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プロ野球への天道  作者: 日下田 弘谷
第1章 逆境からのスタートダッシュ
9/150

第8話 練習の成果

 ペナントレース第7試合開幕。

 1組の先発ピッチャーは、最速130キロ強のストレート、そしてスライダーやフォークなどの変化球を有する本格派右腕。神城が1人で6分粘るも、後続はあっさりと倒れ10分足らずで3者凡退のチェンジ。

 初回の攻撃こそ期待できないような内容ではあったが、4組の本領は投球と守備。ここからが真の力を見せつけるべき舞台である。

 準備もほどほどに長曽我部・宮島のバッテリーはグラウンドへ。

 長曽我部はマウンド上で足元の感覚、そして1組のピッチャーによって掘られた地面の穴の位置を確認。一方で宮島は軽く屈伸運動をしたのち、マスクを足元に置いてしゃがみこんだ。

「よし。投球練習7球。輝義。しっかりミットに向かって放れよ」

 その声に頷いた長曽我部は思い切ったワインドアップから第一投。

『141㎞/h』

 バックスクリーンに球速が表示される。

 たしかに速いボールではあるがそれだけ。ボールの速さに慣れない序盤こそ苦戦するものの、慣れてしまえばただのバッティングピッチャーである。長宗我部は15歳にして140キロを楽に超える怪物レベルだが、球速以外の要素があまりに壊滅的な問題もあった。

『(そのうち、フォーム変えないと打ちこまれそうだな。球の出どころも見えやすいし、ステップ位置も安定してない)』

 投球練習7球の間には特に以前の登板と異なる点も無く1番バッターが打席へと入る。

「プレイ」

 球審を務めている審判養成科の教師が告げ、1階の裏が始まった。

 宮島のサインに頷いた長曽我部。ワインドアップモーションに入り初球。

「ストライーク」

 アウトコース低めストレート。球速は142キロとなかなかに速いが、まったくもって打てなさそうな球ではない。

「ストライーク、ツー」

 淡々としたリズムで追い込まれツーストライク。

 何かあるのではないか。バッターはそう思い次も待っていたがおかしな点は無い。特に何の危険性も恐怖心も感じずに打席で構えなおす。3球勝負ならば打たなければならない。なにせ次のストライクを見逃せば三振だ。

 宮島から短いサインが出る。頷いた長曽我部がモーション始動。彼の手から放たれたボールはど真ん中の緩いボール。すっぽ抜けかも分からないがタイミングが崩された。だが、ただの棒球。タイミングが崩されたとしても打つのは容易い。

「ストライク、スリー」

「んなっ」

 バットは空を切り空振り三振。が、審判からバッターアウトのコールが無い。

「しめた。振り逃げだ」

 バットを捨てて1塁へ走り出すバッター。

 宮島がパスボール。せっかくの三振もボールを後逸してしまった。バックネットの近くまで行ったボールを走って拾いに行った宮島だったが、ゆうゆうバッターは1塁到達。ノーアウトのランナーを出してしまう。

「タイム」

「タイムっ」

 タイムを求めた宮島は、球審のタイムコールを確認してからマウンドへと駆け寄っていく。

「悪い。せっかく三振取ったのに」

「いいって、いいって。そんなことより、コントロール付いただろ?」

「付いた。まだ細かい制球は効かないみたいだけど。試合前にブルペンで受けててビビったよ。それより毎度思うのは輝義って本当に速いよな。これでも制球とペース配分考えて抑えてるんだもんな。そのうちマジの全力見てみたいかも。+5キロくらいだろ?」

「そんなとこかな。なんなら今から投げてもいいけど暴投すんぞ」

「練習でな」

 ランナーを背負ってしまったが、それ以上に三振を取れた事が嬉しい長曽我部と宮島のバッテリー。

 宮島はいち早く気付いて、ミットで隠しながら1塁ランナーを指さす。

「おいおい、見てみろって。輝義の縦スラ見て、あのランナー首かしげてる」

「お、本当だ。にひひ。この調子でバンバンスライダー使って……」

「いやいや。あくまでスライダーはタイミングを外す球。輝義の武器はストレートだし、スライダーでタイミングを絞らせないようにしながらストレートで抑えていこう」

「了解」

 以前まではストレート一本槍のピッチャーであった。それはつまりリズムが単調であり、狙いを絞るのも容易く、またどれだけ速くとも慣れれば打てるという問題があった。それも新たに取得した縦スライダーを投球に混ぜることで、ストレートに絞らせない事ができるようになったのである。

『(欲を言えばできればもっとストレートと球速の違う球がよかったんだけどなぁ)』

 心の内で欲張る宮島。長曽我部の縦スライダーは、球速・変化と言った点ではむしろSFFに近い。それではタイミングを外す効果は薄いのだが、それでも効果が皆無なわけでもないし、ストレートしか使えなかった時よりも投球の組み立ては簡単である。

