表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プロ野球への天道  作者: 日下田 弘谷
第12章 全員野球で突破せよ
125/150

プロローグ

夏もそろそろ中旬。夏休みの無い土佐野専では、平日は練習をして、週末に試合。そんな何気ない日常を送っていた。そんなある日の事である。


 職員室のテレビでは、夏の風物詩たる高校野球・夏の甲子園大会の中継がBGMのようにただ意味も無く流されている。そしてそこで多くの教職員が事務仕事をしている中、一本の電話が飛び込んでくる。

 別に電話自体は珍しいことではない。プロのスカウトから出場予定の質問や、生徒との顔合わせのセッティング依頼。入学希望者からオープンスクールの日程や疑問質問など。しかし担当の女性事務員がその電話に出た時、その表情が変わった。

「は、はい。はい……しばらくお待ちください。広川さん」

「電話ですか? 繋いでください」

 いつものように自分の机近くにある電話機を手にしようとしたが、その女性事務員が不安な表情を浮かべている事に気づき、彼の表情も変化した。

「長久。一応、重役を集めておいてもらえますか?」

 電話機を取ると同時に、近くに座っていた小牧に確認。彼は了承するなり、すぐさまパソコンで一斉送信のメールを作り始める。

「はい。お電話代わりました。野球科2年生主任・広川博です」

 まずは自己紹介を済ませる広川。

 そしてその直後に聞こえた相手の自己紹介。厳密にはその所属団体の名を聞いた時に眉がわずかに動く。

「……はい。はい。なるほど」

 受け身で相手の話を聞く一方。それもしばらくしたのちに広川が返答する。

「面白い提案だとは思いますが、私の一存だけでは決めかねます。しばらく時間をもらっても構いませんか?」

 その問いかけに相手方からの返答はすぐにあった。想像していた通りのことだったのだろう。

「はい。ありがとうございます。では、明後日の12時までにご返事いたします。それでは失礼します」

 相手方に見えているわけはないが、律儀に電話の前でお辞儀してから電話を切る。

「ふぅ」

 緊張感から解かれたその瞬間、安堵のため息が漏れてしまうが、すぐに気合いを入れる。

「みなさん。緊急会議です。すぐに準備をお願いします」

 近くにいた全員が緊急会議に備えて会議場の確保、教職員の緊急招集の連絡を始める。そして広川はおそらくは届いているはずの郵便物を確認にいく。

『(近々こうなるとは思っていましたが……まさか向こうから来るとは思いませんでした。運命の選択ですね)』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