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ACT-5 ~グリーナ大陸の村~

とりあえず、打ち込みおわったところまでの投稿~

でも話はまだすすんでおらず

次回でおそらく一回目のイベントさんに突入、です。


村にはいるといたるところに竹細工でできた品物がずいぶんと目立つ。

どうやら山脈につづく山側には竹林が連なっているらしく、

竹はこのあたりにとって重要な資源の一つになっているらしい。

事実、竹の用途は多種多様。

筍は食材にもなれば、その皮は頑丈でいろいろと用途がきく。

竹は炭にもなれば、竹そのものを加工することにより様々な品物が出来上がる。

さらにいえば水につけることにより繊維状に分けることも可能。

ゆえに、籠などといった細かなものを作ることもできる。

竹の繊維は頑丈であり、また弾力性にも優れている。

竹を熱湯で柔らかくしたのちにこまかな繊維状に竹を割って使用することもできる。

竹から作りだした炭は吸水性、もしくは消臭、そして土壌に撒けば肥料となる。

まさにあるいみ竹は万能、ともいえる代物。


苛性ソーダ、と呼ばれる物質があるところならばそれを用いれば油抜きは簡単なれど、

この世界ではそういった化合物は自然界の一部としては存在していない。

ゆえに基本的に乾式油抜き、と呼ばれる製法で竹林は加工されている。

もっとも、食塩ともよばれている塩化ナトリウムを電気分解することにより、

水酸化ナトリウム…すなわち苛性ソーダを生みだすことは可能。

しかしこの世界において自動的に電気を生み出す代物はいまだ存在していない。

唯一あるとすれば魔硝石における雷の成分を含んだ代物であろう。

もっとも、火でいちいちあぶるよりも、遥かに食塩を電気分解することにより生みだされる物質。

苛性ソーダ、とも水酸化ナトリウム、ともとある場所では呼ばれている物質を扱う、

熱湯を扱った作業のほうが楽なのはいうまでもなきこと。


竹を素材として扱うためにはどうしても油抜き、という工程が必要不可欠となる。

油抜きには、基本、熱湯に竹をいれて煮込んで油分を取り除く湿式法と、

竹を直接火であぶり、油をにじみださせる乾式法とに分けられる。

竹は大まか六節ごとに切り取り竹林より運び出す。

そのさい、いらない枝などは奇麗にとり除いておくのがミソとなる。

湿式法においては、電気分解させた食塩を加えた熱湯に二十分ばかり竹を加えて煮込み、

その間、浮いてきたあくを丁寧に取り除き、その後、竹を乾燥させて素材の基礎とする。

そこまでしておけば、あとは様々な用途にあわせて色々なものに応用ができる。

たとえば、丁寧に竹を裂いてゆき、籠をつくることもでき、

または竹そのものに色を染め上げ色つきの様々な工芸品などを創ることも可能。


この製法は今はなき、滅んだとある文明が開発した、といわれているが、

今現在を生きる存在達はそれがどういった文明であったのかすら理解していない。

ただ、漠然とその製法のみが後世にのみ伝わり、伝統としてそれぞれの場所に伝わっている。



「結構竹細工がおおいな……」


周囲をみわたし、ぽそっとつぶやくフェナス。

村にある柵などもほとんど全てが竹制。

家の柵や窓枠などもどうやら竹が使われているようである。


「それより、あれ…なんだろう?フェナス?」


村の奥のほう。

そこに異様に高く積み上げるように編み込まれている柵を目にし問いかけているレニー。

たしかに、村の奥。

おそらくは山脈側に通じる出口がある辺りなのであろう、

そちらの方面の村を囲む柵が異様に高く設置されている。

全てが青竹で構成されており、さらには竹で編み込んだ縄でそれぞれが結ばれているようにみえる。

ちょっとやそっとでは壊れいなし、また、青竹は燃えにくいこともあり火にも強い。


「侵入者よけ、でしょ?」


実際、このあたりの山脈には肉食獣が多々といる。

中にはかわいらしい容姿をしていても、獰猛な獣も多々といる。


「あ、村長さんの家はここみたいね」


一件、異様に大きな家がでん、と村の中心。

ちょこっと小高い丘のようになっている場所に建てられているのが目にとまる。

村全体の規模はさほど大きくはないものの、ところどころに屋根のついた何かの作業場、なのであろう。

大きな釜のようなものが設置されている社がいくつか見て取れる。


「うん?なんだ?見慣れないヤツラ、だな?そんなに深くフードをかぶって?」


まあこのあたりでフードをかぶっている輩などごろごろいる。

しかし身長差もバラバラであるティン、フェナス、レニエルの三人。

ばっと見た目、身長的にどこかの兄弟姉妹か家族かにもみえなくもないがいかんせん。

どちらにしても、ティンはどうみても十代そこそこ。

レニエルに至ってはどうみても十代より下。

唯一大人に見える可能性があるとすればフェナスのみ。

それでも二十代にみえることからまちがいなく親子、には絶対にみえない。

どちらかといえば妥協して姉弟、といったところであろう。


「申し訳ありません。私たち、どうにかこうにか湖からここまでやってきたのですが。

  もうすぐ暗くなりますので一夜の宿をお願いしたく、村長さんにお伺いに参りました」


すでに周囲は薄暗くなり始め、村のいたるところではかがり火がたかれ始めている。

この時期、このあたりはどうしても日が落ちるのは早い。

特に周囲に高い山脈が連なっている以上、平地と比べ比較的暗くなるのも早い。

暗くはなっても、いまだに太陽は地平線の向こうに沈んだわけではなく、

山の向こうに消えてしまっただけなのでぼんやりとした明るさがしばらく続くことになる。

ぼんやりとした明るさから暗くなるのにそうは時間はかからない。

