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プロ野球への天道  作者: 日下田 弘谷
第12章 全員野球で突破せよ
134/150

第9話 歴史の1ページを刻む女子

 6回の裏。土佐野球専門学校の攻撃。

 大谷・神城の連打に続き、3番の村上がツーベースを放って2点を追加。三村が歩かされた挙句、ノーアウト1・2塁からバーナードがゲッツーに倒れてしまうも、守備から出場の斎藤がタイムリーヒット。坂谷がヒット、前園がフォアボールでさらに繋ぎ、ツーアウト満塁としてラストバッターへ打順が回る。

『9番、キャッチャー、宮島』

 ノーアウト満塁を乗り切る守備固めとして途中出場していた宮島が右打席。

「ストライーク」

 その宮島は初球、インコース低めのストレートをピクリともせず見逃してワンストライク。まずは冷静に球筋を見極めたと言ったあたりか。

 大チャンスであるにも関わらず、まったく心の乱れが見受けられない落ち着いた様子。自身の勝負強さから来るものか、それとも圧倒的リードの余裕から来るものか。

「ボール」

 高く外れたストレート。こちらも宮島に動きはなかったが、あれほどはっきり外れたのであれば無反応も理解できる。ところが、

「ストライーク、ツー」

 ど真ん中から低めに落ちるスライダー。これもピクリともせずに見逃し。変化球は捨てていると決めているのならば不思議ではないにせよ、ど真ん中に対してこれほどまでに無反応なのはもはや異常。

『(まさか、もう余裕ってことかよ)』

 キャッチャーの天神も相手チームのデータを一通り頭に入れているから分かる。土佐野専の登録捕手は全部で3人。内、1人はデッドボールの末に負傷交代。さらに1人は守備固めのために交代。そして残る1人が彼。他にも臨時捕手・捕手経験者がいない可能性は無しではないが、正式に捕手であるのは彼だけ。つまり、

『(それとも、選手を温存したのか)』

 ここで無理な打撃に出て怪我でもすれば、試合をひっくり返される一手になりかねない。ならこの満塁のチャンスをつぶしてでも、最後の捕手は安全にしておく。

「ストライクスリー、バッターアウト」

 結局、ラストストライクも振らない。まったく打ち気を見せず。一度もスイングすらせずに見逃し三振に倒れた宮島は、悔しそうな素振りすら見せずにベンチに引き揚げていく。

 呆気ない見逃し三振にため息の漏れるスタンドの一方で、ベンチ入りメンバーはすぐに7回の守備へ早くも切り替える。

「残り3イニング。いえ、攻撃で言えば残り2イニングの可能性も高し。であれば、そろそろDHを解除しても大丈夫でしょう」

 仮にこれから打線が爆発するような事が起きても、ピッチャーに打順が回るのはおそらく多くても2回。それなら代打の手札は残っている。そこで広川はベンチに控えていた斎藤、そして三村、神城の3人を呼ぶ。守備交代の指示である。

「守備も固めるみたいか。ではこちらも交代だ」

 グラウンドにもベンチにも前イニングにリリーフした鶴見の姿はない。彼の仕事は6回の守備で終了である。3組担任でもある田端投手コーチは1年ぶりにその名前をコール。

「リリーフ、神部、GO」

「はい」

 ベンチから出た彼女は甲子園の土を選手として踏みしめる。もちろん試合前準備で少しベンチから出たのだが、やはり試合前の空気と試合中の空気は違う。

「さて、神部。行こうか」

 そしてベンチ前で待っていた彼女の元へとやってきたのは、一足先に試合に出場していたキャッチャー・宮島。前のイニングにおいて彼が最終打者だったわけだが、周りが手伝ったこともあり早めの準備完了である。