「ま、ともかくきっちり頼むぜ」

 宮島は長曽我部の胸を拳で軽く叩いてマウンドから降りた。

 ノーアウトでランナーが1塁。2番の右バッターが打席へと入る。

『(どうしようかなぁ……)』

 しゃがみこんだ状況でバッターやランナーを眺めつつ考える。高校野球であればここはバント一択なのだが、ここではプロ基準に物事を考えた方がいい。

『(バントの可能性は排除しきれないけど、強行策もあるかな……1球、様子見させてもらっていいかな?)』

『(よし、分かった)』

 宮島がアウトコースへ1球外せとサインを送ると、納得してくれたようで長曽我部は縦に首を振った。セットポジションに入ると、1塁ランナーが大きなリードを取り始める。さすが即戦力集団の1組。そのリードからは自分の足への自信があふれ出ている。

「セーフ」

 ためしに長曽我部が1塁牽制も悠々セーフ。長曽我部の牽制が下手なのもあるとはいえ、ランナーの判断が素早いのもたしかである。ファーストがピッチャーへとボールを返すなり、再びの大きなリード。宮島が惑わされるなとミットを叩いてど真ん中に構えると、少しの間を置いてクイックモーションが始動した。

「「「ランナー走ったぁ」」」

『(来たかっ)』

 元より求めていたコースはアウトコースへのウエストボール球。一番はアウトコース高めの思い切ったピッチドアウトだが、暴投を考えて低めに外したのだ。バッターがはっきり外れるボール球を見逃すと、長曽我部がその場にしゃがみこみ、ちょうど彼の頭のあったあたりへと宮島が送球。ボールはマウンドを越えて2塁ベースカバーのセカンドへ。

「セーフ」

 塁審・2組審判養成科の生徒の腕が左右に開く。2塁はコンマ2秒ほどの余裕を持ってセーフ。

 いきなり1番バッターを振り逃げとは言え記録上の三振に抑えた事で、まともに張り合えるという思いもあった。しかしこの盗塁を期に即戦力と素材型の力の差が初回から露呈し始める。

 2番を2―1からセカンドゴロに抑えるもこれが進塁打となり1アウト3塁。

 そして続く3番バッター。

「レフトぉぉぉぉ」

 カウント2―2から三振を狙った高めの釣り球ストレートが甘く入って痛打。打球は高々とレフトに舞い上がる。

「タッチアップ、レフト……ゴー」

 3塁ランナースタート。レフトの三国が捕球後、すぐさま内野へとボールを返すが、ランナーは足の速い1番バッター。

「ホームイン」

 余裕の生還。無得点の4組とは対照的に、相手のミスに付けこみながらの着実な得点である。

 続く4番にインローを詰まりながら捉えられるも、神城の真正面のファーストライナーでスリーアウトチェンジ。1失点で初回を終える。

「くっそぉ。ノーヒットで点を取られたかぁ」

「仕方ない。仕方ない。縦スラが効いてるって事が分かれば十分。それに実質的な三者凡退だ」

 落ち込み気味の長曽我部をなだめる宮島。

 今日の長曽我部の立ち上がりは、三振(振り逃げ)、セカンドゴロ、レフトフライ、ファーストライナー。今までの試合では立ち上がりいきなり連打で2失点、3失点は覚悟していただけに大きな進歩である。

「この調子でなんとかしていきたいけどなぁ……」

 試合に視線を戻す宮島。しかしその思いはあくまでも希望的観測にすぎなかった。

 2回の表。4番の三国がサード強襲ヒットで出塁するが、5番の天川、6番の横川が連続三振に倒れ、7番の寺本の二遊間を破りそうな当たりもセカンドの好プレーに阻まれて無得点。

 一方で2回の裏。立ち直りを計りたい長宗我部だが、どうもアウトが取れない。

 先頭の5番に右中間へと運ばれる。俊足のセンター・寺本があっと言う間に追いつくも、2塁への送球が追いつかずにツーベース。

 さらにチャンスで6番。

『(カウント2ストライク。ここは低めのスライダーでどうだ?)』

 首を振る長曽我部。インハイ威嚇球のストレートにサインを切り替えると、迷いなく頷いた。ほんのり危険を感じながらミットを構えた宮島。三振への布石としたかった3球目。

 ややストライクに入ったストレート。芯で捉えられて打球は三遊間。

 サードの鳥居、さらにショートの原井が激しく頭から飛び込むも、打球へはわずかに届かず。レフト前ヒットを許す。外野がやや前進守備を敷いていたこともあって、2塁ランナー突入は阻止。しかし1、3塁とピンチが広がった。

