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midnite garten
その夜は、いつもと違って
沢山の百合の花が、お店に運ばれて来た。
いつものように、店長は静かに微笑むだけだった。
「...店長?」
「....なにかしら?」
「....なんで、シトローエンなんですか」
「なぜかしらね」
店長は、静かに微笑むだけだった。
それから、いつものように
店長は、シトローエン・エグザンティアで
どこかへ行った。
僕は、いつものように
店を閉めた。
夜のストリート。
静かに、路面電車がレールを踏みしめてゆく。
僕は、花の、百合のむせかえるような香りに
包まれた。
この香りは、あまり好きではない。
その時だった。
ーflashー
脳裏に、光を感じ
僕は、気を失っていた。
どのくらいの時間、そうしていたか
分からなかった。
気づくと僕は、そこがどこか分からない場所にいた。
もしかするとそれは、心象風景の中だったかもしれないと
回想するとそう思う....