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蒼穹のエターナルブレイク-side イクトス-  作者: 星里有乃
第七部 ハーレム勇者認定試験-後期編-
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第七部 第23話 10月31日の仮装パーティー


 今日は10月31日、俗に言うハロウィン当日。待ちに待った仮装パーティーが体育館で開催された。魔力でふわふわと浮かぶカボチャランタン、本物の黒コウモリが飛び交う本格的なパーティー会場と化しているおかげで、カボチャランタンとリンク中のオレも浮かないで済んでいる。


「ハロウィンの最終イベント、立食仮装パーティーを始めます……みなさん、トリックオアトリート!」

 ルーン生徒会長の合図により、ダークテイストな音楽が会場に流れ始めて食事にダンスに……まるで仮装社交界のようだ。



 仮装姿の生徒たちは、ハロウィンライフをエンジョイしており、吸血鬼や狼男といったオーソドックスなコスプレから、ちょっと色っぽい女サキュバスのコスプレなど華やかである。

 すると、既視感のあるツインテールの美少女が猫耳メイドのコスプレで、他の少女たちと一緒にはしゃいでいる姿が見えた。こちらの視線に気づいたのか、いったん少女たちの輪を抜けてオレたちのいる方へと軽やかな足取りで向かってくる。


「にゃーん! 萌子お姉ちゃん、ミンティアさん、ランタン君も、トリックオアトリートにゃん! お菓子をくれないといたずらしちゃうよ! にゃあん」

 ……ずいぶん、にゃんにゃん鳴くな。ミーコの真似なのかもしれないが、本物はもう少し控えめに、にゃあにゃあ鳴く気がする。まあいいか。


「よく似合っていますよ。アイラさん」

「うふっランタン君、ありがとにゃん! この衣装、ミーコに手伝ってもらったんだにゃん」

 黒のミニスカメイド服は、白いフリルと水色のリボンがアクセントなっている。白いニーソもフリルが印象的で、なるほど……ミーコっぽい衣装だ。白い猫耳の色から察すると、黒猫のミーコと対になるように白猫を意識しているのだろうか? ただ、本物の猫耳族であるミーコとは違い、猫しっぽはついていないようだ。


「アイラ、今日は猫耳メイドのコスプレなんだぁ。ミーコとお揃いだね。似合ってるよ。キャンディでいい?」

「ふふっアイラちゃんったら、はいクッキーよ」

「にゃん、ありがとう! あっパンプキンパイ配ってる! もらってこようっと。じゃあまたねっ」

 再び、同学年の少女たちの輪に戻るアイラ。パンプキンパイを受け取り、ご満悦の表情だ。楽しそうで良かった。

 軽食として人気の程良く甘いパンプキンパイは、切り分けて配られており生クリームをたっぷりかけてほおばる生徒の姿もちらほら。


「いよっ! 萌子ちゃん、みんな、トリックオアトリート! なあ、お菓子持ってないなら、いたずらしちゃうけど萌子ちゃん……どうする?」

「もうっマルス冗談はやめてよっ! はい、お菓子あげるからどっか行ってて!」


 やや、セクハラチックな挨拶で登場したのは、同じ勇者コースに所属するマルスだ。吸血鬼風のコスプレ姿で、普段はおろしている前髪を上げており、黒髪黒マントとコーディネートも良く、男前度が上がっている。萌子に対してからかうような調子だが、何故か二人とも頬を赤く染めており、まんざらでもなさそう……そんなバカな。


 オレのいない間に、何かのフラグが立ったのか? 

 やめろっ。想像したくもない……オレの女版アバターが、オレの親友ポジの男と恋人フラグだなんて……女体化モノの定番展開じゃないか? 正確には、萌子はオレの双子の妹という設定だが……。

 オレは自分がランタンボディであることをすっかり忘れて、思わず萌子を守るように前へ出た。


「マルスさん……萌子さんに何かへんな悪戯したら、このランタン君がただじゃおきませんよっ」

「ははっランタン君は、心配性だなあ。安心しろよ! ちゃんと、萌子ちゃんのことは大事にするからさっ。交際を認めてくれると嬉しいんだけど」

 交際だとっ? 大事ってなんだ? オレは自分が思っている以上に萌子ラブだったのか、動揺してしまいランタンボディでおろおろと飛び回る。

「もう、ランタン君。落ち着いてよっ。いつもの冗談なんだから」


 騒がしい声が目立ったのか、ギルドのお菓子配布係を担当していた女勇者レインが、オレたちにも星形のキャンディをくれた。


「萌子ちゃん、みんな……トリックオアトリート! 星のギルド特製星形キャンディだよ」

「わぁありがとうレイン! 可愛い、黄色い星形飴だ。ねえマルス」

「ああ、オレのギルドじゃこういうの配らないからなぁ。前線バトルギルドだし……サンキュな」

 レインの配る星形の飴を、嬉しそうに受け取る萌子と見守るマルス。さっきは嫉妬心で動揺したが、よく考えてみれば萌子は勇者とはいえ、本質はか弱い少女……。それなりにイケメンで、強そうなボディガード役がいた方が身が守られるのだろう。


