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プロ野球への天道  作者: 日下田 弘谷
第9章 勝負師たちの恩返し
92/150

第1話 ある意味で『問題児』

まだ全章書き終えてはいませんが、できた範囲での投稿です。

それと前話のオマケ(複雑怪奇な珍プレーの解説)も

数日前に投稿しています

※割り込み投稿は新規更新に反映されないんですよね。

 土佐野専が一般的な野球部との違いとしてあるのは、休むことも立派な練習として認識している点である。疲れを理由に練習を休んでもいいわけで、さらには精神的リフレッシュに遊びに行く。と言って休むのもまたOKである。

 そのため体調不良なら堂々と休んでしまって構わないわけだが。

 4組球場。

 9時にもなると準備の終えた野球科生がグラウンドに姿を現す。自主性に委ねられる練習メニューも、いつのまにかウォーミングアップの流れだけは固定化されつつあった。

 グラウンドをフェンス沿いに1周のランニングをした後、外野の芝の上で軽く準備運動。1人で行う屈伸や、アキレス腱ストレッチなど。

 そうした練習の後は、こちらも自然と出来上がったいつもの2人組グループでストレッチ。

「神部、やろうか」

「はい」

 彼女が移籍後に宮島へ積極アピールしたこともあるが、彼はもともと長曽我部と組んでおり、それで相手を失ったこともあり、宮島―神部グループがいつもの組み合わせ。

『(休んでないってことは練習をする気はあるんだよなぁ)』

 神部はまずその場に座ると、足を揃えて前に伸ばして前屈。

「いくぞ。い~ち、に~」

「い~ち、に~」

 普段は周りに元気を与えるような大きな掛け声を出している神部だが、今日の彼女は宮島のそれに押し負けてしまうほどにおとなしい。

「次、開脚な」

「はい」

 今度は足を広げて前に倒す。そして今度もまたローテンション。

 メニューは決まっているためストレッチは淡々と進み、ひとまず神部は終了。今度は神部がサポートに回り、宮島がストレッチへ。

「い~ち、に~」

「い~ち、に~、っと、神部。もう少ししっかり押して」

「はい」

 いまいち背中からの押す力が弱い。そこで強めに押すように要望してみるも、まだ弱い。神部のパワーは少なくとも成人男性のそれに匹敵する、もしくは上回るほど。ただ女子ゆえの非力というわけではない。

 どうも不安が拭えないストレッチの後は、身体全体を使ったストレッチも兼ねて、投球練習・守備練習のためにキャッチボール。特に遠投の必要がないピッチャー・キャッチャーであるため、せいぜい2人の間は塁間よりやや広いくらいか。その距離を最初は肩慣らし程度のスピードで、肩が温まるにつれて7~8割くらいの力で投げる。

 ただその投球で違和感は確信へと変わる。

『(な~んか、今日の神部はボールが違うな)』

 キャッチボールであり投球練習ではないからかもしれないが、いまいち回転がいいとは言えず、野手ならまだしも本職・ピッチャーの投げるものとは思えない。もちろん友田のクセ球のように良く生かせる回転の悪さというのもなかにあるのだが、その悪さとはまた別のものである。

『(投球は送球の何倍も繊細なもの。足場の状態、身体の具合、心理的状況。いろんなもののちょっとした変化が大きな変化を生むものだけど、神部はそれがもろに出てるな。今はキャッチボールだからごまかしも効くけど、投球練習もこれならちょっとした調子の波ってレベルじゃねぇな)』

 約20分弱。キャッチボールを続けて肩を温めた後は、場所を変えてブルペンへ。自称・暗黒の魔導師(またの名を立川)から「新球種を生み出したぜ。その名もダークネスシャドーショットセカンド。受けて意見を聞かせてもらいたい」とか言われたが、「順番だから後でな。それとファーストはどこにいった?」とひとまず後回しにして神部との投球練習。

