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プロ野球への天道  作者: 日下田 弘谷
第4章 真夏のマリンサイドバトル in 兵庫
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プロローグ

 眠れる獅子、ついに目覚める

 1年生リーグ戦第24試合。対3組戦にて神部を攻略し勝利した4組は、その後も怒涛の勢いで勝ち星を重ねる。

 翌週、対1組戦では、メジャー注目の投手・鶴見を中盤に攻略し、5―4で競り勝つ。第2試合では、友田・大原(おおはら)両先発が投手戦。最終的には7回に佐々木の一発が飛び出し、それを新本・立川のリレーで守り抜き3連勝。

 7月に入って最初の試合、2組戦。長曽我部と古蔵(こくら)の投げ合いとなったこの試合。中盤に4組が古蔵を打ち崩してビッグイニングを作る。5回、長曽我部がつかまって追いつかれそうになるも、なんとか逃げきり、これで長曽我部は初勝利を挙げる。その翌日は友田が大誤算。初回に5失点を喫し、ついに連勝が途切れるか。とも思われたが、宮島の犠牲フライ、佐々木のツーラン、前園のゲッツー崩れなどなどで、じわりじわりと追い上げ、9回に同点に。その後は双方ともに継投策で1点も許さず、1年生初の引き分け。

 さらにさらに翌週。初勝利を挙げた相手である3組との試合。

 土曜日、3組先発の安藤(あんどう)。彼に3回まで完全に抑え込まれるも、4回、三国の先制アーチで均衡が破れると、それを長曽我部―新本―塩原―立川のリレーで守り抜く。日曜日は、怪我から復帰した河嶋が3組の先発。前日と同じく打線に精彩を欠く4組。6回まで無得点に抑えられる一方で、友田が3失点を喫して敗色濃厚。ところが試合が動いた7回。リリーフの斉藤を攻めたててツーアウト満塁。ここで3組は満を持して神部を投入するが、宮島に同点となる走者一掃タイムリーツーベースを許し、代打・大野に決勝タイムリーを打たれて逆転。

 4組は新本に勝ち星が転がり込み、チームは引き分けを挟んで6連勝と絶好調。


 そんな中、3組戦の翌日、7月中旬の月曜日。本来ならば学校の授業も何もない休みの日なのだが、4組一同は早朝から大荷物を手に学校へと来ていた。

「今日から合宿かぁ」

「兵庫大遠征だね」

 秋原と話をしながら、中型トラックに荷物を放り込む宮島。土佐野専の職員でもあり、トラック運転手の男がその荷物を奥へと運んでいく。

「あ、すみません。手伝った方がいいですか?」

「いやいや、これが俺の仕事だから。気持ちだけ受け取っておくよ」

 小牧よりもやや年上くらいだろうか。おそらくは20台後半であろう彼は、涼しい笑みを浮かべて断って仕事へと戻る。

 それならと彼はトラックの前にある2台の大型バスのうち、『1号車』と書かれた方へ。これで兵庫県まで行くようである。中は割と広く座席にもゆとりがある。これならば、長時間の移動にもそれほど疲労がたまることはないだろう。

「オラァ。動くなや、バカたれが。変な動き見せよったら、そのドたまぶち抜くけぇのぉ」

「……神城。お前はいったい何をしてるんだ?」

「バスと言ったらジャックじゃろぉ」

 手には武器に見立てたペットボトルのお茶。ぶち抜くと言うからにはおそらくは拳銃であろうが、持ち方はむしろナイフの方が近い。

「この平和な日本でどうしてバス=ジャックが成り立つのか知りたい。それとも神城の祖国はドンパチやってたのか?」

「広島はそこまででもないで? むしろ福岡の方が凄いじゃろぉ」

 秋原に話を振ってみると、彼女は目線を逸らす。

「コメントは控えさせていただきます。私、福岡に住んではいたけど、福岡県民というほど密着してないし」

「渡り鳥のごとく各地を転々としとったんじゃろ?」

「フェニックス秋原」

 両手を翼のように広げる。

「フェニックスって渡り鳥なん?」

 神城はバス前方右側の席を陣取ると机を出し、その上に拳銃のつもりのペットボトルと、手榴弾のつもりのお菓子を置く。移動時間の間においしくいただくつもりであろう。

 通路を挟んで彼の向かいを確保しようとした宮島だったが、そこにはお徳用サイズのピーナッツを持ちこんだ新本が占領。出発前からむさぼり食べている。

「新本、あまり食べてると鼻血出すぞ」

「むきゅ?」

 新本もといリス本は、頬を膨らませて首をかしげる。そうしていると、広川が手荷物と共にバスへと乗車。

「よ~し、準備はいいかぁ。忘れ物はないかぁ」

「広川先生が『ですます口調』を忘れているくらいじゃないですか?」

「シャラップ」

 最近は『ですます口調』で統一されつつあった広川だが、今の広川はそれを忘れている様子。いつになったら口調を固定化させるのだろうと疑問に思いつつ、宮島は神城の後ろの席を確保。秋原は新本の後ろ、宮島の通路を挟んで反対側だ。

「あれ? 長曽我部はどこいったん?」

「テルテルなら一番後ろ。ゲーム機持ち込んで対戦中みた~い」

 ようやく口の中を空にした新本が後ろの席を指さす。すると最後部座席にてガッツポーズする長曽我部&立川&原井&前園。みんなして喜んでいると言う事は、対戦中と言うよりは協力プレーのようである。

 広川が来てからしばらくすると、バスのエンジンがかかってドアが閉まる。

「さぁ、それじゃあみなさん。行きますよ」

「あ、ですますを持って戻ってきた」


まだ第4話は完成していませんが

次回予告と言うことでプロローグのみの投稿です

さぁ、海回だぜ!!

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