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プロ野球への天道  作者: 日下田 弘谷
第4章 真夏のマリンサイドバトル in 兵庫
37/150

第3話 1年4組VS1年4組

 合宿所に来てもそれほど宮島の日常は変わらない。しいて言えば鶴見や神部たち、他クラス投手陣にストーカーされることがなくなったのだが、むしろ逃げ場がなくなったことで、自クラス投手陣のストーカーが積極的になった。

「だからもう少し足のふみ位置は内側でな」

「うんうん」

「いや、でもそれだと安定しないなぁ」

 それでもいざ投球練習を受けてしまえば真剣なのは宮島のいいところ。今は新本と一緒に投球フォームの修正中。

 この学校に来てすぐの時、妙に高いところから投げ下ろす特異なモーションだった新本は、宮島の意見で超オーバースローから一般的なオーバースローに変更している。さらにその後も投げやすさを追求したところ、今はむしろスリークォーターと分類すべき投げ方になっているのだ。しかし腕の位置は修正したものの、それ以外はさほど変わっていなかった彼女の投法を、現在修正中なのである。

 新たな武器をとシュートを猛特訓した立川に続く2人目が彼女なのだが、既に3人目のお客さんがブルペンのベンチに座っていた。

「仲良いよなぁ。2人とも」

 モテない男、長曽我部である。

「仲良いよぉ。かんぬ~のこと好きだよ~」

「もう、結婚しちまえよ」

 もはや嫉妬のような投げやりな台詞。すると宮島も新本に無茶苦茶な振り。

「いや、新本は神城の嫁だろ?」

「夫婦じゃないよぉ? しろろんは『戦友』」

「なっ。『占有』だとっ。あいつそこまで……」

 同音異義語に気付かず長曽我部は驚愕。

「むしろかんぬ~と私の方が夫婦じゃなぁい? バッテリーって夫婦に例えられるし」

「女房役が男って言う不思議だな」

 神部―宮島も男女なのだが、これもまた女房役が男である。

「はっ、つまり俺と宮島も夫婦だとっ。悪いな、俺にそんな趣味は――」

「帰れ。そんな事言ってると腐女子が湧くだろうが」

「帰って。練習の邪魔」

「そうだ、帰れ帰れ」←宮島高い声

「帰れ帰れ~」←新本低い声

「増えるなっ」

 声の上では4人、実際では2人の罵倒を浴びた長曽我部は、耐えづらくなってブルペンの外に出てしまう。それから遠くに行ったのかと思いきや、ブルペン内からは陰になっているところでストレッチ。新本の投球練習が終わるなり、自分がと飛び込むつもりであろう。

「あの筋肉野郎は放っておいて練習を始めようか」

 レフトファールグラウンドでボディビルダーのような筋肉アピールをし、チームメイトから痛々しい視線を浴びている長曽我部を無視して練習再開。

「もう少しここの足の位置をだな……」

「ねぇねぇ、かんぬ~ってピッチャーだったのぉ?」

 手取り足取り教えてもらっていた新本だったが、これほどまでにピッチングに詳しい宮島に、ふと疑問を抱いた。

「土佐野専って投手経験者ばっかりだろ」

 身体能力の高い人はまずピッチャーと言う日本流アマチュア野球。となると、本気でプロを目指すメンバー=身体能力が高い人には、ピッチャー経験が多いのも当然の話だ。

「かんぬ~の球、見てみたい」

「久しぶりなんだけど……たまにはいいか」

 宮島は新本にキャッチャーをするように指示すると、手早く防具を外してマウンドへ。

「いつぶり?」

「ここに来て最後にマウンドに上がったのは、長曽我部に縦スラを教えた時かな?」

 足元を整えた彼は、しゃがんでグローブを構える新本を見て深呼吸。両足をプレートに掛けて制止。そこから左足を引いて腕を振りあげる。さらにその腕を降ろしながら、逆に左足は振り上げた。そのままわずかに停止。右肩を大きく下げた状態から左側に重心を倒し、左足を着いてから、腕をオーバースローで振り下ろす。