 そして開始した投球練習であるが、もう一度行ったキャッチボールでもそのおかしさは改善されず。結果、まだボールに不完全性を残したままで投球練習へ。

「――っと」

「あっ、すみません」

 ボールの質がいまいちなのもそうだが、とにかくボールが暴れ回る。10球程度しか投げていないのに、既にホームベース周辺には4つのバウンドの跡ができている。

「今日のとかやん、荒れとるやん。不調気味やなぁ」

 ちょうど彼の右で本崎の投球練習を受けていた小村が、顔は正面を向けたままでやや声を抑えて口を挟んでくる。

 因みに「とかやん」とは『と』もみ+『か』んべ+『やん』から生み出された神部の愛称である。

「不調どころか絶不調だけどな」

「まだ疲れが溜まっとるんやろ。土日の試合はリリーバーとはいえ連投しとる。それにとかやんは4組に来たばっかりやしなぁ。移籍者には移籍者の苦労があるんやろ。み~やん、とかやんに無茶させたらあかんで?」

「そうだな。今日は軽めにしてあがらせるか」

 こうした相談ができるようになると、投手陣丸抱えの頃に比べて宮島の負担も減ったものである。

 投手陣のまとめ役として投手キャプテン・立川もいるが、まとめ役であって管理者ではなく、こうした調子の管理に関わっているとは言い難い。野手キャプテンの神城も投手陣絡みは蚊帳の外。さらに監督・広川は投手陣どころか野球科だけですらなく、審判養成科、マネージメント科、経営科を含めた4組生全員を束ねる担任。人生的な意味でも野球的な意味でも大先輩であり積極的関与はかなり助けになるのだが、さすがに4組全体を見るべき立場ともなると、細かさや速効性に欠けるのはやむを得ない点ではある。

 そうなると、同じキャッチャーとしての立場を持つ小村の存在がどれだけ大きいか。

「と、言ってもすんなり休むとは思えへんけど」

「そこは自己判断だろうな。それにあいつは無理するとは思えねぇ。去年末に怪我をしているしな」

 話している間にも5、6球ほど投球を受けていたため、キャッチボールを除いて本日の投球数は15球前後といったあたり。それで終わりにするには中途半端すぎると感じた宮島は、残り5球を投げさせてだいたい20球。そろそろペースを上げていこう。というタイミングで立ち上がって投球練習を打ち切る。

「そろそろ終わりにするか」

「え? 早すぎませんか? まだ20くらいしか……」

 声を抑えていたため、そして立川の下手な鼻歌などで周りが騒がしいために、小村とやり取りは聞こえていなかったのだろう。彼女は本当に理由が分からないような、突発的に予想外の事を言われたように目を見開く。

「土、日と連投しただろ。抑えめにしとけ」

「大丈夫です」

「また壊すぞ」

「……はい」

 痛いところを突かれた神部は小さく頬を膨らませてむくれながら、クールダウンのキャッチボールを始める。指摘が指摘だけにそれ以上は言い返してこないが、いつも以上に不満層である。

「ふふふ~ん、この世界は~」

「楽しく歌ってるところ悪いが、立川副隊長。そろそろ終わるぞ」

「おっと? 少し前倒しかな?」

「どうでもいいから準備しろ。因みに準備が遅いと割り込みあるぞ」

「イエッサー」

 そして宮島は機嫌よく魔法少女アニメ(なお主人公の使用武器(メインウェポン)は魔法要素の欠片もない本物の拳銃(ワルサー)。『魔法少女』とはいったい……)のオープニングを歌っている立川に対し、投球練習の準備をさせておく。

