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蒼穹のエターナルブレイク-side イクトス-  作者: 星里有乃
第六部 ハーレム勇者認定試験-前期編-
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第六部 第8話 装備錬金を始めよう


 無事、ハーレム勇者認定試験第一段階合格したものの、最終日に行われたバトルテストで愛用の棍が壊れてしまった。

 ククリの助言で、自分好みに武器防具をカスタマイズできるという【装備錬金】に挑戦することに……。


「錬金なら犬耳族のココアに頼めばいいにゃん! さっそく、メールで予約をしておくにゃん」

 猫耳メイドのミーコに、装備錬金を行うための手配してもらう。予約が取れたため翌日の朝、『星のギルド』を経由してココアの武器屋へ。


 メンバーはオレ、ククリ、ミーコ、アイラ、レイン、そしてこれからの認定試験でパートナーとなる白魔法使いマリアだ。



 * * *



「はぁ……相変わらず賑やかだね。この前来た時よりも、露店が増えた気がする」

「みゃあ、これから暑くなるから冷たい飲み物やアイスクリームの需要が高いのですにゃ」


 果物や洋服などの露天が立ち並ぶ商業ストリートを通り、ココアの武器屋を目指す。

 まだ、午前中だが日差しが強く、午後はもっと暑くなりそうだ。半袖の装備で来て良かったな。


「たしかに冷たい飲み物が恋しい感じ。それにしても暑いね、まだ五月なのに夏みたい。何か飲み物を買おうか……」


 レインが額の汗を拭いながら空を仰ぐ、そしてあたりを見回し飲み物が手に入る露店を探し始めた。


「うん。アイラもなんだかノドが乾いちゃったな」

「本当……せっかくですし水分補給しながら歩きましょう


 レインの提案により、露天でフルーツドリンクを購入。


 濃厚なフルーツミックスドリンクで元気を取り戻し、再びストリートを進むと目的の煉瓦造りの建物が見えてきた……『犬耳武器防具店』に到着。木製のドアには【装備錬金始めました】と書かれた張り紙。



 カラン、カラン! 武器屋のドアを開けると、軽快なベルの音が鳴り響く。店内はそれなりに広く、新品の武器防具が陳列されている。


「いらっしゃいませ……あっミーコちゃん、勇者さん達、お待ちしておりましたワン。装備錬金の発注、ありがとうですワン」


 ココアは栗色の髪をポニーテールに結んだ大きな瞳が愛らしい普通の人間の少女の様だが、犬耳と犬尻尾がついており、獣人族であることを示している。


「ココア、久し振りだにゃん。はい、おみやげだにゃん」


 ミーコが獣人族専門店で購入したおみやげを手渡す。肉球のマークがついた袋に水色のリボンがラッピングがされている。中身は何だろう?


「ありがとうワン。開けてもいい? あっ星印ジャーキーだワン! 私、アースプラネットのジャーキー大好きなんだワン。この辺だと、あまり手に入らないから嬉しいワン」


 ミーコの手みやげを受け取り、尻尾をふりふりするココア。犬は尻尾を振っている時は大体喜んでいる証拠だと言われているし、きっと本当に嬉しいのだろう。


「にゃあ、喜んでもらえて良かったにゃん」


 和やかなムードの猫耳族と犬耳族の交流が落ち着いたところで、本題に入る。


「あの……ココア、さっそく装備錬金をお願いしたいんだけど……」

「はい、勇者さんの装備は限界値突破で壊れたそうなので、中流用の武器を基本に特殊加工をオススメします。特殊加工素材は精霊の宿る土地でゲットできますワン。今すぐに錬金素材は揃えられないので、先に他の装備錬金を済ませておくとイイですワン」


「そうだな、これを機にみんなの装備もパワーアップするか」


 これまでのクエストでゲットした素材と、いつも装備している武器を手渡す。といっても、素材はギルド経由で売却してしまうことがほとんどだったので、今オレたちの手元にある素材は数が限られているが……。