『(監督。2塁は空いてますよ。回は浅いですけど……最悪、埋めますか?)』

 ベンチに目を向けていると、広川監督が宮島の視線に気付く。しかしサインは無い。もし歩かせるなら敬遠のサインが出るであろうし、ここは勝負である。

『(輝義。勝負みたいだ。けど、スクイズ警戒して外すかもな)』

 初球は相手も様子見であろうと判断して確実に通す。長宗我部は2球、1塁に牽制を入れたのち、下手なクイックモーションでの初球。

「ストライーク」

 ど真ん中へワンストライク。1塁ランナー、3塁ランナー共に動きは無い。

『(ランナーは動かさない気か。たしかに5番の足でディレードスチールは考えがたいし、ランナーが1塁にいた方が、ゲッツーシフトで内野が大きく空く。盗塁は考えなくていいのか?)』

 様子を見させてほしい。そう判断した宮島は長曽我部へとウエストの指示。文句なしに頷いた長曽我部はランナーに構わず大きく外す。

「ボール、ツー」

 2球目、そして3球目も外して2―1とバッティングカウント。

『(な~んか、怪しい動きしてるな……もう1球、外しちゃだめか?)』

『(ダメ。さすがに3―1は苦しい)』

『(だよなぁ)』

 ウエストのサインを送ってみるも、さすがに長曽我部は首を振る。

『(じゃあ、インコースいっぱいへストレート。高めは禁物)』

 今度は頷いた。

 長曽我部の長いセットポジション。足が上がった。

「「「ランナー走ったぁぁぁぁ」」」

 内野手が声を上げ、同時にバントシフト。

『(ス、スクイズっ)』

 既に長曽我部はモーション始動している。ここからは外せない。

 やや真ん中に入ったボールをバッターは確実にバント。3塁方向へと転がす。

『(いいバント。でも、鳥居(サード)の突っ込みがいい。刺せる)』

「ボールバック」

 ボールを拾い上げた鳥居は、持ち替えて投げる余裕はないと感じ、グラブトスでバックホーム。そのトスが高めに浮いた。

「セーフ、ホームイン」

 ランナーが宮島のブロックを背後から回り込んでかいくぐり、ホームベースに右手を触れた。

「くそっ。ボールファースト」

「アウト」

 ボールは1塁ベースカバーのセカンドに渡って打者を殺す。アウトを取ることに成功するも、スクイズを決められ2点目を献上。さらに、なお2塁にランナーを置いた状況。

「うわぁ……」

「大丈夫だ、輝義。まだ2点目。それに下位打線だ。しっかり抑えていこう」

「長曽我部。後ろはしっかり守っちゃるけぇ、ちゃんと投げぇよ」

 崩れかけた長曽我部も宮島と神城の声掛けで気持ちを持ちなおす。

『(ここから8番、9番。いくら1組といえど、この打線でできることなんて限られてる。一発はない。単打警戒でしっかり抑えるぞ)』

 扇の要が崩れては、扇そのものが崩壊する。キャッチャーは常に冷静であれ。

 自分に言い聞かせながらサインを出してミットを構える。

「ストライーク」

 初球狙いの8番に対し、アウトローへ沈む縦スラでワンストライク。

「ナイスピッチ。いいぞ」

 投球の拍子にずれた帽子を元に戻し、宮島からの返球を受ける。

『(バッターの立ち位置が変わった。おそらくはアウトコースのスライダーを意識し始めたか。だったら当然、狙いはここだろ)』

 デッドボールでも構わない。仮に8番を塁に出しても、次は9番のピッチャー。そうなれば送りバントが濃厚であり、ツーアウトさえ取ってしまえばスクイズ、犠牲フライと多くの作戦が封じられる。

『(インコース高め。ここで2ストライク取って、その次で再度、アウトローの縦スラで三振をもらう)』

 危なっかしいサインに、やや視線下気味にして深呼吸の長曽我部。ランナーのリードの大きさを警戒しつつ、相方のミットだけを見てモーションに移る。

『(よし。良いコース。これなら打たれても会心打にはならない)』

 宮島の予想通り、バッターはインコース攻めに詰まり気味になり、撃ち損じた。打球はピッチャー正面のゴロでツーアウト。のはずだった。

「うわっ。あぶねっ」

 長曽我部が飛んできたボールと共に、あるものを回避。打球はセンター前へと転々。

「マジかよ。ボールバック」

 センターの寺本がボールを拾って中継のショート・原井へと送球。しかしそもそも打球が死んでいたこともあり、2塁ランナーは3塁を蹴って余裕のホーム到達。早くも3点目が入った。

