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プロ野球への天道  作者: 日下田 弘谷
第3章 超女子プロ級投手
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プロローグ

 女子だって野球がしたい

 そんな思いから、女人禁制の日本野球に革命の風が吹き荒れる。


 1年前。


 大阪北部エリア中学野球大会決勝。

「ストライクバッターアウト。チェンジ」

 6回の表。打席に入った、4番でエースの三国が空振り三振。ツーアウト1・2塁のチャンスが潰える

 全国を賭けたこの試合は、負ければ引退試合。絶対にここで負けられない。

 両校野球部の最高学年の意地がぶつかり合うこの場面。

 こっちも負けられないそう思いを込めた三国はマウンドへ。

 そして次のイニングの先頭バッター、自分を三振に切って取った相手チームのエースを睨む。

『1番、ピッチャー、新本さん』


 広島県中学野球大会3回戦。

 崩れたエースに代わり、4回戦進出を掛けてマウンドに上がった神城淳一。

 本当なら延長8回なんて来ることはなかった。だが、1人の女子にしてやられた。前進守備の外野の間を抜かれ、走者一掃のランニングホームラン。

『(絶対に、今度は打たれんけぇのぉ)』

『3番、ショート、白鳥(しらとり)さん』

 神城のヒットを度々防いでいる名ショート。しかも打っては彼からホームラン。因縁の勝負が始まる。


 福岡県中学野球大会2回戦。

「ファール」

 両チームの女子選手が激突。

 エースの小浜こばまと、女子らしからぬ巨漢を有する榛原(しんはら)。ここまで5球連続ファール。女子レベルとはいえ、力と力のぶつかり合い。しかしそれはレベルの低いものではない。周りが雰囲気にのみ込まれてしまうほどの真剣勝負だ。


 埼玉県南部エリア中学野球大会1回戦

 エリア最強捕手・宮島健一有する打線相手にここまで0を並べてきた女子エース・山県(やまがた)。しかし、本気を出した彼の相手ではなかった。

 痛烈な打球はレフトポール直撃。金属バットに軟式であるとはいえ、中学生離れした飛距離。

 宮島の一撃で沈む。

「でも……危なかった。もし一歩間違えれば僕らが負けてたな」


 女子を禁ずる甲子園。だからこそ彼女らは甲子園を捨てた。

 そして新たに目指した甲子園。プロ野球選手としてあの舞台を目指したのだ。

 この5人はその翌年、設立されたばかりの土佐野球専門学校に女子枠として入学する。

 そしてもう1人。結局、登板は練習試合のみ、公式戦での登板は一度もなかった女子投手。彼女は土佐野球専門学校に、女子枠で入学することはなかった。

 そう、一般枠での入学であった。

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