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so this is love?
もう、いくら呼んでも
かすみの声は聞こえなかった。
夕暮れ。
散ってしまった彼女を抱えて
僕は、家に戻った。
丘にあるこの家の
海が見下ろせる庭、そこに立つ
水平線はもう紺青で
空との境が、やや藍に見えた。
空には、星が瞬きはじめ
時が巡る事を告げていた。
僕は、そこに
散ってしまった
かすみ草を埋めた。
これが、僕の愛だったのだろうか?
問いかけてみても、誰も答えない....
僕は、それから
茫洋と日々を過ごした。
フラワー・ショップの
アルバイトにも行かなくなった。
さらさらと、乾いた砂のような
毎日を過ごした
砂が積み重ならないように
いくら月日を過ごしても
そのたびに、崩れて風に舞ってしまうような
そんな日々が過ぎて....