「くっそぉ」

「今のは仕方ないじゃろぉ。俺だって今のは取れんで?」

 マウンド上で天を仰ぐ長曽我部に、神城がタイムを掛けて駆け寄り、彼を襲ったあるものを拾う。

「今のはまず打ち取った当たり。折れたバットが飛んで来んかったら、余裕でアウトじゃって」

 神城はバットの破片を取りに来た3組審判養成科の生徒にそれを手渡す。

「木製バットは今のがあるけぇ、気ぃ付けにゃあいけん。なにしょ~んな。そんなはぶてなさんな。男がはぶてても気持ち悪いだけじゃけぇの」

「だけど、今のはアウト取れたあたりだったしさ」

「しゃあないじゃろう。今のケースなんてえっとあるもんじゃないんじゃけぇ、今回は不運じゃったって切り替えていきんさい」

「それもそうか。よし。これ以上点を取られないように、気を引き締めていくか」

 神城の励ましで気合いを入れなおす長曽我部。それを遠くで聞いていた宮島は呆然。

『(……途中から神城がなんて言ってるか分からなかった。てか、輝義はよく分かったな。あいつが何言ってるか)』

 長曽我部も広島出身。しゃべりはしないが、意味は分かるのだ。

 なお神城が言わんとしていたことは、

『木製バットは今のようなことがあるから、気を付けろ。何をしているんだ。そんなすねるな。男がすねても気持ち悪いだけだぞ』

『仕方ない。今のケースなんて多くあるものじゃないんだから、今回は不運だったって切り替えていきなさい』

 である。

 宮島は2人に妙な絆を感じながらも、首をひねりつつしゃがみこむ。

『(ま、まぁ、落ち込まなかったのはいいけど)』

 バッターサークルには9番のピッチャー。打席に入って早々、バントの構え。立ち入りが最もピッチャー寄りであることからして、バスターであるとは考えがたい。

『(バントシフト。あわよくば2塁で殺す。長宗我部は高めにストレート)』

 内野へと守備シフト変更用フラッシュサインを出したのち、長曽我部にもサインを送る。

『(1塁ランナーのリードは小さい。盗塁はないだろうな)』

 長曽我部の足が上がる。ランナーは動かず、バッターはバットを引く様子を見せない。猪突猛進のファースト・サードの守備に、バッターは高めに放られたストレートを見ながらシフトの裏をかく。

 ピッチャー真正面。ファースト、サードの横を抜ける。

「任せろっ」

 しかしそこには遅れてダッシュしてきた長曽我部。

「輝義っ。ボールセカン」

「あいよっ」

 長曽我部は振りかえって2塁へと送球。彼の強肩から放たれたボールが2塁へ。

「アウト」

 セカンドベースカバーの原井はさらに1塁へと転送。

「アウト、チェンジ」

「っし。ゲッツー成立。輝義。ナイスプレー」

「余裕、余裕」

 ベンチにしたり顔で帰っていく長曽我部に、宮島は「かっこつけんな」と腰のあたりを叩く。

 それに笑って答えていた長曽我部だったが、ベンチに戻ると、やはり序盤での3失点がショックだったのか、ベンチの天井を見上げながら宮島に問う。

「しかし、初回の1番は速かったな。ウエストして盗塁させないなんてよ。神主って捕手の中では肩は弱いけど、そこまで壊滅的じゃないだろ?」

「そりゃあ小学校からキャッチャーやってるくらいだし。もうちょっとはっきりピッチドアウトしてても……あのタイミングじゃきつかったかな」

「あれ? 『ウエスト』と『ピッチドアウト』って何が違うんだ? 神主は知ってるか?」

「僕は様子見をウエストで、相手の作戦阻止はピッチドアウトって言ってるけど? それで正しいかどうかは知らない」

 脱いだ帽子で顔を仰ぐ長曽我部。そんな彼に宮島は思い出したように注意。

「そんなことより輝義。お前、ランナーに対して警戒心なさすぎないか?」

「そんなこと言ったって」

 宮島は自分からの打順と言う事で、防具を外しつつ長曽我部に伝えて置く。これほどのボールを放るピッチャーである。中学時代はほとんどランナーを背負って投球したことがないと考えるのが妥当であろう。

「よしよし、みんな。しっかり抑えていけぇぇぇぇ」

「あ、ほらほら、1組の大森(おおもり)監督。すげぇテンションたけぇ」

 あからさまに話を逸らし始める長曽我部。宮島自身もとりたてて話したい内容でもなく、また気分を害してピッチングに影響が出ても困るので、とりあえず長曽我部の話に乗っかる。