「ふやあぁぁ」

 新本の構えたグローブよりやや高めへのストレート。推定球速は120と言ったところであろうか。

「は、はやぁぁい」

「野手投げだから手元で伸びないだろうけどな。それでもキャッチャーだし肩は大事。伊達に埼玉県ナンバー2じゃねぇよ」

 宮島は土佐野専の捕手陣の中で最も弱肩と言われる。が、あくまでも『土佐野専捕手陣』の中での最弱であり、それはさすが埼玉中部エリア最強捕手である。もし同県に西園寺なんて言うトンデモ捕手がいなければ、宮島が最強捕手であったであろうに。

「う~ん、かんぬ~、やっぱり凄いなぁ」

「僕程度で凄かったら、前園なんてもっとえぐいぞ」

 前園は野手転向してこそいるが、投手だったころは速球派右腕。最高球速は自称・140だとか。それが本当なら長曽我部に次ぐ、土佐野専1年生最速である。

「そういうことじゃなくてぇ~、えっと~、よく分かんないけど凄い」

「なんかよく分からないけど褒められているのは分かった」

「うん。なんかよく分からないけど」

 マウンドに戻ってくる新本と言い合う宮島。

「プロに行っても、ずっとかんぬ~が受けてくれたらなぁ」

「神部みたいな事を言う奴だな」

「かんべぇも言ってたの?」

「言ってた」

 仮に違う球団に行っても、トレード志願なりFAなりで、一緒の球団でバッテリーを組みたい。と宮島へ熱く語っていた神部。以前、電話で話していた事の3~4割はこの手の内容である。

「まぁいっか。そうだ、新本。少し頼みがあるんけど」

「なぁに? かんぬ~の頼みなら聞くよ? そろそろ仕返ししないといけないし」

「恩返ししてください」

 恩を仇で返されてはたまらない。

「練習後で疲れてなかったらいいんだけど、打撃練習に付き合って――」

「俺の出番だぜ。その代わり俺の球を受けてくれ」

 長曽我部乱入。

「……付き合ってほしいんだ」

「俺の出番だぜ」

 もう1回アピール。

「じゃあ、今日の投球練習はノースローか、少しだけにしようかなぁ」

「そんなことしなくても俺の出番だぜ」

 もう1回おまけ。

「でも私でよければ――」

「お、れ、の、出番だぜ」

 アメ横も驚きのおまけ。

「俺のでば「い、い、よ」」

 さらにアピールを重ねる長曽我部だったが、高くよく響く声の新本に正面からつぶされる。

「それほど俺が嫌いかっ」

「嫌いじゃない、けど」

「けど?」

「鬱陶しい。黙れ、しばくぞ」

「酷い」

「殺すよ?」

「おいそこまで――って、新本かよ」

 彼女らしくない発言に声を震わせる長曽我部。実際は神城とのゲーム中に「首を刎ねる」やら「一族郎党皆殺し」と騒いでいるあたり、よくよく耳を傾けていれば不思議ではないのだが、ゲーム以外でそうした言葉を発したのは確かに珍しい。

「じゃあ、練習後」

「おぅ、頼んだ」

「新本に殺すって言われた……」



 ほとんどの人は練習を終えて、宿舎に帰って休んだり、早めの風呂に入ったりしていることであろう。しかし宮島は新本と約束した通りに練習中。打撃練習ともなると守備がいないと困るだろうとの事で、飛び出してきたのは、

「ていやー」

 調子に乗ってスライディングキャッチを試みるも、途中で勢いが止まってしまい、その前に静かに落ちるボール。ライトは秋原――のみである。

 新本はホームベース後方に置かれたネットに向かって、かれこれ30球以上を放り続けている。それも自慢のコントロールを生かし、宮島の要求通りのアウトコース中心。それを宮島が淡々とライト方向に打ち返していく。

