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プロ野球への天道  作者: 日下田 弘谷
第5章 よみがえれ!!プロのタマゴたち
44/150

プロローグ

 6月の3組戦における初勝利から、引き分けをはさみ7連勝を重ねた1年4組。ついに32試合目。連勝を1組によって止められるが、翌週の対2組戦は1勝1敗でイーブン。

 迎えた8月の第1週。そろそろ高校生たちの暑く熱い夏も始まる頃、4組は尻尾を掴みかけた3組と衝突。土曜日の試合は先発投手・河嶋を打ち崩し大勝。

 そして日曜日。

「あ、広川さん。お疲れ様です」

 試合も終わって職員室に帰ってきた広川へ、先に試合を終えた小牧が気付いた。

「お、長久。2の1はどうだった?」

「おかげさまで、2組相手にサヨナラ勝ちを決めました。1の4はどうですか?」

 問いかける小牧だが、彼の目の前のPCには土佐野専のホームページ。他クラスの速報を見ていたようで、楽しそうな笑みからも1年4組の結果は知っていそうである。しかしそこはあえて先輩の威厳とやらで、気付いていないフリをして自らの口から伝える。

「大勝。とは言っても、中盤までは双方譲らない乱打戦。お互いに中継ぎを投入した5回あたりだったかな? 4組の打線が爆発して、一挙6得点。それで突き放して終了」

「最終スコアは?」

 知ってるくせに。と言う言葉を飲み込み、続ける。

「12対5」

「はぁ、また(・・)豪快に打ち合いましたね」

「本当、また(・・)豪快に打ち合ったよ」

 広川は言葉を交わすのはその程度にして、自分の席に戻ろうした。

「そうだ、長久」

「はい。 なんですか?」

 何やら調べものをしようとしていた小牧だが、ふいに広川に呼ばれて振り向いた。が、広川もその先が詰まってしまう。

「あぁ……その……」

「何かありました?」

「い、いや。今晩、暇なら飲みにでもいかないかって」

「広川さんって飲めましたっけ?」

「……ソフトドリンクで」

「分かりました。いいですよ」

 適当にごまかした広川は、今度こそ席に戻ると、自分の教員日誌に今日の試合結果を記録する。そしてここ最近の試合のスコアを眺めながら考える。

『(これは……長久に聞いた方がよかったかな? 一応、ここの教員としては長久の方が先輩ですし……)』


7月第3週 

1組 5―6× 4組  

1組 8―1  4組


7月第4週 

4組 6―9  2組  

4組 8―7  2組


8月第1週 

3組 7―10  4組

3組 5―12  4組


『(いえ、考えすぎ……でしょうか)』

 そして広川は静かに日誌を閉じて元の位置に戻すと、職員室を後にした。

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