「大森監督……大森監督……どこの選手?」

 チームメイトに同じ名前の選手はいるが、珍しい名前でもなく、被ったからといってどうと言うこともないだろう。

「広島東洋の内野手。クリーンアップの一角だったから結構有名」

「いたっけ? そんな人」

「フルネームは大森浩三(おおもりこうぞう)。同じチームに同姓がいたから、登録名は『浩三』」

「いたような、いなかったような……って、輝義詳しいな。阪神だけじゃないのな」

「神城と同じ、広島出身だからな~」

 長曽我部のゆるい声での返しを聞き流しながらベンチからグラウンドへ1歩踏み出す。

『8番、キャッチャー、宮島』

「さて、と。なんとか先頭バッターとして塁に出ないと」

 ウグイス嬢のコールを聞きながら手には手袋をつけ、軽めの木製バットを持って右打席へ駆けて向かった。

『(次は9番の輝義。あいつバッティングいいし、僕が塁に出ておけば……)』

 彼が打席に入るなり、主審の「プレイ」コール。その直後、すぐにピッチャーがモーションを起こした。

「ストライクバッターアウト」

 打席に立つ前の意気込みはどこへ行ったのか。1―2から外のスライダーに手を出して空振りの三振に倒れる。悔しそうに唇を噛みながらベンチに帰る宮島の横を通り、時折止まって素振りをしながら打席へと向かう長曽我部。

「なんとか上位打線に繋がないと」

「ピッチャーなんだから無理するなって」

「野手が打たないから自分で自分を援護しないと仕方ない」

「くっ」

 もし自分がヒットを打とうものなら長曽我部はバントでよかったかもしれない。バントでないのにせよ、無理することは無かった。守備偏重のキャッチャーとはいえ野手である以上、点が取れない事に責任を感じている宮島は言い返さず、むしろ言い返せずにベンチに戻る。

「さすがに一発は無理だけど」

 つぶやきながら右打席へ。ややオープン気味に体を開いての構え。恵まれた体格の雰囲気によって、下位打線ながら強打者の雰囲気を醸し出している。実際のところ、ここまで今日を除いて出場試合は3試合で打席数は5打席。その詳細は、ライト2塁打、空振り三振、センターフライ、センター前、フォアボール。打率5割と非常に優れてバッティングを見せている。

 ここまでテンポよく投げていたバッテリーもここで気を引き締める。

「ストライークツー」

 1球目に慎重にボールを放ったものの、2球目、3球目は続けてストレートでストライクを稼ぐ。ここまで特に打って出るような気配をみせていないのは、9番のピッチャーゆえか。そうした油断から投げた4球目。

 甘く入った三振を取りに行った球を長宗我部がフルスイング。打球はライトのライン際へとスライスしながら襲い掛かる。

「フェア、フェア」

 ギリギリフェアグラウンドに入った打球は、ライトファールグラウンドを転々とする。長曽我部は打球とライトの動きを見ながら1塁ベースを蹴った。

「ボールセカン、いや、サード。ボールサード」

 2塁に投げても余裕でセーフになると判断したキャッチャーは、さらなる進塁を阻止するために3塁を指示。すると長曽我部は2塁に到達する寸前でライトの様子を見て、

「ライト早く。バッター、セカンド蹴ったぁぁぁ」

 2塁を蹴って3塁へ。

「あのバカぁぁぁ。自分の立場分かってんの。無理して3塁行く状況じゃないだろ」

 次の回の守備の準備をしていた宮島がベンチから身を乗り出す。

 中継のセカンドがライトからボールを受けて3塁へと送球。3塁ベース手前で送球を待ち受けていたサードをかわし、ボールより先に長曽我部が3塁にヘッドスライディング。

「セーフ、セーフ」

 ピッチャー長曽我部によるライトへのスリーベースヒット。1アウト3塁とチャンスメイクの一方で、監督の広川と宮島、その他ベンチの数人が呆れた表情。ピッチャーなんだから打つなとは言わないが、無駄に全力疾走したり、あまつさえヘッドスライディングしたりするとは自覚が足らな過ぎ。ピッチャーにとって指は生命線。頭から飛び込んだ拍子に、突き指でもしようものなら一巻の終わりである。

「ピッチャーなんじゃけぇ、無理しちゃいけんじゃろう。でもせっかく出たんじゃし、しっかり返さにゃあいけんなぁ」

 続く1番の神城も例外ではなく、呆れるような独り言を漏らしながらバッターボックスへ。

『(監督もピッチャーをホームに突っ込ませるなんて考えんじゃろうし、スクイズなんてまずないじゃろ)』

 できればタイムリー。無理ならせめて外野フライか、バックホームできないところへの内野ゴロ。とにかくランナーを返せば及第点である。

 セットポジションからの第1球目。アウトコースに来た球。神城はスイングしようとしたが寸前のところでバットを止める。

「ストライーク」

 外れたかと思って見切るも判定はストライク。神城は首をかしげつつ打席を外し、1回素振りをして打席に入りなおす。カウント0―1でまだストライクカウントに余裕があるも、ここでストライクを取られれば追い込まれるために狙い球は少し広げる必要がある。