「で、神部はこれからどうするよ。僕はノースロー。できるなら休むことを推奨はするけど」

「野手の練習に混じって練習します。ノースローと言っても送球くらいなら問題ないですよね?」

「それは自分の肩や肘に聞いてほしいな。僕はコーチでもないしなんとも」

「あれ? み~やんって選手兼任コーチやなかったんやなぁ」

「小村、殴るぞ」

「それは失敬。そういえばひこやんも抑えめにしようや。日曜日に先発したばっかりやし」

 某ゆるきゃらに似た愛称の『ひこやん』こと本崎忠彦にそう提案。本崎も投球練習はほどほどにクールダウンへと移る。

「結局は神部の自己判断だから。ただ、投球練習はもうやめとけ」

「そうします」

 ややどころかかなり不完全燃焼感のある表情。クールダウンのキャッチボールを終えると、後ろのベンチに腰かけて水分補給と汗拭きしながら一休み。そしてボストンバックを左肩から掛けて駆け足でブルペンを後にする。

 その背中を目で追いながら宮島はため息を漏らす。

「み~やんも大変やなぁ」

「だろ? 誰か代わってほしいよ」

「無理やろ。み~やんは替えがきかへん存在や」

「いかにも良いように言いやがって」

「本当にいい意味で言ったつもりやで?」

「どうだか」

 小村と煽り合っているところへうるさい立川が水を差す。

「隊長。準備OKですぜ。俺のダークネスシャドーショットサード。ぜひ受けてくれ」

「ファーストと、さっきのセカンドは?」

「進化した」



 午前中は投手陣の投球練習を手伝っていた宮島も、午後からは野手陣による全体練習に加わる。まずは投内野連携守備練習(シートノック)とのことで、宮島はグローブに付け替えて練習に向かう。本職はキャッチャーだが一応それ以外のポジションを守れるようにとのことで、時折練習をしているのである。現在の彼の各ポジションの上手さというと、ファーストでは神城に劣らない捕球技術を見せ、ライト・センターは及第点と言ったところ。残るは論外。どうもセカンドおよび左側は苦手な様子である。

 今日の守備位置は神城と一緒にファースト。捕球技術はともかくフィールディングに難がるため、そこを重点的に練習しようということである。

「時に神城」

「どうしたん?」

 宮島は1塁コーチャーズボックス付近から、サードからの送球を受ける神城に問いかける。

「右でのファーストって、真正面のゴロでセカンドゲッツーってやりにくくない?」

「そう?」

「だって、捕ったら1回転しないとダメだろ?」

 宮島は打球処理のフリをしてみせる。左利きだと正面の打球を処理した後、踏み変えずに1塁へと送球ができる。しかし右利きでは正面の打球を処理した後は右腕が2塁側を向いているため、足の踏み替えが必要となるのである。

 実際、宮島の打球処理のフリは、正面の打球を下からすくい上げた後、左足を右足の後ろを通して体を反時計回りに半回転。2塁の方へと送球モーションに入る。

「普通はこうだろ?」

「普通はそうじゃなぁ」

「神城はどうしてる? 試合だとあまりそういうとこ意識してないし」

「ファースト真正面じゃったら、1塁踏んで2塁送球のリバースフォースダブルができるし、それ以外でも簡単じゃなぁ」

 そう言うと神城は守備に付き、

「監督~、ちょっとファースト正面にゴロ打ってぇや。それとセカンゲッツーいくけぇのぉ。神部(ピッチャー)は1塁カバー忘れなさんな」

 そう言って打球を要求。ノック補助からボールをもらったノッカー・広川は、神城の要求にファースト真正面のゴロを打つ。すると神城はゴロに向けてダッシュ。

「見ときぃよ。こっから――」

 と、神城は打球処理前に足を踏み替え、体を時計回りに回転を開始。半身から完全半回転になる途中に逆シングルで捕球をし、そこからは踏み替え無しで2塁へ送球。

「――こうするんよ」

 捕球後の踏み替えがタイムロスに繋がるなら、捕球前に踏み替えてしまえ。という神城のトンデモ理論。彼の俊敏性や打球反応と言った技能を生かした、守備型一塁手ゆえに成せる業である。

 そのやや速い送球を受けたショート・前園。右足を2塁ベースの上をかすらせながら、球を握り替えて1塁へと送球。名手・神城 → 名手・前園と4組名手コンビにより成立した芸術的ダブルプレー。そのラストボールは、