「はい。頑張りましょう。それと宮島さん。リードのお願いが」

「ん?」

「     」

 彼女のその頼みに宮島は目を細める。

「いいけど……コントロールには気を付けろよ」

「分かっています」

「じゃあ、改めて行こうか」

「はい」



 長い長い、とてつもなく長い日本野球の歴史。その日本野球の歴史の教科書に新たな一ページが刻まれる。

『7回の表。土佐野球専門学校。選手の交代です。ピッチャー、鶴見に代わりまして――』

 マウンド上。肩入れストレッチをしていたリリーバーは、顔を上げてその大きな目でキャッチャーのミットを凝視。

『――神部友美。背番号48』

 女子投手が高校野球日本代表打線に立ち向かう。決して手を抜いたイベントではなく、全力の真剣勝負の舞台で。

『続きまして、守備シフトの交代です。先ほど代走で出ました、斎藤がセンター。センターの神城がファースト。4番、三村に代わりまして、ピッチャーに神部。4番、ピッチャー、神部。以上のように代わります』

 さらに土佐野球専門学校は守備シフトを変更。

 指名打者・西園寺の代走に出た斎藤を守備に付かせてDH解除。センター・神城をファーストに回し、ファースト・三村に代わって4番に神部が入る。控えに優れた代打が控えているとしても、4番を引かせると言う大胆すぎる守備固め。その上、日本代表に対してぶつけたリリーバーは女子。

 あまり彼女を知らない相手方ベンチやスタンドからは、ついに土佐野専が手を抜いたかと怒りや呆れも混じる声が出る。しかしそのようなもの神部は気にかけない。

『(野球選手は千の言葉よりも、野球のプレーで見せるべし)』

 宮島は投球練習のためのミットを構える。

『(さぁ、こい。本気でな)』

『(いきます)』

 セットポジションの神部は甲子園と言う球場が織りなす重い空気(プレッシャー)、スタンドからの歓声も断ち切って、ただただ彼のミットのみを見つめながら投球モーションへ。高く上げた足と一緒に体も2塁側へとひねるリトルトルネード投法。ためた力を開放しながら左足を正面へと踏み込む。

『(これが私の――)』

 歯を食いしばって力を入れつつ右肩直上から右手を抜く。そしてリリースは遥かキャッチャー側。

『(――ベストピッチっ)』

『127㎞/h』

 真ん中低めへと飛び込むストレート。投球練習の初球にして127キロをマーク。女子野球における130キロは男子野球の160キロに相当すると言われる。その中でこのスピードがどれだけ速いのかは言うまでもない。

『(ほら。あんだけうるさかった奴らの声が驚きに代わったぜ)』

 笑みを浮かべながらボールを投げ返す宮島に、スイッチが入った神部は無表情でボールを受け取りすぐセットポジションへ。

 予想外の球の質を見せられた高校野球日本代表サイド。監督は彼らの気持ちを切り替えさせるためにも、ひとまず先頭バッターとなる6番・天神に声を掛ける。

「天神。たしかに女子にしては速い球だ。しかしいままで出てきたピッチャー、ドラフト上位指名確実と噂される大原や、メジャー行き内定の鶴見ほどじゃない」

「分かっています」

 天神は体をほぐすストレッチを簡単に行ってから打席へ向かう。

「高知の(かたき)は甲子園で討ちます」

「は?」

 この場で2人の関係を分かっているのはバッター・天神。そして投げる神部のみ。その場に居合わせた宮島すらも覚えていないことを、居合わせていない他のメンバーが知る由もない。

