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プロ野球への天道  作者: 日下田 弘谷
第7章 分かつ絆 つながる絆
72/150

第2話 お師匠様

 10月中旬。秋季キャンプ最初の一週が終わると、土・日・月の三連休。非常に長い休みだが、これには理由がある。野球科の入学試験があるのだ。

 本来は教員・事務員および一部マネージメント科生で行われる試験だが、必ずしもそれだけではない。

「へぇ、結構集まってるじゃん」

 1年1組球場バックネット裏。そこには「STAFF」と書かれたシャツを身に着けた宮島が座っていた。

「第1期生。つまり今の2年生の入学希望がジャスト100人。第2期生の入学希望者、宮島くんたちの世代が120人くらい。今回は124人。それでもほぼ現状維持ですね」

 その後ろに座った広川が名簿を手に説明。

 野球科生は協力する義務はない。しかし『協力者歓迎』のメールが各生徒に届いており、秋原がマネージメント科生として試験実行委員会に名を連ねていたため、なんとなく宮島、彼に釣られて神部、暇だから神城、付和雷同精神で新本と4組野球科の4人も協力に来たのである。

「先生ぇ。女の子はぁ?」

「女子受験生ですか? えっと……」

 新本の質問に名簿をめくりながら数える広川。この間に学園長がホームベース付近にて、受験説明を始めるが、特に興味を向けることはない。

「8人、ですかね。1期では5人。2期では6人ですから、少しずつですが増えてしますね」

 現2年生の女子野球科生は女子枠5人、1年生では一般枠の神部+女子枠5人で6人。

 つまり過去は女子全員が受かっているのだが、さすがに今回は何人か弾かれることだろう。神部のように一般枠で入れないこともないが、彼女は超天才中の超天才。そうそう彼女の様な逸材が出てくることはないだろう。

「じゃあ、そのうち、女子枠は拡大するの?」

 新本が興味深そうに問うが、広川は首を縦には振らない。

「その予定はないです。女子枠は体力に劣る女子に門戸を開くための制度ですが、過剰な弱者救済は、その制度にあぐらをかいて努力を怠る理由にもなります。また才能がある人、努力をしている人にとっては不公平に感じます。用語を使えば、たしかモラルハザードでしたね」

 もし女子枠を拡大すれば、体力に劣る女子でも楽に学校に入ることができるため、入学のための努力を怠るだろう。さらにそれは、努力して同性と競い合っている男子たちにとって不公平でしかない。多少の生物学的身体差をくみ取ってやるのも必要だが、それはあくまでも多少に止めるべきとの考えだ。

「女子受験生のポジションですが、ピッチャー登録が4人、キャッチャー登録が1人、内野手が2人で外野手が1人」

「ピッチャー多いのぉ」

「まだ見てないので分かりませんが、おそらくは新本さんのような軟投派でしょう。神部さんのような本格派はまず考えづらいかと」

「僕はピッチャーよりキャッチャーが気になりましたね」

「やっぱり宮島くんとしては、自分のポジションが気になりますか?」

 宮島はダイヤモンドに整列する124人を見渡しながらつぶやく。

「土佐野専で女子キャッチャーっていないですよね?」

「そうですね。2年生がピッチャー3人、外野手2人。1年生がピッチャー2人に、内野手が3人、内外野兼任が1人だったかと」

 広川は意外にいい記憶力を発揮。

「僕、1年間ここでやってみましたけど、ランナーの足は速いし、ホームのクロスプレーも過激。守備でも苦労が多い一方で、打撃もまったく無視できない。正直言うと……」

「女子には負担が大きい、ですか?」

「悪いな。神部。けど、僕は素直にそう思う」

「いえ、気にしないです。女子の身で男子野球の世界に飛び込んだ以上、そういう考えを受けるのは承知の上でしたから」

「極論で言えば、好リードでランナー出さなければ盗塁されようがないし、クロスプレーになりようがない。リードで完璧に抑えられるなら、いくら打撃が悪かろうと使ってもらえるかもしれない。だけど所詮は極論で、現実的には無理な話。いったいどこまで通用するか」

 宮島はそう言った後に小さく独り言のようにつぶやく。

「まぁ、1人、やれそうなのがいるけどな……」

「1人って誰ですか?」

「なんでもねぇよ。忘れろ」

 騒がしい中にも関わらず、耳敏く宮島の独り言を拾った神部。気になって聞いてみるも、宮島はそうとだけ言って口を堅く閉じて開かない。

 宮島は投手との信頼感を重視するタイプ。ゆえにその信頼感を得るために、秘密を得ても絶対に口は割らない。時々口を割っているように見えることもあるが、だいたいは大した秘密でなく、それは九分九厘、彼が『絶対に話さない』と決めたものではない。

