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4-7(116) 無駄話

タイトルどおり無駄話です

バトルとかどう書けばいいんでしょう

 女の子が一体どんな戦い方をするのか知らないけど、勝算はあるんだろうか?

「爺様、あの子は大丈夫なの?」

 爺様の近くに寄って尋ねてみる。

「ああ、彼女……リア・ポメニールはレノアジェルという国?、町? に住んでいて、しかもその国?、町? の中で最強の名をほしいままにしているらしい。彼女がその気になれば空を裂き、大地を穿うがち、海を割ることも可能だとかなんとか。」

「それは凄いですねッ。ところで、解説の爺様は実際に彼女の戦いをご覧になったことはあるんでしょうか?」

「ええ、あるにはあるのですが、残念ながらいまの話のような凄まじい光景を目にしたことはありません。」

「う~ん、それは少し胡散臭いですねぇ。リアさん、爺様に嘘を教えたということもありえるのではないでしょうか?」

「そうですねぇ。」

「とにもかくにも、彼女の潜在能力は未知数……というところでしょうか?」

「そうですねぇ。」

「少なくとも仙道と対等に渡り合えるだけの力はあると考えてよろしいのですね?」

「ええ、それは間違いありません。」

 なんか、楽しくなってきた♪

「対する又八ですが、彼は一体どのような戦い方をするのでしょうか?」

「すいません、それがですね。彼についてはほとんど情報がないんですよ。いま構えている剣が彼の仙八宝せんのはっぽうだと思うのですが、一体どんな力を秘めているのか……。」

「ということは、敵の力量も未知数なわけですね。見てるこちらとしてはワクワクしますが、リアさんからするとやりにくいでしょうねぇ。」

「ま、それは又八側にしてみても言えることでしょうね。どのような攻撃を仕掛けてくるか判らない敵ほど、怖いモノはありませんからね。まずは先手必勝と考えて間違いないでしょう。」

「その割には両者、睨み合ったまま動きませんねぇ。」

「そうですねぇ、一体、どうしたのでしょうか?」

「どうしたのでしょうか? じゃねえですよッ、爺さんッ。あんたらがグダグダ喋くってるから話が進まないんだろぉッ? あんたらが一体どうしたんだよッ?」

「おおっと、ここでやすしさんからツッコミが入りましたッ。」

「靖さんは喧嘩はからっきしですが、ツッコミには定評があります。」

「そんな評価聞いたことねえっスよッ。仕舞いには殴るぞッ。」

「まあッ? 腕が縛られてるのにッ? 殴るですって?」

 目を丸くして煽るってみると、靖さんがいつか見た伊左美さんの玲衣亜さんに対するような表情になったから、ちょっとこのへんにしとこかな?

「いえ、ごめんなさい。ずっと靖さんのツッコミを待ってたんですよぉ。ツッコミが入ったらやめよかなって。」

「そうそう。」

 爺様が同意を示す。

「嘘吐けッ。絶対そんな気なかっただろぉッ?」

 ふふ、靖さんも一々反応してくれるから楽しいわ。



「うるさい……。」



 背後からポツリと聞こえた声。振り返ると、リアさんが槍を私に向けて立っていた。

「す、すいません。」

 とりあえず謝罪する。

「相楽、私、このまま帰ってもいいんだけど?」

「すいませんでした。調子に乗ってしまいました。すっごい応援してるんで、なんとかがんばってくださいッ。」

 いつもは見られない低姿勢の爺様。リアさん、ふうッと溜め息を吐いて肩を竦めると、再び又八の方へ向かう。又八は蔵の門前から石段を下りてきている。今度こそ、両者が激突するッ。

「あの子あんななりしてるけどさぁ、絶対歳いってますよね?」

 靖さんが爺様に質問する。

「ああ、リアを最初に召喚したのが三〇〇年前だから、少なくとも三〇〇歳は超えてるな。」

「ですよね。喋り方が子供っぽくないんだもの。あの見てくれでさぁ、大人っぽい物言いされると、もうそれだけで人を小馬鹿にしてる感じしませんか? なんか“大人のクセにそんなことも判らないんですか? 感”が付加されてるというか。」

 また靖さんがマイペースで喋くってる。ホント、緊張感ってものがないんだからッ。

「ん、あまり気にしたことなかったな。」

 爺様もそんな話に付き合う必要ないのに。

「今度言っといた方がいいっスよ。話し方と話す内容をもうちょっと子供っぽくしろっつって。あんなん又八じゃなくたって、誰だって怒りますよ。僕だったらもう一発殴ってますね。」

「殴るって、そんな酷いことしちゃダメですよッ。」

 あ、思わず会話に参加しちゃった。

「いや、実際には殴らないけどね。」

「だが、確かに子供が大人びた口調でド正論吐いてこっちを糾弾してきたら、大人に同じことやられるよりムカつくかもしれないな。」

「そうっスよ。」

「あら、可愛らしくっていいじゃない。私だったら頭撫で撫でするわ。そんでもって、もうッとか言って小っちゃな手で私の手を振り払うの。プンプンしながらね。で、プンプンしてても可愛らしいほっぺを両手で挟んで、どうだ、参ったかぁ~? って。」

「おお、うん。葵ちゃんは子供好きなんだね。」

 靖さんが初めて見せる優しい目。なんか不味い予感。

「いえ、特に。」

「ええッ?」

「可愛いのが好きなだけです。」

 この返答もおかしいか?



「ねえねえ、なんのお話してるのぉ?」



 足元に、まんまるお目々をパチクリさせて、キョトンとしている女の子。

 この子ッ、聞いてたなッ……いまの私たちの馬鹿話をッ。

 と、いうことはッ。

「ん~、いくら子供っぽくしてても計算づくだと思うとやっぱムカつきますねぇ。」

 靖さんッ、口にチャックしてッ。相手は子供じゃないのよ? 私たちがなにを言ってるか全部判ってるのよッ?

「オレは全然ッ、ムカつかないぜッ?」

 爺様ッ、表情が固いっスよッ。無理してる感が半端ないッス。

 今度はお前の番だとばかりに、リアさんの視線が私に突き刺さる。

「そうですよッ。すっごい可愛いじゃないですか。手が自由だったら撫で撫でしたいくらい。」

 そう言った直後、身体の圧迫感がなくなる。気づけば、腕を縛っていた縄が切れていた。

 こ、この子がやったんだわ。全然見えなかったけれど……。やだッ、この子ったら、頭を差し出して。撫でてみろってこと? そっと手を差し出してみる。噛まれやしないかしら?

「どうしたのかな~? お姉さんたちのお話が気になっちゃったのかな~?」

「もうッ。」

 撫でていた右手に激痛が走るッ。なにをされたッ? さっきの私の筋書き通りだとしたら、振り払われるはずなんだけど……振り払われる、が、ブン殴られる、とでも聞こえたのかしら。は、ははは。

 一瞬、リアさんが得意気な笑みを浮かべたかと思うと、彼女の身体が地を這うように小さく回転して、同時に爺様と靖さんがすっ転んだ。ちょっと痛そうだけど、私が一番痛いよね? なんで?

「その腕、あとで固定してあげるから、いまはじっとしてなさい。」

 そう言ってリアさんは再び又八と対峙した。

 今度こそ、両者が激突するでしょ。

 ってか、右腕、折れてるんじゃないですかね。

 口は災いの元だわ。

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