『7回の表、日本代表の攻撃は、6番、キャッチャー、天神』

 天神が右バッターボックス。

 宮島はその立ち位置や構えをチェックしながらサインを送る。

『(そう言えばあいつ、えらく具体的な初球の要求してきたよな)』

 このイニングの直前。神部は宮島に対して初球の配球を具体的に指示していた。

 その球とは……

『(さぁ、来い。今度こそ打つ)』

 打ち気満々の天神へと初球。

『(くっ)』

「ボ、ボール」

 狙いすましたかのようなブラッシングボール。天神が避けたからよかったものの、避けなければ頭部デッドボールは免れない1球であった。しかしその危険球に天神は微笑む。

『(このバッテリー、さては覚えてやがったな)』

 その表情に、帽子すら取らずに鋭い目で返す。

『(あいさつ代わりの1球です。本当の勝負はここからです)』

 なお、宮島。

『(初球ブラッシング指示なんて、知り合いかなんかか。こいつ?)』

 気付いていない様子。

『(まぁ、いいや。もう1球、ストレートでも放るか?)』

『(はい)』

 実際は2球目であるが、これが事実上の初球。

「ストライーク」

『125㎞/h』

 アウトコース低めに決まるストレート。

『(こいつ、いい球放るな。いや、球もだけどそれ以上のものがある)』

 一度、神部と対戦している天神は、初球も含めてわずか2球で神部の特異性に気付く。

『(女子ゆえの柔軟性。ボールの出所が見えにくい。それとリリースポイントの位置か。125という球速以上に速く見える)』

 打席を一旦外していた彼は、深呼吸してからバットを構えなおす。

『(神部友美。そして名前は知らんがあのキャッチャー……宮島か)』

 名前を覚えていた女子投手。そしてバックスクリーンにてキャッチャーの名前も確認。

『(お前らを馬鹿にしたのは悪かった。たしかにプロを一番に目指していたお前らにとっては、俺たちの甲子園なんか、所詮は遊びの全国大会だったかもしれない。けど、しかし――)』

 神部の腕から3球目が放たれる。

『(俺だって甲子園の夢の先に、プロになる夢があるんだ。貴様らなんかに負けられるかっ)』

 外へと逃げるスライダー。はっきりしたボール球であったが、振り始めてしまっていた天神はそのまま振り切った。かなり体勢を崩されるもボールはバットの真芯で捉えられる。打球は、

「くっ、捕れん」

 飛びつくファースト・神城の横を抜ける。

 さらに、

「届けっ」

 セカンド・前園も飛びつくが届かない。速いゴロで一二塁間を破る。

『(っし、ライトま――まずっ)』

 ヒットを確信した天神がすぐに慌て始める。

「神部っ」

「はい」

「後ろは任せろ」

 木製バットに不慣れな高校野球選抜に対し、浅いシフトを敷いていたライト・村上。ゴロを捕るなり無人の1塁へと送球。神部の1塁ベースカバーが間に合うかどうかは微妙だが、仮に送球が逸れても悪送球対策の1塁バックアップには宮島が入っている。超ローリスク超ハイリターンの賭けだ。

 神部が走り込んでくることを想定してやや2塁寄りに投じられた送球。それを受けた神部は1塁へと足から滑り込む。そして一方の天神も1塁へ頭から飛び込んだ。

 お互いにギリギリのプレーに対して1塁審判は、

「あ、アウト、アウトぉぉぉ」

 握った拳を突き上げた。

「よぉし、はい、ファースト」

 神部は立ち上がってボール回しのためにファーストへとトス。そのボールがファースト―ショート―セカンド―サードと回る合間に、神部はヘッドスライディングをした天神に手を差し伸べる。

「ナイスプレー」

「ふん。そっちこそ」

 彼もその手を無視したりしない。彼女の手を借りて立ち上がると、マウンドに戻ろうとする神部に声を掛ける。

「次は打ってやるからな」

「きっと私はこの回で降板。もう対戦機会はないと思いますよ?」

「いや、お互いに夢をかなえた先にきっとある」

 天神はそう言ってからベンチに引き揚げる。

『(またお前と次会う時は――)』

『(――プロ野球の舞台で)』

 結果的にはライトゴロで神部の勝ち。しかしそこはライト・村上の守備に助けられた点が大きく、完全な神部の勝利であるとは言い難い。一方で天神の勝ちかと言われると、凡退はしているのだからこちらも勝ちとは言えない。