「気になりますよ~」

「勝手に気になれよ」

 神部の追及にものらりくらりとかわしていく。

 学園長が手を挙げて土佐野専入学試験の開始宣言。と、それに合わせて広川も立ちあがる。

「では、そろそろ私たちもテスト準備に向かいましょう。みなさん。打ち合わせ通りに」

「「「はい」」」



 基本的に土佐野専での試験は、ポジションごとに分かれてのテスト、そののちにチームごとに分かれての実践テストという2段階の形を取られる。因みにいずれも教員は、サングラスをして見ているだけのよう。まだ当時はオープンスクールが無かったこともあるが、現1年生が入学するまで元プロ指導者の存在に気付かなかったのも当然の理由である。

 さて、午前中のポジション別テスト。宮島はブルペンキャッチャーをするために、投手組へと帯同。右肩が万全ではない神部は、秋原と共にテスト生の誘導、補佐。神城・新本は内外野手組に着いて行ったそうで。

 1組のブルペンにやってきた宮島は、割り振られた投手の投球を受ける。

「宮島くん。どうよ?」

「その声は小牧先生と見た」

 後ろは振り向くことができないが、ネットを挟んで彼の背に立ったのは、1年3組・田端監督、1年1組・大森監督と共に投手陣を担当している小牧長久。もちろん他の受験生に素性が割れないように、似合わぬサングラスをつけている。

「まだ硬式に慣れてないて言うのもあるかもしれませんけど、コントロール悪すぎますね」

「1年生と比べて?」

「1年生と比べて」

「仕方ないさ。おそらく土佐野専1年生の制球力は、高校野球でもトップクラスなんじゃないかな? 多少速かろうが、変化しようが、少し甘く入ればスタンドに叩き込まれちゃうからね」

 まだあの1年生の時期はスピード・変化球至上主義。最低限、ストライクゾーンに入る制球力があれば、あとは球速がいくら出せるか、どれほど大きく変化球を曲げることができるかが、実質的な成績を表すと言っても過言ではない。

 実際に宮島の後方。4組マネージメント科・冬崎が手にしているスピードガンには、かなりの球速が表示されているが、宮島の構えたミットぴったりに球が来ることはあまりない。

「ただ、なかなか今回も面白い選手は多いみたいだね。さぁて、素材型探しを始めようかな」

「素材型、ねぇ」

「特に今年は気合いが入ってるよ。来年は1年4組を受け持つことになったからね」

「きっと序盤は大型連敗しますよ? 扱いにはご注意を」

「なるほど。頭に置いておきます。宮島先生」

 立場を逆転させたくだらないやり取りを交えながらテスト継続。

「時に宮島くん。ここにいるのが全員かい?」

「いえ。先に終わった10人くらいは秋原が野手試験のために2組球場に連れて行きました。それを除けばほぼ全員ですかね?」

「そっか……」

 感嘆の後に小さな声でつぶやいた小牧だったが、神部以上に耳のいい宮島が言葉を拾う。

「そんなに数少ないですか? 広川先生は去年と大して変わらないって言ってましたけど」

「え? 聞こえてた?」

「耳はいいんです」

 小牧はその地獄耳に呆れてため息。

「時に小牧先生。投手に野手試験って、そこまでする必要あるんですか?」

 規定投球数が終わったマウンド上の受験生。新たな受験生との交代との間、宮島は後ろを振り返って小牧に適当な話題を振ってみる。

「宮島くんは、仮に投手登録の全受験生がこの学校に入学したとして、全員が投手をやり続けるとでも?」

「思わないですね」

「中学までだと少しの実力で、4番でエースを張っていた人も多い。けど、ここに来るのは全国屈指の超エリート。中には野手転向を前提として合格させる選手もいるんだ」

「投手としては不合格。けど、野手試験で拾ってあげる、と?」

「露骨に言えばね。日本では運動神経のいい人を優先的にピッチャーにするから、野手としての打撃・守備・走塁も優れている人は多いからね」

 小牧はそう答えてからマウンドを示す。メガネを掛けた左腕投手が上がり、こちらに向けて「おねがいします」と礼をしている。宮島はそれに応えるべく、ミットを叩いて構えた。

「ただ、いくら土佐野専の元プロ指導者勢と言えど見間違えることもある。いや、予期せぬ才能を開花させると言うべきかな? さて、この程度にしとこうかな。頑張ってね」

「はい」

 小牧は宮島と別れ、横に続くマウンドで投球試験をしている受験生たちを見て行く。

『(そう。中にはいるんだ。どう見ても投手としては才能が無く、野手として拾ったはずの選手。逆に投手としての才能を見て拾ったのに、野手に転向してしまう選手)』

 自分が推したわけではないが、彼も鮮明に覚えている。

 4組・友田。彼は投手として不合格の烙印を押されながら、野手試験の打撃テストで見せた長打力を買われ合格。しかし今となっては、長曽我部の抜けた4組におけるエース候補。