「流し打ち~?」

 あと同じくらい(30球程度)打ったら終わろうと思っていた宮島へ、今更ながら新本が問う。

「そう。どうも僕、アウトコースを無理に引っ張るクセがあるみたいでさ」

 昨晩、食堂でパソコンを開いて作業をしていた高川に聞いてみると、ものの10秒で「典型的プルヒッター」との答えが返ってくるほどであった様子。

 さらに新本も淡々と投げ、それを宮島が淡々とライトの秋原に向けて弾き返す。

「なんだか、かんぬ~らしくな~い」

「らしくなくても、弱点は克服しないと」

「でも、かんぬ~らしくな~い」

 それほど自分はプルヒッターだったのかと内心驚く。

 以前、広川に言われたように、ライト方向に打つこともある。が、そのほとんどは振り遅れや、タイミングを外して、結果的にライトに飛んだ打球。ベストバッティングでライトに飛ぶことは少なく、4組マネージメント科データベースによると、宮島の打球の8割はセンターラインよりレフト側に飛ぶと出ている。特に安打/打球数の割合に関しても、レフト方向が圧倒的に高い数値を出しており、ライト方向は凡打が多いと言うデータも算出されている。と言うのは秋原&高川談。

 それで好成績を残せているならばいいが、彼の打率は野手陣の中ではそれほど高くなく、さらに正面を切って弱点と言われれば直さなければならない気にもなってしまう。

「やっぱりかんぬ~らしくないなぁ」

「仕方ない。僕らしくなくても、これで数字が伸びるならこうせざるをえないしな」

「それでもかんぬ~らしくない」

 同じような事を繰り返し言ってくる新本を相手に、全68球中、9球空振り、8球がファールし、3球がレフト、7球がセンターに打ってしまったが、残る41球すべてをライトに打ちこんだ。

 その練習後の新本の第一声。

「かんぬ~らしくな~い」

 かれこれ10回前後は言ったであろう新本。それほど宮島の流し打ちに違和感を覚えているのであろう。一方で宮島と秋原にさほど違和感はないようである。

「どれだけ僕らしくないって言われても、打てない捕手じゃあ試合には出られないからな」

「ピッチャーだと打率0割でもいいけど、キャッチャーも野手だもんね」

 セカンド・ショートやキャッチャーと言ったセンターラインは、他の野手に比べると打撃よりも守備を重視して評価される傾向にある。しかし、「では打撃は壊滅でもいいか?」と問われると、それはまた別の話となる。

 そうした2人の説明にも、彼女は帰る準備を整え、ボストンバックを肩から掛けながら首をかしげる。

「そうなのかなぁ? かんぬ~は今までどおりでもいいと思うけどなぁ。守備込みなら十分に上手いよぉ?」

「えっと、ありがと?」

「はふ」

 守備込みなら、に落ち込んだらいいのか。十分に上手い、に喜べばいいのか微妙なところ。だがひとまず彼は彼女の頭に手を乗せる。

「かんちゃんって、ちょくちょく頭を撫でるよね。特に新本さんの」

「撫でやすい位置に頭が……」

 むしろ神城の方がよくやっている。新本はちょうど撫でやすい位置に頭があるだけではなく、撫でたくなるような女子なのである。

「女子によっては嫌がるよね。髪が乱れるって」

「でもどうせあれだろ。ただしイケメンに限る――」

「男子だって美少女にやられるか、不細工にやられるかで違うでしょ?」

「納得した」

 グラウンドから出た3人は、スポーツ公園出口まで続く並木道を雑談混じりに歩いて帰っていく。そしてあとは公園から出て道を渡ると宿舎、というところで宮島の電話にメールの着信があった。

「えっと……新本」

「な~に?」

「桶狭間に注意」

「は~い」



 練習後の入浴も済み、午後7時前に始まった夕食。宿舎1階の食堂には、4組の生徒や監督の広川、桜田を始めとした帯同職員も集まっていた。なお、男子数人は少々不機嫌であり、曰く桶狭間における奇襲を今川ひかり義元に防がれ、女子勢から返す刃で反撃に会ったらしい。いったい何の事かは知る人ぞ知る。