 それでも自慢の選球眼でボール球に手を出さず、2球目アウトローのフォークを見切ってワンボール。3球目でインハイの際どいコースをストライクと取られるも、4球目で三振を取りに行った高めの釣り球には手を出さずカウント2―2。

 神城の集中力が徐々に増していく。その5球目。

 高めに浮いた緩い球。フォークのつもりであったろうが、ほとんど変化しない。少々ボール気味のコースであったが、構わず神城はジャストミート。打球はセンターへの痛烈なライナーとなる。

「タッチアップ、センター」

 ランナーコーチの指示を受けて長曽我部は3塁ベースを踏んで待つ。打球はセンターが定位置より後方。センターが落下地点に入る。

「ゴー」

 センターの捕球、長宗我部のスタート、ランナーコーチの声がほぼ同時。長宗我部がホームを突く。

 センターは即座に中継にショートに投げるも、定位置後方のフライでタッチアップを阻止するのはよっぽどの強肩でなければ無理だ。ボールは内野に返るにとどまり、長宗我部が悠々とホームベースを踏んだ。

「ホームイン」

 神城の犠牲フライで1点を返し3対1。2点差に詰め寄る。

「よ~し、ようやく2点目~」

「いやいや1点目だろ」

「通算2点目ってことじゃないのか」

「なるほど……」

 7試合目にして通算2点目を挙げ、盛り上がる4組ベンチ。帰ってきた長曽我部と、打点を挙げた神城をハイタッチで迎える。そのうちの1人である宮島は、彼の頭を少々強めに叩きながら歓迎。

「輝義。せっかく点を返したんだし、次の回からしっかり抑えようぜ」

「おうよ、相棒。しかし向こうは前のイニング、3安打で2点。こっちは1安打で1点。得点効率良すぎだろ」

「貧打の間違いじゃね?そんなことより……」

 宮島は長曽我部の左肩を掴みながら目を睨む。

「立場、分かってるよな……」

「あははは……分かってるよ」

「目を合わせろ。無茶な走塁はするな。ピッチャーだろうが」

 意気上がる4組。意気上がってそれで点が取れるなら簡単なものだが、野球に限らずスポーツはそこまで簡単なものでもない。続く2番は粘りなく打ち取られスリーアウトチェンジ。水分補給と汗拭きを終わらせた長曽我部がベンチを出る。

「さぁ、神主さん。おみくじ引いて何申す?」

「今日こそ4組は~勝~ち勝~ち勝っち勝ち。投手陣が炎上しなければ、な」

 長宗我部のノリに合わせて宮島も定位置へ向かう。

 まだ変化球が馴染んでいなかった序盤こそ失点を喫したが3回裏は順調であった。

 先頭の1番をインコース高めで詰まらせての浅いライトフライ。

 さらに2番へは、

「ストライクバッターアウト」

「っしゃあ、一丁上がりぃ」

 高めの釣り球を振らせて空振り三振。落ちる変化球を取得したことで、前々から効いていたこのボールがより効力を持つ。

 そんな長曽我部に守備陣も黙ってはいない。

 3番はアウトコース低めに落ちる縦スラをなんとか当てるもファールチップ。一見すればなんとかカットしたようにも見えるが、

「任せろ。捕れる」

 キャッチャーマスクを外して投げ捨てた宮島が、首をひねって目を切らないようにしながら打球を追う。そしてボールが地面に落ちるかと思われた寸前で滑り込み、ギリギリでボールをキャッチ。

「審判」

「アウト、チェンジ」

 ボールの入ったミットを掲げると、完全捕球を確認した主審がアウトコール。

 3回の裏は宮島の好プレーで3つめのアウトを取り、このペナントレース初めて出塁なしの3者凡退でイニングを終える。

 好投を始めた長曽我部を援護したい打線は4回の表。3番のヒットでチャンスを作るも、4番がダブルプレー。さらに5番もあっさりキャッチャーフライに打ち取られ凡退。なかなか援護点を与えられない。

 それでも長宗我部は完全に復活の兆しを見せた3回の裏に続いて4回の裏。この回は1組の4番、つまり1年生最強バッターとの対決。同学年の中では唯一、オーバーフェンスのホームランを放っているスラッガー。変化球も馴染んできた、新・長曽我部輝義の真価を問う対決である。