 つまりこの勝負、両方勝ちで両方負けの引き分け。

 そして次に戦う舞台はプロ野球。

 そう意味を込めた約束を交わした神部はその後も奮闘する。

 最速は125キロとそれほど速くないが、女子ゆえの柔軟性を生かした特異な投球フォームやリリースの遅さから生まれる体感速度の速いストレート。そして男子にも引けをとらない高速スライダー・スプリット・カーブなどの多彩なキレのある変化球。

「ストライクスリー、バッターアウト」

 下位の7番ではあるがそれでも日本代表のバッターを、ファールで追い込み、最後は低めに沈めるスプリットで空振り三振。

 ツーアウトから8番は、

「あっ、やばっ」

 高めに浮いた変化球を痛打される。センターへと弾き返されたこの一打には、さすがに俊足を誇る神城も追いつけないと思われるが、

「アウト、チェンジ」

 この回からセンターは外野の不慣れな神城に代わり、本職センターの1組・斎藤。センターを自分の家の庭のように縦横無尽に駆け回り、難なく捕球しスリーアウト。6、7、8のと決して上位打線とは言えないものの、日本代表打線を3者凡退に切って取る好リリーフ。

『(まぁ、6番の打球はライト前のヒット性、8番の打球は並のセンターなら二塁打(ツーベ)三塁打(スリーベ)、運が悪ければ本塁打(ランニング)。まともに抑えたのは7番だけなんだけど……)』

 宮島からしてみれば守備に助けられたところが多いため満点は付けられない。だが、

「ナイスピッチ」

「ありがとうございます」

 女子が男子高校生の最高峰を3者凡退で抑え込んだのは事実。

 野球史の教科書に書き込まれた歴史的1ページにおいて、ただイベントを起こしただけではなく結果を残した。これは間違いなく今後の女子野球界において大きなポイントとなることは間違いない事実だ。

「さて、残り2イニング。しっかり抑えて勝ちにいこうか」



 7回の裏、土佐野球専門学校の攻撃。

 先頭の大谷凡退から、2番の神城がスリーベースヒット。続く村上は「せめて犠牲フライを打ってくる」と宣言しておいて、ライトスタンドへ放り込み2点弾。さらに4番に入った神部(ピッチャー)の代打・仁科がライトフライに倒れた後、バーナードが本日2本目のホームラン。次の斎藤が凡退してスリーアウトも、この回3点を追加して12-1と11点差に開く。

 そして8回の表。

『土佐野球専門学校、選手の交代です。ピッチャー、神部に代わりまして、鹿島智久。背番号30』

 1組の守護神・鹿島を投入。特に宮島と組んだ経験の多くないピッチャーではあるが。そこはピッチャーの扱い慣れした宮島。

「で、どういうリードしてほしいよ?」

「どういうリード、ってぇとなんでぃ?」

 なぜかべらんめい口調の鹿島。普段はこうしたしゃべり方ではなく、むしろ鶴見ほどでないにせよ丁寧口調である。よほど気分が高揚しているのかそれとも緊張しているのかで、別の性格が出てしまっているのだろう。

「この間話したように、投手主導リードのこと。具体的に言うと変化球主体とか、ストレート主体とか。人によっては強気とか慎重とか、内外まで指定する人もいるな。前のイニングの神部なんて、初球、ブラッシングを指示してきたし。で、何か希望は?」

 なるほどと頷きつつ、最後の神部がブラッシング指示という点について、明らかな驚きを見せる。あの子がそんな思い切った指示をしたことに意外性を感じたのだろう。

「お任せで頼めっかぃ?」

「そういうのも希望としてはあるな。まぁ、その時は違和感あるサインだったら首を振ってくれや」

「へいよ」

 サインの打ち合わせも終わり、規定の投球数が終わると試合再開。

『(言っても、鹿島はあまり組んだことないからなぁ)』

 打者・宮島として他クラスの投手データは頭にある。だが、打者視点と捕手視点では異なる点があるのも事実。一応はその捕手視点での投手データを今遠征で補填はしているものの、十分にリードするにはデータが欠けている点は否めない。