「新本さん。ゆっくり食べないとのど詰まらせるよ」

「大丈夫、大丈夫」

 凄まじい勢いで口の中にライスやおかずをかきこむのは、白地に青ラインの浴衣を羽織った今川ひかり義元、こと新本ひかり。同じ服装の秋原が注意しておくが、彼女はそんなことお構いなしでノンストップ。

 本日の夕食は、日本海で採れた新鮮な魚を使った料理や、育ち盛りのスポーツ少年少女たちのために肉料理が中心。一同の目の前にある料理は、到底、高校1年生相当の学生たちには食べきれないであろう量。しかしここにいる食いしん坊集団にとっては、この程度はペロリと平らげた挙句、ついでに夜食にラーメンの2、3杯くらいは入る量だ。

「新本もそう言っとるし大丈夫じゃろぉ。それよりも秋原も、さっさと食べにゃあ、新本に全部食べられるで?」

「え? うん」

 彼女のはす向かいに座った神城の手には、大きなどんぶりに山盛りのライス。ふと秋原は自分の手元を見てみるが、小さな茶碗に並盛のライス。こう見ると彼女が小食のようだが、少なくとも周りが大食漢過ぎるだけである。

「はいはい。夕食中だけど注目」

 食堂の前にある低い台に上がると、手を叩いて全員の注目を集める広川。

「きっとみんな、食べ終わったらゆっくりしたいだろうから、今の内に明日の予定を発表します。もっとも、手引きに書いてあるので確認ですけどね」

 ホワイトボードを引っ張り出した広川は、赤のペンで予定を記入し始める。

「まず、明日は6時起床となります。少し早めですけど頑張ってください」

 今回の合宿は、疲れを残さないために7時起床。それよりも1時間早めである。

「それから朝食や着替えを終えた後、すぐにウォーミングアップに入ってください。当初の予定通り、9時には紅白戦を開始します」

 ボードに『9:00 紅白戦』と雑な文字で記入。

「なおチーム分けですが、紅組を投手キャプテンの立川くん。白組を野手キャプテンの神城くんに決めてもらいます。宮島くんはケンカにならない様、2人の仲介人ということで」

「はい」

「ケンカはさすがにないじゃろぉ」

「OK、監督(ボス)

 三者三様の返事に、広川が頷く。

「試合ですが、延長戦は無し。例え後攻チームがリード、およびサヨナラでも、9回裏スリーアウトまで続行。また、ピッチャーに代打を出す余裕がないため、DH制を採用します」

「広川さん」

「はい、宮島くん」

「そもそも指名打者を指名するほど選手に余裕が無いです」

 現在の4組の選手事情は、投手8人、野手16人。これを2チームに分けるなら、1チーム、投手4人、野手8人。むしろ指名打者無しでしか組めないはずである。

「まさか、マネ科や経営科を打席に立たせるとか?」

 宮島の冗談に秋原が「え? 私が立つの?」と目を丸くするが、

「ははは。そんなことをしなくても、もっと野球経験がある人がいるじゃないですか」

「野球経験がある人?」

「ここと、そこに」

 広川は楽しそうに微笑む。

「起用方法は9番指名打者限定としますが、私と桜田くんが両チームへ分かれて入ります。立川くんと神城くん。そこの振り分けもお願いしますね」

 騒がしいほどの歓声が野球科生から上がる。元プロ野球選手の初陣である。

「えぇぇぇ、広川さん。聞いてないですよ」

「だって今ひらめいたんですし」

 桜田から文句を言われるも、悪びれない顔で言い返す。

「元ピッチャーなんですけど……」

「打席に立ったことはありますよね?」

「いえ、ほとんど」

 もちろん高校以前では日常的に立っていた。が、プロに入って以降は違う。2軍戦ではセ・リーグ主催試合ではDH制は無しで行われる。が、あくまでも打撃はその程度。打撃練習をするくらいなら本職の投球練習をした方がいいだろう。