『(さてと……初球はこれでどうかな?)』

 長宗我部は縦に首を振った。思いっきり振りかぶるワインドアップモーション。彼もこの勝負がただの勝負でないことは分かっているのだろう。渾身のボールをインコースへ。

「ストライーク」

 縦スラが頭にあったバッターは1球見送った。

『(下手にボール球を投げるとかえって相手に球を絞られかねない。ツーストライクまではサクサク投げていこう)』

 続くサインにも異論は無し。次こそはバッターも打ってくるかもしれない。そうした考えの中で放った2球目は、

「ストライーク、ツー」

 高めの甘い釣り球、と見せかけてのスライダー。意外にもあっさりと見送ってカウント0―2に。ところがこの見送りは宮島にとって面倒な問題を生む。相手の待っている球が分からないのだ。

『(初球、2球目と早々に見切ってる。いったい何を待っているんだ? こいつは)』

 とりあえず様子見のサインを出してみるが首を振られる。長曽我部としては一気に勝負を付けたいようだ。結果、間違っても一発を浴びないコースで勝負することにする。

 長曽我部の投球は低めいっぱいストライクゾーンに入る投球。それが鋭く沈みホームベース上でワンバウンド。あわててバッターが振りそうになったバットを止めた。宮島が胸でボールを止めて前に落とす。

「ボ、ボール」

「審判。スイング」

 主審のボール判定にバッターのスイング判定を求める。それも1塁審判の手が横に開いてノースイングでワンボール。

『(振ってると思ったけどなぁ)』

 次はどうしようか。そう考えながらピッチャーの長曽我部に投げ返そうとすると、ふとバッターの方からわざと宮島に言うようなつぶやきが聞こえてきた。

「なんだ、今日は変化球ばっかり。大方、ストレートでの真剣勝負に自信が無くなったのか。弱虫め」

 明らかな挑発。そこで宮島は舌打ちをすると、マスクの奥の目を彼へと向ける。

「そこまで言うならストレートで勝負してやろうじゃん。振り遅れて泣きべそかくんじゃねぇぞ。あいつの本気、手元でめっちゃ伸びるからな」

 言い返すとバッターは不気味に微笑む。宮島はそんな表情に腹立たしさを感じつつも長曽我部にサインを送る。頷いた。

「さぁ、全力で来い。輝義」

 ミットを叩いてど真ん中に構える宮島。

 大きく開かれた標的をしっかりと見据え、ワインドアップモーション始動。バッターもそれに合わせて足を引く。

 振り下ろされた右腕から投げ出された渾身の投球はど真ん中の甘いコース。それも指に引っかかったのか非常に緩い投球。これほど甘いコースなら余裕で外野を越える。そう思いながらバッターは全力のフルスイングを見せた。

 バットが一貫。

 その直後、審判の右腕が上がった。

「ストライクバッターアウト」

「っしゃあああああ」

 長曽我部の投球に呆気なく空振り三振。かすりもしなかった。三振を取った長宗我部は、これでもかといほどに雄叫びを上げながらのガッツポーズ。

 その空振り三振に怒りを感じたのはバッターである。打てなかった自分にでなければ、挑発ともとれる長曽我部のガッツポーズにでもない。

「おい、お前、ストレートで勝負って言ったじゃねぇか。最後、どう考えてもストレートじゃないだろ」

 最後のボール。明らかにボールはバッターの手元で大きく沈んだ。

 抜け球が偶然に沈んだわけでもなく、紛れもなく縦スラだ。

 それに対してバッターが怒るも、一方の宮島は馬鹿にするように笑う。

「何お前、敵の言う事マジで信じてたの? 馬鹿じゃねぇの?」

「こいつ……」

 本当にキレて乱闘になりそうな雰囲気も、ギリギリで耐えて怒りを押し殺してベンチに帰っていく4番。

 先頭の4番を宮島の好リードで抑え、5番、6番を連続で切って取る。クオリティスタートも視野に入るほどにギアチェンジ。

 一方の打線は5回の表もキッチリ1組のエースに抑えられて4組も三者凡退。

 長曽我部覚醒の3回以降、投手戦に突入するかと思われたこの試合だが、安定状態は突然に崩れた。

「ボールスリー」

 試合は早くも5回の裏。先頭の7番バッターにスリーボール。それも際どいコースを狙って外れたものではなく、はっきり見切られるほどに大きく外れたボール球で。

 宮島からのサインに頷き、ワインドアップの長曽我部。その4球目。

『(まずっ。甘すぎる)』

 アウトコース低めの指示も真ん中ややイン気味に甘く入った。そのボールをバッターは、3―0ながら絶好球といとも簡単に弾き返した。打球は三遊間へ一直線。

 飛びついたサードの間を抜ける。そしてショートが滑り込みながら逆シングル捕球を試みるも、グローブで弾いてしまい打球は転々とレフト前へ。レフトの素早いカバーリングでバッターの2塁狙いは阻防いだが、記録的にはショートのエラーでノーアウト1塁。3、4回と順調に抑えていた長曽我部がランナーを出した。

