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8-15(193) ヤバいの?

会話文多め。

ほとんど勢いで書いてしまったのであとで少々見直すかもしれません。


「そういえばさぁ、議会が異世界の調査に乗り出すかどうか検討してみるとか言ってるってこないだ言ったじゃん? あれ、誰かに聞いてみた?」

「うんにゃ、まだ誰もなにも言ってこないな。」

「酷いッ。あいつらもう人間じゃないよねッ。」



 ダニーに情報を伝えた翌日、爺様の家でのんびりと過ごしています。獣人の女がやすしさんに連れ去られたから、ひとまずとらさんの方の私の役目は終わってしまったし、小夜さよさんの方も自宅謹慎中だから、異世界へ送り届けなくていいし。ジークさんとダニーにも伝えるべきことは伝えてしまったから、端的に言えば暇なの。いや、まあ暇はいつものことなのだけど。異世界には本なんかも充実してるし割かし安価で手に入るから、いい暇潰しにはなるのだけれど、そういうことに一人耽っていると周りとの付き合いが疎かになりがちで……異世界の存在が私のこっちでの生活の足を引っ張ってるんじゃないか? と思う今日このごろ。

 テイルラント市のウチの近所でも友達が数名すでに嫁いでいってしまって、気軽に訪ねることもできなくなってしまったし。ああ、どんどん一人になってゆく。ヤバい? もしかして私ヤバい? とかも思ってたりします。私も男大好きな性格だったなら、いまごろもっと楽しく過ごせてたのかもしれないけど。

 ま、ま、そんなことは置いといて。



 昨晩、ダニーのところに行く前に爺様には“議会が異世界の調査を議会主体で行なうことを検討することになった”ということは伝えてたんだけど、あれから爺様のとこにも議会から連絡あったかなぁと思って、尋ねてみたわけ。で、ないって言うでしょ? だから、ちょっと私には似つかわしくない暴言まで飛び出たわけなんだけども。私、ふだんはこんな言葉遣いしないんだ。身内とか親しい間柄とかだったら、ときどきあるけど。基本、人見知りだからね。初対面の人と話すのって、話題を探すのとか億劫じゃない? 田舎はどこですか? へえ、そうですか。私はどこそこの出で、へえへえ。そうして訪れる無言タイムッ。気不味いったらないんだから。

 ま、ま、そんなことも置いといて。



 いやね、酷いっていうのが、異世界の調査を議会で進めようっていうんだったら、検討する以前に爺様に一言詫び入れてからっていうのが筋だと思うんだよね。なにしろ爺様のお兄様が異世界の調査をしてたせいで処刑されておられますので? どんな理由があるにせよ一度爺様に頭を下げて、これこれこういう理由で爺さんには申し訳ないんだが異世界を再調査することになりましたって断らなきゃ嘘じゃない?



「おじいちゃん、これから黄泉よみさんのとこ行ってちょっと文句行ってきてよ。」

「はあ? なに言ってんだ?」

「だってさ、酷くない? 異世界に関わるのを禁止にするって言っておじいちゃんのお兄様を処刑しといてよ、いまになって手の平返してやっぱ異世界調査します~って都合のいいこと言ってんだよ? まだ検討段階だから誰もなにも言わないのかもしれないけど、おじいちゃんなら言えるはず。いや、むしろこれにケチ付けられるのはおじいちゃんしかいないよ。おめえ人の兄貴ブチ殺しといていまんなってなに言ってんだよッつってきて。」

「ふ。」

「あのね、笑い事じゃないの。これ割かしマジなの。」

「やだよ。オレぁわざわざ首突っ込まねえ。」

「なんで?」

「だって、別に黄泉も好きこのんで異世界へ行くわけじゃないし。ウチの兄貴は好きで行ってたからな。まずそこが違うじゃねえか。」

「状況次第ですぐ手の平をクルクル返すってんなら、最初からお兄様を処刑なんかすんなって話なんだよね。」

「言いたいこともあるだろうが、オレはなにも言わねえし、しねえよ?」

「もうッ。ケチ。」

「その言い方だと、やっぱアレだろ? 議会が異世界に進出すると葵様が向こうで動きにくくなるとか、そういう話だろ。結局のところ。」

「それもないとは言わないけどさぁ。」

「んなこったろうと思ったぜ。悪いことは言わねえから、またしばらくは大人しくしとくんだな。もう神陽しんようも議会に投げちまってんだろうし、あとは議会が勝手に解決してくれらぁ。」

「じゃあ、何年待てばいいの?」

「とりあえず一、二年様子見てって感じじゃないか?」

ながッ?」

「長いって言うが、お前、これこそマジな話なんだが、安易に転移の術を使うなよ。」

「べ、別に安易になんて……。」

「どうせ使ってんだろ? こういうのは口で言って聞かせたってダメなのはよく判ってんだ。一度痛い目に遭わにゃぁ、判らねえんだ。」

「そ、そう?」

「まあ、これまでのことはいいんだが、いまのこの国は緊張状態にあるからな? いま、お前が転移の術師だってことがバレたら……。」

「バレたら?」

「十中八九殺されるぜ。」

「ま、マジな話なわけよね?」

「馬鹿。いまのはまだマシな方で、実際はもっと酷い目に遭わされるかもしれないぜ。例えばあの獣人の女みたいに、いいように利用された挙句に始末されるかもしらん。ホント、いまのはまったく脅し文句じゃないからな。」

「なるほど。一ちゃんが連邦側にもカードを撒いた理由がよく判ったわ。ホントに議会ってクソみたいな奴らが寄り集まってんだから。そりゃ、敵陣といえども異世界に興味を示してくれそうな方にカードを置いてくるよね。」

「まあ、その推測は間違ってなかろう。兄貴と議会は完全に敵対してたからな。」

 そんなことを話しながら、頭ん中ではおかしいのは自分の方かもしれないとかね、考えたりするわけで。転移の術師には生きにくい時代だわ。そんな状態が三〇〇年以上続いてるから、時代どうこうの話じゃないか。こう言う場合って時代を嘆いてみるよりも、自分を変えるのが手っ取り早いんだ。明日からふつうに生きるわッ。男大好きなふつうの女の子になって、いい男を捕まえてふつうに暮らすの。例えば伊左美いさみさんとか? あ、でも伊左美さんは異世界に出入りする異端児だからダメね。そうそう、これがまともな人間の思考だ。虎さんたちは犯罪者。なお、私も隠れ犯罪者の模様。おお、もうこの世界で平穏無事に生きていける気がしないんですけど。



 ヤバい? もしかしなくてもやっぱ私ってヤバいの?

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