カボチャの置物/インテリア

 レア度3:コウモリの飾り/インテリア

 レア度3:素敵なキャンディボックス/体力回復アイテム

 レア度3:ワクワクステッキ/杖

 レア度4:カボチャの頭飾り/防具

 レア度3:カボチャのプリン/体力回復アイテム

 レア度4:愉快なカボチャと仲間達/インテリア

 レア度3:カボチャの灯り/携行用品

 レア度3:可愛い猫さんマフラー/アクセサリー

 超レア度5:超特大カボチャのクッション/インテリア



「う、嘘だろ……。せっかく課金したのに、超レア度5のアイテムがカボチャのクッションって! 吸血鬼とかの武器はどこなんだよっ。コンセプトおかしいだろ新運営って。無償バラマキの女王ミンティアを見習えよっ」

「イクト君、落ち着いて! 私、マイルームでイクト君のこと待ってる機会が多いから、インテリア増えて嬉しいよ。ほら、早速カボチャクッションを設置してみよう。えいっ」


 ポワンッ! と軽快な音を立てて、超特大カボチャのクッションが部屋を占拠。ついでに、コウモリの飾りやカボチャの置物、キャンディのボックスなども部屋に飾りあっという間にハロウィンムード全開となった。


「あれ、こうやって飾ってみると、結構凄いな」

「ほら、イクト君って、これまでバトルと女の子のデートに明け暮れてて、お部屋作りする時間がなかったから。そうだ! せっかくだし、次のデートの相手のうち誰かとは、このお部屋でデートするといいんじゃない?」

「お部屋デートか……そういえば、次のデートの相手ってそろそろ決まるんだっけ」


 すると噂をすればなんとやら、タイミングを見計らったようにスマホから次のデートの相手のリストが送られてきた。


「次のデートの相手は……神官エリス、ルーン会長、猫耳メイドのミーコか。ハロウィンイベントに参加エントリー済みのメンバーってことだよな」


 バトルではエリスもミーコもサポートメンバー的な役割だし、ルーン会長に至っては数回しか一緒にクエストをこなしたことがない。だが、デートとなると話は別……。特にエリスは攻撃力が強い訳じゃないが、激しいバトルは避けていけばなんとかなるだろう。


「せっかくだし、ハロウィンイベントを楽しむといいね。イクト君!」

「ああ……メンバーも決まったし、秋のハロウィンデート攻略開始だッ」


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