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プロ野球への天道  作者: 日下田 弘谷
第2章 馬鹿と鋏と下手は使いよう
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プロローグ

 まもなく今年度の新入生が学校に来て1ヶ月半は経つ。5月もそろそろ下旬かと言う時期であり、学内リーグ戦も13試合を消化。しかしこの時点で1年4組は0勝13敗と開幕から怒涛の13連敗。いい試合は行えるようになったのだが、どうも決定打に欠ける試合展開となっている。

「ゲームセット」

 そして本日の試合。対1組第6戦、通算14試合目も5―2で敗北。

 今日の先発、ローテーション2枚目の友田が6回1試合で試合を作り、その間に打線は、宮島のスクイズ、野手転向を行った佐々木(ささき)の犠牲フライで2点を奪う。そしてこのまま逃げ切りを計りたかったところだが、直後に登板した新本が1回1失点で追いつかれ、8回に登板した塩原(しおばら)が2暴投を絡めて1点を献上。9回には左の小崎(おざき)がマウンドに上がるも、2失点を許し、全投手合わせて5失点。

 どうにも惜しい試合内容を感じさせる終了であった。

「う~ん。今日の試合も勝てなかったですね」

 監督の広川もやや悩み気味。

 この学校のリーグ戦は、あくまでも練習の一環。そのため極端な話、全戦全敗であっても構わない。だが、勝てるに越したことはなく、何より負けに慣れることはプロとして厳しい問題でもあるのだ。

 4月の話だが、当時連戦連勝中の1組が、1回負けた途端に大きく崩れたこともある。高校野球は1回負けたら終わりだが、プロは1回負けても明日があるさ。ゆえに負けに慣れること自体は必要なのだが、慣れ過ぎて『クセ』になるのが問題なのである。

「ですが、きっと4組は強くなりますよ。負けることのできるプロ野球であるからこそ、とっても大事な事です。負けとは宝の山です。負けから何かを学んでください。みなさん」

 皆に言い聞かすような口調。しかし周りには誰もいない。

 教えられるものではなく、自らそれに気付いてほしい。

 そうした思いが直接言うことをとどまらせ、その言葉は広川本人以外の耳に届くことはなかった。


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