「萌子ちゃんとマルスは、いつも楽しそうでいいね……うらやましいな……私もイクト君と……」

 何かを言い掛けるレインを見て、ミンティアが珍しく眉をひそめた。おかしいな、ミンティアとレインはもう少し仲が良かったはずだが……。

「んっレイン? どうかしたの」

「ううん、萌子ちゃん……なんでもない。ギルドの仕事があるから、またね……」


 オレは、残念ながらカボチャランタンを介してここの様子を見るだけなので、飲食の類は出来ないが、ミンティアたちとともに、ハロウィンムードを楽しめただけでも良かった。ミンティアとレインの微妙な空気が気になるが、今のランタン状態のオレが何か言っても変わらないだろう……仕方がない。


 その後は、楽しいムードでハロウィンパーティーは続き、二次会のカラオケ大会へと参加するメンバーと解散するメンバーとに生徒たちが分かれて、いつの間にか終了となった。


 現在時刻は夕方……。

 今夜、図書館の番人に挑むことになる。時間ぎりぎりまで片づけの仕事をしようとしていた萌子たちに、イベント委員会の他の役員たちがバトルに向けて休むようにと促してきた。


「ルーン会長、萌子先輩、あとは私たちが片づけておきます。バトルに備えてください」

「オレたち、今年はルーン会長が図書館の番人に勝つって信じているんです。なんたって女勇者の萌子先輩がいるんですからっ勇者様と賢者様が本気出せば、絶対バトルは突破できますって」

「ははは、じゃあお言葉に甘えて……期待に応えられるように頑張るよ。自分自身と兄さんのためにもね」


 イベント委員会の拠点となっている視聴覚室で装備を調え、軽食をとり、魔法アイテムを確認。

 バトルメンバーは女勇者萌子、女賢者ルーン、女魔法剣士キオ、召還士ミンティアのパーティーだ。

 サポート役には、オレとランタン兄さんというランタンコンビ。



 以下、攻略メンバーのステータスである。


【メンバー:1】

 勇者萌子 職業:学園勇者(ランク星5) 

 レベル:37

 HP:1920

 MP:190

 攻撃武器種:棍・剣・槍

 装備武器:軽量型女性向けソード(サブウェポンとしてロングソード・改)

 装備防具:ダーツ魔法学園女子制服・女性用銀の胸当て

 装飾品:ラブリーチャーム・呪いよけのブレスレット

 呪文:中回復魔法、攻撃魔法全体


【メンバー:2】

 聖女ミンティア 職業:学園聖女(サブ職業召還士)

 レベル:36

 HP:1610

 MP:230

 攻撃武器種:召還用にショートダガーのみ

 装備武器:銀のショートダガー

 装備防具:ダーツ魔法学園女子学生服・魔法の白ニーソ

 装飾品:星屑のピアス・回復のお守り(毎ターンHP・MP回復)

 呪文:状態異常回復魔法、召還魔法各種


【メンバー:3】

 賢者ルーン 職業:学園賢者(元黒魔法使い)

 レベル:38

 HP:1880

 MP:370

 攻撃武器種:杖・鞭

 装備武器:生徒会長の杖

 装備防具:ダーツ魔法学園女子学生服・賢者のローブ

 装飾品:インテリなメガネ・生徒会長のバッジ

 呪文:回復魔法大、攻撃魔法各種


【メンバー:4】

 魔法剣士キオ 職業:学園魔法剣士(元黒魔法使い)

 レベル:34

 HP:1560

 MP:150

 攻撃武器種:剣・杖

 装備武器:生徒会役員の剣

 装備防具:ダーツ魔法学園女子学生服・魔法剣士の籠手

 装飾品:生徒会役員のバッジ

 魔法:黒魔法各種


【サポートメンバー:1】

 ランタンくん

 ふわふわ浮かぶハロウィンの可愛いマスコットキャラ。明かりを灯したり、囮になってみんなを守るぞ!


【サポートメンバー:2】

 ランタン兄さん

 メガネがトレードマークのお兄さんランタン。そこはかとなく、乙女ゲームむけのイケメンオーラを放っているのはランタンに込められている魂の影響?

 呪文が得意でサポート役をこなすぞ!




 ミンティアが召還武器であるショートダガーを手入れしながら、萌子にぽつりぽつりと質問。


「萌子ちゃん、あのさ……異世界から転生してきたときのことって、覚えてる?」

「えっ自分がどうしてこの異世界にいるのか分からなくて……ずっと待機室で、待たされていたから……」

「待機室……萌子ちゃん、本当に思い出せないの? 何か覚えてない? たとえば、先に誰かに女勇者の職業を取られちゃったとか……」

「えっと……あれっすごく昔に、スマホゲームで討伐クエストを他のプレイヤーに譲ったことがあったような……そのときに……」


 話から察すると、萌子は本当に存在する誰かなのだろうか? オレって地球では、どんな家族構成だっけ……。妹は、一人? 二人?

 萌子たちの会話を黙って見守っていたルーン会長が、懐中時計で時間を確認し出陣の合図を出す。


「時間だ、行こう。番人の元へ!」 


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