「まぁ、なんとかなるでしょう」

「広川さん。あなたが先輩でなければ、おそらく罵倒してます」



 翌日早朝。紅組・立川、白組・神城によってチーム分けが決定。

 スターティングラインナップは以下の通り。


 先攻・紅組

1番 センター 寺本

2番 セカンド 横川

3番 ライト 大野

4番 レフト 佐々木

5番 ファースト 大川

6番 サード 三満

7番 ショート 前園

8番 キャッチャー 宮島

9番 指名打者 桜田

   先発投手 長曽我部

《紅組控え投手》

 新本・本崎・立川


 後攻・白組

1番 レフト 三国

2番 ファースト 神城

3番 ライト 天川

4番 サード 鳥居

5番 キャッチャー 小村

6番 センター 小崎

7番 ショート 原井

8番 セカンド 富山

9番 指名打者 広川

   先発投手 友田

《白組控え投手》

 塩原・藤山・大森


 バックネット裏の放送席内。この試合の公式記録員である冬崎に、この試合の球審・倉敷(くらしき)がメンバー表を手渡す。チーム決定会議の仲介人として宮島、おまけで秋原も同行。

「こう見ると、なかなか面白いオーダーだよね」

 朝方にチーム分けは発表されているのだが、打順を組めば新たな面白さも見えてくるもの。特に両チームの監督の個性がオーダーにははっきりと表れる。

「結構、時間がかかったんだよなぁ。どっちが先に選手を選ぶかで。最終的にはドラフト会議方式だったんだけど」

 宮島の言うドラフト会議方式。先手・後手を決めて欲しい選手を順に取っていくのではなく、欲しい選手を1人ずつ発表。重複があったらくじ引きし、当たりなら獲得、ハズレならハズレ指名という形式である。さらに守備位置ごとに偏りが出るのを防ぐため、投手4人、捕手1人、内野手4人、外野手3人、指名打者1人と枠を決めて行ったのだ。

「結局はくじ引きにはならなかったけどな」

 両チーム1位指名は、立川が主砲・佐々木。神城が監督・広川と重複ならず。2位でも立川が捕手を固めに宮島、神城は投手を固めに友田とこちらも重複ならず。3位でようやく長曽我部が重複かと思われたが、神城方は三国を指名。こうして重複も出ずに淡々と会議は進行。とすれば、終盤に指名重複が連発するかと思いきや、ここであるルールが真価を発揮。

 守備位置別の選手枠である。つまるところ、例えば1位で広川を指名した神城は以後、指名打者枠で桜田が指名できず。宮島を2位で指名した立川は以後、捕手枠で小村を指名できず。と、指名制限がかかっていたため、そうした選手は実質的単独指名が確定。後半はそうした単独指名連発でくじ引き発生せずであった。

「それってそんなに時間がかかるかな?」

 腕組みしながら聞いていた倉敷が、バックスクリーンを見ながら疑問に思う。そこには冬崎が入力したオーダーが、早くも表示されていた。

「いや、ルールを決めるまでと、誰を指名するかで時間を食った」

「な、なるほど……」

「そいじゃ、そろそろ練習行ってくるよ」

「「「行ってらっしゃい」」」

 3人に言うだけ言って宮島は試合前ウォーミングアップへ。

「時に今回の審判は?」

「あ、球審は僕で、一塁審は――」

 その後、冬崎に問われて倉敷が審判団を答える。

 この試合は球審・倉敷に続き、一塁審・吉川(きっかわ)、二塁審・坂村(さかむら)、三塁審・白山(しろやま)

 それぞれ1年4組審判養成科の生徒たち。1年生とは言え、学内リーグ戦で経験を積んでいるだけに、そこそこ信用性があるメンツとは言えるだろう。

審判養成科生の名前は、

プロ野球の審判の方々が元ネタです

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