「あっ」

 ファーストのベースカバーに入った神部が落球。

「マジでかぁぁぁ」

「Noooo‼」

 神城・前園揃ってその場に膝を突く。

「その……なんだ。神城。勉強になった」

「それならよかったわ。それと1塁にランナーがおる時は、牽制でベースについとることが多いけぇのぉ。本当にライン際とかでもない限り、基本は逆シングルでええじゃろぉ。あくまでも僕のやり方じゃけぇ、合う合わんがあるじゃろうけど」

「そ、そっか。ありがと」

 神城に励ましも加えておいて練習再開。

 しかしこう見ると土佐野専の内野陣は鉄壁である。

 ファースト神城は先ほどの通りだが、サードを守る鳥居。三遊間の打球を飛び込んで受けると、上体だけ起こして両ひざを着いたままで2塁へと送球。

 さらに圧巻なのが二遊間。セカンド・原井が二遊間セカンド寄りの打球を逆シングル捕球すると、2塁ベースへとグラブトス。それを前園が簡単そうに素手でキャッチ。得意のベアハンドキャッチからの1塁送球。

 堅実性には大きく欠け、エラーは多少多くなりそうなプレースタイル。しかしエラーの多さはヒットをアウトにすることで補い、さらにお釣りも作ってしまう。さらに言えばその変則的スタイルも、極めればエラーを減らせるようになる。こうなってはローリスクハイリターンである。

 みんなの好守備が連発する今日は、その中で精彩を欠く存在がかえって目立ってしまう。

「では、次。ピッチャー行きますよ。はい、ボールセカンゲッツー」

 広川は手元で上げたボールを、ノックバットで軽く打ち返す。打球は緩いピッチャーへのゴロ。拾った神部は反時計回りに回転しながら2塁へ――

「あっ」

「Really?」

「なんで今日の前園は英語が多いんだ?」

「なんでじゃろうなぁ?」

 前園でも処理できない大暴投。ボールは外野へ転々としてしまう。

「どうした、どうした。試合でそんなことやらかしたら、ランナー1・3塁だ。もう一丁」

「なんで広川さんはまたキャラが崩れ始めたんだ?」

「なんでじゃろうなぁ?」

 今度の神部は拾った後、しっかり足場を整えて確実に2塁へと送球。2塁カバーの前園はワンテンポ遅らされて送球を受ける。そこから1塁の宮島へと球を返す。

「そんなんじゃオールセーフだぞっ」

 今現在の2連続でのものも含め、そこに至るまでの度重なる神部のミス。それに対して久しぶりにキャラの崩れ去った広川の怒号が飛ぶ。

「気が乗らないなら帰って休め。気を抜いてたら怪我する」

「大丈夫です」

「冗談抜きでだ。休むことも立派な練習だ」

 これが立川あたりなら「なるほど。ボスの言う通りだ。では、帰って休ませてもらうとしよう。お疲れ様です」「お疲れ~」といったやりとりを広川と行って即帰宅。クーラーの効いた部屋でアニメDVDを見ていることだろうが、どうも神部はそうでもない。

 マウンド上で大きく深呼吸してから構えなおす。

「いけます。もう一丁お願いします」

「分かった。無理ならすぐ休めっ」

 そこまで強く言われては拒否もできず。広川は三度、ピッチャー・神部にノック。今度はしっかりした動きでダブルプレーを完成させるも、いつものような動きのキレはない。

「今日の神部は調子が悪そうじゃのぉ」

「朝方からそうだったんだよなぁ」

「気付いとったん?」

「気付いてないと思った?」

「気付いてないと思った」

 宮島とあろうものが、あれだけ一緒にいて気付かないわけがない。特にピッチャーは表情に出ずとも、球質に出るものである。もはや神部の不調は誰の目にも分かる明確的なもの。それでも宮島はあまり口出しできずにいた。