 逆なのは前園。長曽我部ほどでないにせよ、速球と言う武器を持った右腕。コントロールは難があるも、変化球も優れていた。4組の将来的エースになると予想されていたが、本人が野手の楽しさを見出してしまい、そちら方向に成長してしまったため、今となっては正遊撃手および1年リーグゴールデングラブ受賞者。

『(ま、それだから面白いんだけどね。プロのスカウトさんはそうも言ってられないけど)』



 午前中の入学試験が終わると2時間の昼休憩。非常に長いようにも思えるが、グラウンド整備に試験準備など学校側の都合、加えてスポーツの試験であるため、受験者の体力回復の時間を十分に捕る意味もある。

 学食に来た新・ユニオンフォースの5人のうち、別件の仕事で遅くなった新本・神城以外は食べ終え、2人を待って雑談中。

「受験生が何人かいるみたいだけど、あいつら心臓が強いなぁ」

「回りは学生や教職員ばっかりなのにのぉ」

 休みであるから人が少ないかと思いきや、学生は基本的に自炊のしない一人暮らし集団。休みであろうが平日であろうが、飯時は学食に集中するため普段と大して変わらない。違うのは受験番号が大きく書かれたゼッケンをしている、野球科の受験生がいることくらいだろうか。

「監督はいないみたいだけどぉ~、元プロもたくさ~ん」

 新本がそう言いながらあたりを見回す。確かに広川、小牧ら監督としての元プロはいないのだが、ところどころ職員が見つかる。

 食堂端の机で、他科の教員と一緒にいるのは用具係および運転手(ドライバー)の桜田元投手。

 他にも現役時代、あまりの無援護に「点を取れ」と先輩にキレた結果「じゃあ自分で取れや」と逆切れされた。すると「せやな」と言って次打席で自ら先制ホームランを打ち、その1点を守り抜く完封をしたと言う伝説持ち。『1人野球』を体現した現・経理会計担当職員・東雲元投手。

 さらに神部友美曰く出会った事が無く、この学校に来て初めて存在を知ったと言うかなり遠い親戚。元プロ(通算1軍出場十数試合)の神部祐太郎元外野手。神部職員曰く友美に、幼少期に野球を教えた事があるらしいが、彼女自身の記憶では父親に教えてもらったと、記憶に齟齬が発生していたり。

 いくら教員がおらずとも、職員だけでも元プロ集団。ただ東雲以外は、まともに1軍経験があるわけでもないほぼ無名選手。受験生の後ろや正面を通っても、まったく気が付かないようである。

「い、今考えたら、あんな感じで自分の目の前を元プロが通ってたんだな」

「去年のことですか? たしかにそうなります、ね?」

 声を震わせる宮島も、神部はいまいち実感が湧かない。肯定こそするものの、断言している感じの言い方ではない。

 今でこそ土佐野専は超一流の元プロ野球選手が監督をしている。と言う事が雑誌の外部販売や、オープンスクールによって知れ渡っている。しかし宮島世代が中学3年だった時は、不親切で雑なホームページ以外に情報を得る手段がなく、入学前は「めちゃくちゃ設備のいい野球専門学校があるらしい」と言うことまでしか分からず。元プロ指導者がいるとのうわさも聞いていたが、あの時はせいぜい二軍~一軍半レベルであろうと思っていたほどだ。

 ゆえにプロ野球のあまり見ない宮島以外は、担任の名前を見た時は驚いたものである。ここにいない長曽我部は入学初日に広川から、新本もしれっと入学2日目に、中学の先輩にあたる小牧から帽子のつばにサインをしてもらっている。

「もし普通の高校に行ってたら、あんな元プロに会うこともなかったんだろうなぁ」

「やっぱりそうなの?」

「当たり前じゃろぉ。そもそもそんな機会ないし、会っても深い野球の話はできんで? 元プロからの指導は、高校野球の規則でできんけぇのぉ」

 秋原は野球をしていたわけではないので、そこのところは詳しくないようで。

「そう言えば宮島さん」

「何?」

 ペットボトルのジュースを飲んでいた宮島に、ふと神部が問いかける。

「やっぱり、女子でキャッチャーって辛いですか?」

「その話か。やっぱりきついと思うぞ。そうだなぁ。どうせもう会う事もないし、よく考えれば隠すようなことでもないか。僕の知り合いに女子でキャッチャーをやっている子がいたけどさぁ」