『(しゃあねぇ。今のはヒット性だ)』

 切り替えていこう。ミットを叩いて自分に喝を入れて構える宮島。

 そんな宮島とは相反し、ベンチは多少あわただしくなっていた。

「長曽我部はそろそろか……新本」

「は、はい」

「準備しとけ。おそらく次の回から行くぞ」

「はい」

 リリーバーに新本が準備。ブルペンへと向かう。

 一方で試合は長曽我部の乱調が続いていた。

「ボ、ボール」

 8番への初球はインハイへの抜け球。あわばデッドボールである。

『(どうした輝義。もうスタミナ的に限界とか言わねぇよな)』

 対戦打者はこのバッターも含めて17人。それもほとんどのバッターが早打ちしているため、投球数自体はそれほどでもない。ストライクをどんどん取る配球もあり、むしろ普段の試合に比べれば少ないほど。

『(もしかするとあいつ、3、4回でギアを上げ過ぎたか?)』

 考えられない事ではない。この学校に来て打たれてばかりだった彼にとって、あれほどまでの好投は久しぶりだったことだろう。ならばテンションが上がってしまうのも必然である。

『(しっかりしろ、輝義。先発なんだから6回、いや、せめて5回投げてくれ)』

 疲れがたまっているかどうかは彼のバロメーターたるストレートで分かる。宮島は盗塁警戒も兼ねてアウトコースに外すストレートを要求。

 セットポジションに入る長曽我部はやや下向きの視線でため息を吐くと、足を大きく上げて投球開始。

『(やばっ。ランナー走った)』

 よりによってクイックモーションではない。

 しかも投球が内側、ストライクゾーンへ。バッターはセーフティ気味のバントを決め、打球はピッチャーとサードの間へ。

「まずい。輝義。ボールファースト」

 バントエンドランでは2塁は刺せないと判断して1塁送球指示。ところが長曽我部の反応が遅れてオールセーフの危機が訪れる。

「任せろっ」

 そこへサードの鳥居が飛び出し、素手でボールを捕って1塁へと送球。

「アウト」

 1塁は間一髪セーフ。ファースト神城の素早い牽制で2塁ランナーの3塁進塁は防ぐ。

『(ったく。やっぱあいつ疲れてんじゃねぇか)』

 せめてこのイニングはもってほしいという思いもその後、儚く崩れる。

 9番のピッチャーにレフトオーバーのツーベースを許して1点。さらに1番にはタイムリーヒット。なんとか2番をサードゴロ、3番バッターを残りの力を絞り出したストレートで見逃し三振に抑えたものの、5回5失点でクオリティスタートに失敗した。

 ゆっくり歩きながら帰ってきた彼を迎え入れる広川監督。あくまでも顔には笑み。試合を壊した先発投手に、怒るような素振りも見せない。

「よしよし。ナイスピッチング」

「すみません。点差を広げたくなかったのですが……」

「いやいや。よかったぞ。たしかに5回と立ち上がりは悪かったけど、3、4回は無失点。それも3者凡退だ。それでどうする? 続投するか?」

 ベンチに勢いよく腰かける長曽我部にタオルを渡してやりながら問いかける広川。長宗我部はそのタオルで顔を拭きながら大きくため息を吐いた。

「すみません。ピッチャー交代で」

「よし。分かった。ここまで良く頑張った。この回、お前の打席で代打出して交代な」

「はい。よろしくお願いします」

「それと、分かっていると思うけど明日はオフ。ローテ的に今度の先発は来週の第1戦になると思うから頼むぞ」

「頑張ります」

 高校野球との大きな違い。ピッチャーが多く負けることのできるリーグ戦のため、そしてあくまで『勝利』よりも『選手育成』がメインのため、ローテを組め、中継ぎも次々と投入できる。それはつまり、高校野球で問題とされている中0日連投や、延長15回完投のような選手の酷使が無いのだ。

 さらに元プロの講師の経験談から怪我にはかなり敏感なのだ。例えば2年1組の小牧監督の場合、試合における投球は最大100球まで許可。1年4組の広川監督の場合は選手の意思を尊重するとはいえ、1年生の間の投球は厳格ではないが1試合最大で90球程度。そしていずれの監督も、原則、投球数が50球を越えた投手に関しては翌日の試合を休ませている。

 広川監督は自腹で買ったスポーツドリンクを彼のひざの上に乗せて定位置に戻る。

「それじゃあ今日はもう帰ってもいいぞ。ただ、クールダウンはしっかりな」

「はい。そいじゃ、ちょっとクールダウンのキャッチボールの相手とアイシング頼んでいい?」

「おいっす」

 長曽我部はグローブと適当なボールを手にするとベンチ裏へ。そして頼まれたスポーツマネージメント科の男子生徒は、アイシング用の道具と氷、そしてグローブを手に彼を追った。

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