『(こいつは、ベンチで見ていた限りでは守備型。言うなれば前園タイプか?)』

 この回の先頭バッターはセカンドを守る9番バッター。ほとんどが高校3年生で占める日本代表において唯一の2年生であり、つまるところが宮島たちと同い年である。

『(せっかく守備も固めてるし、ライト方向に打たせるか? ウチの右側は特にガチガチだし)』

 インコースに寄ってミットを構える。むやみに引っ張られて外野の間を抜かれるのは怖いところだが、木製バットに不慣れな9番にそれほどの長打力はないと読む。特にファースト・神城の守備力と利き腕を考えると、一塁線はまず抜かれないだろう。

「ストライーク」

 まず初球は様子見でワンストライク。

『(じっくり待つつもりか。それならサクッと追い込めるからいいけどさ)』

 次なるサインはストライクゾーンへのストレート。鹿島は「ちょっと気が早すぎないか?」と首を振ってみるも、変更されたサインは変化球も結局はストライク。宮島と組んだ経験のあるピッチャーから話は聞いていた鹿島だが、思いのほかストライクをどんどん取ってくる配球スタイルにやや戸惑いを隠せない。

『(う~ん。2回目で頷いてくれたけど、ちょっと釈然としない感じかな?)』

 そんな彼の微妙な表情の変化から内心を読み取った宮島。ひとまずプレイはかかっているため、ここはその違和感を押し殺してミットを構える。

 ストライクを取って追い込むことを狙った宮島だったが、あいにくの2球目はスライダーがインコースに外れてワンボール。そしてさらには3球目も高めに外れてボールも、4球目ファールからの、5球目の低めフォークボール。これを弓浜が空振りして三振。宮島がノーバウンドキャッチしたことで振り逃げも成立せず。

「よっしゃ。ナイピッチ」

 宮島は三振を奪うなりサード・大谷へ転送。受けた大谷もショート・坂谷へ、さらにセカンド・前園と渡り、最後はファースト・神城へ。もらった神城がゆっくりマウンドに歩いて行き、ボールを渡しつつ軽く声を掛ける。

 あいにく宮島と鹿島はあまり相性が悪くないにせよ、いいとも言えない様子。ならば配球以外の面でピッチャーの気持ちを盛り立てる。狭義的なリードではなく、広義的なリードでピッチャーの背中を押してやるのが宮島の仕事だ。もっとも今回はしれっと神城の力も借りる結果にはなったが。

『(よし。ここから1番。怖い打順だけど、1組・守護神の力を見せてもらおうか。しっかり捕ってやるから、思いっきり投げて来い)』

 こうして四苦八苦した8回の表。

 1番の神子にライト前ヒットを許して1アウトからランナーを許すも、2番・野上をサードゴロからの2塁封殺。3番・大須をセンターフライ。

「いいぞ。順調、順調」

 ランナー1人の無失点に抑えた鹿島。彼の背をベンチへの帰り際に叩いて賞賛する宮島だったが、どうも彼は浮かない表情。

「ったくなんでぃ。おめぇさんのリードは怖くて仕方ねぇ」

「そうだった?」

 遠征中の練習では文句が出なかったわけだが、いざ試合となってはいまいち信用しきれなかった様子である。ただ今でこそ4組投手陣は宮島のリードに信頼を寄せているが、入学当初は慣れない投手主導リードに不信感を覚えていた人もいるくらい。別に不思議なことはなく、初リードで信用してくれた鶴見・神部らがむしろ例外である。

「その、なんだ? あとで感想を聞かせてくれよ。今後のために」

「いいけど、30分は使うぜぃ?」

「それだけ感想が得られれば、むしろ嬉しい限りだよ」


次回投稿予定

3月3日(木) 20:00

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