「はいっ。この間のクエストで手に入った鉱石だよ。ええと……素材ランクBか……うーん。せっかくだしもっとランクを上げる?」

「いえ、素材はハイランクのものだけではなく、まんべんなくランクを揃えた方がバランスよく作れますので。ちょっと見せて下さいワン」


 持参した素材は美しい野草やモンスターの皮、鉱物など。


 ココアは広めのカウンターにゴロリと並べた金色に輝く鉱物や頑丈なモンスターの皮、赤色の草花などを手に取り、持ち込んだ装備品で何が錬金出来るのか調べ始めた。


「ワン! ふむふむ……この素材と武器の組み合わせですと……アイラさんの新しいナックルが作れますワン。既製品のパワーアップになるから短時間で作れます。料金は……これくらいですワン。今はお試しフェアでお得に錬金出来ますワン」


 ココアが錬金書に描かれた完成装備品のイラストとともに、電卓で試算した料金をオレたちに見せる。新しい武器を購入するよりもリーズナブルだ。


「へぇ錬金装備【グレートナックル】か。攻撃力は今までものより30高いな。どうするアイラ?」

「うん。せっかくだし、お願いしようかな?」


「ワン! さっそく取りかかりますワン。15分ほどで完成します。あとは……初めて錬金を依頼されたお客様に差し上げているモノです。装備錬金の簡単なパンフレットですワン。参考にして下さいワン」


 A5サイズの小冊子を手渡される。本のタイトルは『はじめての装備錬金ガイドブック』今のオレたちにぴったりな内容だ。


「ありがとう……勉強するよ」



 * * *



 ココアはエプロンをキュッと結びなおして、奥の工房へ。

 ミーコもココアをサポートする為に中へと入って行った。トントンと装備を加工する音が聞こえ始める。どうやら作業が始まったようだ。

 アイラとレインは新しい防具を手にとって選んでいる。


「イクトさん、さっそくパンフレットを読んでみましょう」


 オレとマリアは武器屋内の休憩スペースに設置されたイスに腰掛け、パンフレットをぱらぱらと読み始めた。錬金に用いられる素材の解説や、有名な素材集めのスポットが紹介されている。


「さっきココアさんが言っていた精霊の宿る土地、私が先日お話した素材スポットかもしれません……あっここです」

「どれどれ、精霊が宿る湖畔や泉で散策しながら素材集め……。デートスポットにも最適。水の精霊が守るエリアと風の精霊が宿るエリアに分かれています……へぇ良さそうな場所だな。でも、ここにある全種類素材をコンプリートするには三日くらいかかるのか」


 マリアが、デート試験と素材集めを同時進行でこなせると話していた場所が紹介されている。景観の美しい湖畔だ。


「ここなら、ゲートから移動キューブで転移すれば、放課後でもクエストできますね。さっそく今日、ここに訪問して移動ポイントとして登録しましょう」

「そうだな。あれっ? 注意書きだ。奥地にはモンスターが出現するので民間人は奥へは入らないように……」


 植物系の凶暴なモンスターの姿が数種類描かれている。


「困りましたね。万が一に備えてイクトさんの武器を用意しないと……でも、今はイクトさん棍を装備できないんですよね」

「ああ、すぐに折れるらしくて……何か別の武器を考えないと」

「イクトさん、私達もサブウェポンを考えると良い時期なのかもしれません」


 サブウェポン……メイン武器種以外に使用するサブ的な武器種のことだ。



 すると、錬金が完成したのか、工房からココアとミーコがナックルとロングソードを手にして出てきた。


「ワン! 完成しましたワン」

「にゃあ、【グレートナックル】と【ロングソード改・獣人エディション】だにゃん」

「わぁ、新しいナックルだ! 見て、お兄ちゃん、すごく付けやすいよ」


 アイラがさっそく新しい武器を装備する。きらりと手に馴染む鈍い金色がなかなかシックでお洒落だ。


「良かったなアイラ。似合ってるぞ」


 アイラの喜ぶ様子を満足げに見ていたオレに、ココアがすっとロングソードを手渡してきた。


「これは? もうひとつ練金そてくれたんだね」

「ロングソード改・獣人エディションは、私のオリジナルレシピですワン。まだ、正式に実装していないものなので勇者さんにモニターとして使用してほしいのですワン。もちろん無料で差し上げますワン」


 ココアのオリジナルだという錬金ロングソードは、柄の部分に橙色の魔石がはめ込まれている。


「えっ無料って……本当にいいの?」

「ワン! よろしければ、サブウェポンとして長く利用してもらえると嬉しいですワン」


 ロングソード系は普段はめったに使うことのない武器種だが、このロングソードは不思議と手に馴染む。


「ありがとう、ココア! じゃあ、出発するか。次は、素材クエストへ」


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