 というのも以前、秋原が調子の悪い事があったのだが、どうしたのかと聞いたところ「女の子の日」と返され、以降しばらく気まずくなったのである。一応、新本しかり神部しかり一緒にプレーする間柄である以上、異性であるとの意識はあまりしないようにしているが、生理学的にやむを得ない『異性』としての性質もあるものだ。

「ほんとに神部は情緒不安定じゃのぉ。ちょくちょく難題を持ちこむじゃろぉ」

「新本も喜怒哀楽が激しいって言う点では情緒不安定なんだけど、あいつはまた違った情緒不安定なんだよなぁ」

「良きも悪きも単純じゃけぇのぉ」

 いい事があれば喜び、悪ければ悲しむ。すごく単純な性格であり、ゆえに慣れればコントロールが簡単。それが新本の情緒不安定である。しかし、

「ただ、神部はいろいろ複雑なんだよ。本人曰く男子扱いでOK。実際に男子扱いされても何も言わないどころか、男女平等で喜ぶタイプ……なんだけど」

「時々、女子の要素があるってことじゃろぉ。よっと」

 神城は一塁線の打球を捕ると、ベースを踏んで2塁へと送球。

「それなんだよなぁ。純粋に男子扱いという点では新本の方が接しやすいな」

「宮島はちょくちょく新本のマウントポジションとって殴っとるけぇのぉ」

「殴り合ってこそ分かる友情がある」

「殴り『合う』? 日本語は難しいのぉ」

「それと神部は問題自体を解決しないといけないタイプだし、新本と違って他の事で紛らわせることができないんだよな」

 流暢に言葉を続ける宮島に、神城はショート・前園のベアハンドキャッチからのショートバウンド送球を簡単そうに受けながら疑問を持つ。

「神部の事詳しいのぉ。気があるん?」

「ば~か。いったいどれだけ付きまとわれてると思う? それくらい分かる。ついでに投手陣、なんなら元投手陣もある程度はな。他クラスのメンバーもちょくちょくは」

「じゃあ、例えばそうじゃなぁ……立川はどんな感じなん?」

「あいつは慣れれば新本よりも扱いは楽。基本アホだし、持ち上げとけば勝手に機嫌を良くする。特に『さすが』って言っとけば」

「元投手といえば……前園なんかは?」

「あれは結果が出れば機嫌を良くするタイプ。逆に言えば、結果が出なければ機嫌が悪くなり、機嫌が悪くなれば結果が出ず」

「いい時はしこたま良くなっていくけど、悪い時はしこたま悪くなるタイプじゃのぉ。そしたら鶴見なんかはどうなん?」

「鶴見か。そうだなぁ……あいつは本当に安定してるな。いい時は恐ろしくいいし、悪い時は悪いなりに手を打つし。今のところ、機嫌が悪いのを見たことはないな。それに人の話にも耳を貸すし、かといって言いなりではないし。結構、一緒にいて楽だな」

 その鶴見もつい2週間ほど前に激高したばかりなのだが、その現場に宮島は居合わせていない。少なくとも宮島の前では鶴見は機嫌が安定しているのである。

「そうなんか。それを聞いとる限りじゃと、神部は本当に操縦が難しそうじゃなぁ」

「難しい。今となっては一番手間がかかる子だと思うな」

「長曽我部とどっちが楽じゃった?」

「断然筋肉野郎。初回コールドゲーム」

 筋肉野郎こと長曽我部は困ったら殴り飛ばしとけばOKであった点ではかなり楽である。今の神部はそうとはいかないわけで。

「ただ、言うてもそれは神部の問題じゃけぇのぉ。宮島もそこまで深く踏み込む必要はないんで? キャプテンじゃけぇって生徒は生徒なんじゃし、たまには自分の事に四苦八苦でも誰も文句は言わんで」

「今回の件に関しては僕もノータッチの予定。あいつに助けを求められたらその限りではないけどな」


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