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プロローグ
世界には、
何も考えずに何にも悩まずに生きている人なんているのだろうか。
そんなはずはない。
今、自分と同じような環境の中で生きている人は、
愛やお金、仕事、人間関係とか色々考えて暮らしている。
仕事などしなくても生きていけるぐらい大金持ちの人でも
それはそれで愛には悩むだろうし、
第一自分の身体のこととか考えながら生きているだろう。
もちろん見当もつかないが。
何もない未だに狩猟とかで生活している人もこの世界にはいるらしいが、
そういう人たちも食べること、住む場所の事を
俺たちより考えて暮らしているのだろう。
そう。
この世界には存在しないのだ。
何も考えず、何にも悩まない世界など‥
存在するのなら、
‥それは生きていないのと同じ‥。
だけど望んでしまう。
死を?
いや、そうではない。
何も考えない、悩まない、望まない世界が、
この眠りから覚めると、目の前に広がっている事を。