 口を堅くしていた宮島だったが、よくよく考えれば秘密にする必要もないと思ったよう。あっさりと口を開き始める。

「へぇ、どんな人なんですか?」

「どんな人ってどう言えば――」

 そこまで言った時だった。

「おっ師匠様ぁ~」

 突然に聞こえた甲高い声。宮島が体を震わせて驚き、ゆっくりと振り向いていく。

「な、なんでお前、こんなところに」

「中学の監督から、お師匠様が土佐野専に行ったって聞いて、追いかけてきましたぁ」

 そこにいたのは新本のように小柄な女子。ただどことなく幼い印象を与える新本と比べると、遥かに大人びて見える。

「えっと、かんちゃん?」

「誰なん?」

 一瞬とはいえ蚊帳の外になってしまった秋原と神城は直接質問。新本はトンカツを口に詰めながら首をかしげる。

「そうだな……簡潔に言えば」

「「「簡潔に言えば?」」」「ふぁんふぇふにひふぇふぁ?」

 神部も含めた4人が相槌。

「神部の同類」

「ストーカーかぁ」「ストーカーじゃなぁ」「ふひゅ」

「なんで私がストーカーなんですかぁぁぁ」

 宮島を追ってわざわざ3位の3組から最下位の4組に移籍してきたもの好きを、ストーカーと言わずしてなんというのか。

「初めまして。お師匠様、じゃなくて、宮島先輩の後輩で松島彩香です」

 大きくお辞儀。

「その、み、宮島さん?」

「何か?」

「お師匠様って何ですか?」

「……こいつ、キャッチャーだし」

 宮島は不満げに漏らす。

「へぇ、キャッチャー」

「女子でキャッチャーって土佐野専初じゃのぉ。入学できたらだけど」

「むきゅ」

 秋原を筆頭にリアクションを取る3人。その中で神部は少し悩んだ内にハッと思い出す。

「もしかして宮島さん。1人、キャッチャーをやれそうな人がいるって言ってたのって」

「あぁん?」

 神部に威圧的な聞き返しの宮島。目を吊り上げ、非常に怖い顔をしている彼だが、その背後で松島はもろ手を挙げて大喜び。

「やったぁ。お師匠様ぁ。ついに私の事、認めてくれたんですね~」

「んなわけあるかぁぁ。認めてほしければ、埼玉ナンバー2を越えてみろや」

「わかりました。ナンバー2と一緒に、ナンバー1も越えられるよう、頑張ります。見ててください。お師匠様」

 彼女は自信満々に言うが、もちろん簡単ではない。

 埼玉ナンバー1 = 1年リーグベストナイン・西園寺(1年2組)

 埼玉ナンバー2 = 1年4組正捕手・宮島

 西園寺を越えることは、土佐野専の1年生捕手を越える事。さらに宮島も、土佐野専最強投手の鶴見、元3組勝利の方程式の神部など、自クラスだけではなく、他クラスにも信頼を置かれている。目に見えづらい隠れた実力は計り知れない。

「ほら。さっさとどっか行けよ。頭を休めてねぇと午後できついぞ」

「やっぱり、なんだかんだ言いながらも、お師匠様は私を心配してくれるんですね?」

「いや、それはマジで心配なんだよなぁ……ピッチャーの受験生って馬鹿ばっかだし」

「そうだよぉ。かんぬ~も言ってるし、休んだ方がいいよぉ」

「一番手間かけたヤツが言うな」

 宮島は新本へと拳骨を落とす。

 この学校を受けるピッチャーは中学でエースだった人の中でも、県下トップクラスだったり、全国経験者だったりする人も多い。となると、実力と一緒にプライドも付随してくるわけで、そういう人達をリードするのは簡単なことではない。

『(そりゃあ、中には会って初めてなのに相性のいい奴とかいるけどさぁ)』

 自身も受験当時は緊張していたため、他の選手でハッキリ記憶にあるのは女子の新本くらい。あとは名前や外見は覚えていないが、男子で、左投げ。実力はまぁまぁだったが、その分、対したプライドも持たず、しかし的確な指摘はあり。中学野球には珍しい制球重視で、非常にリードしやすかった投手がいた記憶くらいのもの。今となっては実力的な意味で人が変わってしまったため宮島も気付いていないが、それが鶴見誠一郎。そんな地味な実力から、メジャー注目投手に成長したのだから、その成長能力は日本の高度経済成長どころではないだろう。

 その鶴見を除くと、宮島的にピッチャーの受験生とは実力もプライドも高く、時に新本のようにクセが有り、扱いの難しい集団なのである。

「それじゃあ、お師匠様。私、控室に帰って休んでおきます」

「はいはい。さっさと行け」

「あの~お師匠様? 最後に1つだけ」

「なんだよ」

 隠す気もなく嫌そうな表情をしながら振り返る宮島。彼女は問う。

「何か、助言ってありますか?」

「味方も相手も分からねぇのに助言しようなんかねぇよ。ただ1つだけあるか……」

 宮島は気怠い表情は崩さぬまま、しかしためになる一言を吐く。

「試験、試験って言っても、所詮は野球。いつもどおりに楽しんでこいや」


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