そういってかるく頭を下げる、どうみてもおそらく子供、なのであろう。

一人はかなり小さい。

湖から、ということはいつもの難破船による遭難者か。

ここ最近、難破船による遭難者がよく多発している。

この村に迷い込んでくる遭難者も少なくない。


「まってろ。今、村長に引き継ぎにいってやる」


少しばかり肌寒いのもあり、フードを深くかぶっているのも遭難者ならばうなづける。

そもそも体が冷えているはず。

ゆえに少しでも体を温めようと深くフードをかぶる行為は仕方がないといえば仕方がない。

湖から、という単語のみで目の前の三人を難破船による遭難者、

そう判断した見張りの村人がそのまま建物の中にとはいってゆく。


待つことしばし。


「待たせたな。村長がお会いになるそうだ。粗相のないようにな」

「はい。ありがとうございます。さ、いきましょ」


ぺこり。

先ほど建物の中にはいっていった村人が扉からでてきて三人に声をかけてくる。

そんな彼にお礼を言いつつ、頭をさげて、背後の二人に話しかけるティン。

とにかくここは素直に従っていたほうがよい。

ゆえにそのままティンとともに、そのまま村長とよばれる人物の家の中にと三人は足を踏み入れる。



家の中の作りは、これまたほぼ竹細工が主に占めている、といっても過言ではない。

引き戸にいたるものから、間取りの枠、さらには窓におけるちょっとした柵など。

全てが竹で作られており、なおかつその精密差が観ただけで誰もがわかるほど。


「お待たせしました。私がこの村の村長をしております。ミアジルと申します。

  聞けば、一晩の宿を、とのことですが。あなた方三人のみ、ですか?」


ミアジル、と名乗った人物はいまだ年若く、温和な顔立ちをしている見た目、二十代後半くらいの女性。

柔らかな毛並みの髪を肩のあたりで短く切りそろえており、

服装はゆったりとした上下続いている服を腰のあたりで紐らしきもので結んである簡易的なもの。

しかしよくよくみればその服の材質は絹でできていたりする。

この辺りにおける絹は比較的高級品、ともいわれており、

絹を身につけている、というだけで身分のあるものだということがわかるほど。


「はじめまして。私はティン・セレスと申します。こちらがフェナスとレニエル。

  湖からここまでどうにかたどり着くことができましたが…

  このあたりでの野宿はさすがに、とおもいまして。

  もちろん、ただで一晩の宿を、とはもうしません。

  ここに宿があればそこに泊めさせていただければ。

  資金のほうはさほど持ち合わせはありませんが、

  とりあえず魔硝石ならばいくつか持ち合わせがあります。

  それで代金の代わりとさせていただきたく思っております」


こういった小さな村などでも魔硝石は通貨の代わりを十分に果たすことをティンは知っている。

それゆえの言葉。


「それは災難でしたね。わかりました。それでは宿が一件ございますので。

  そちらのほうに泊まっていただければ。あと注意事項ですが。

  絶対に夜、宿からでないようにしていただきたい。…命の保証をしかねますので」


命の保証。

そう言われ、思わず顔を見合わせているフェナスとレニー。


「何かあるのですか?」

戸惑い気味に問いかけるレニーに、

「もしや、森のほうの頑丈すぎるほどの柵に何か理由が?」

ここにくるまでにその異様に頑丈すぎるほどの柵は嫌でも目についている。

それゆえにレニーに続きといかけているフェナス。

「いえ。旅のお方に心配をかけさすほどでは……」


それでなくても湖からどうにかこうにか逃れてきた旅人に、これ以上心配ごとを増やしたくない。

それは、村長でもあるミアジルの配慮。

少なくとも、アレは暗くなってからでないと行動しないことが今までの経験上わかっている。

だからこその忠告。

みたところまだ小さな子供もいる。

下手に恐怖をあおる必要もない。


「では、宿のほうに案内させましょう。何ぶん、何もない小さな村ですが。

  この村は見てわかったかもしれませんが竹細工が盛んでしてね。

  昔は竹細工物を旅人などに教えることもしていたのですが……」


アレが現れて以後、そのようなことはできなくなった。

すくなくとも、客人を危険な目にはあわせられない。

アレが出始めてから、昼間も狂暴な輩が増えてきたように思えるのは気のせいではないであろう。


「宿の主人が港町までの道のりは詳しいですので、帰る方法も知っているでしょう。

  しかし、森を突っ切って進むのはお勧めいたしませんよ?最近は物騒、ですから」


そう。

村の中にすら出現してしまうほどに、何かが完全に狂っている。

どうにか村の周囲に魔硝石にて簡易的な結界のようなものを施していなければ、

まちがいなく、村はすぐさま魔獣達の襲撃にあってしまう。

小さな村などが襲撃にあい、全員死亡した、という話しは今では日々当たり前のように聞こえてくる。

少なくとも…記録に残る限りは、数百年前まではこのあたりは平穏な土地柄だったらしい。

しかし、ある時を境にして、突如として増え始めた魔獣。

そして…狂ったとしかいいようのない野生動物達。

三人を完全に湖からの遭難者、とおもっているがゆえの台詞。

しかし、ティン達の目的は森の奥。

さらにその奥にある山脈につらなるとある山間の一角。

物騒だから近づかないように、といわれてはい、それではそうします、というわけにはいかない。

しかしそれはここで口にだすことではない。


それゆえに。


「わざわざありがとうございます。今晩一晩の宿を願えれば、私たちは明日にでも出てゆきますので」

「あまり十分なもてなしもできずにすいませんな。

  …ああ、宿のほうにも色々な竹細工物は売ってありますので、記念に一つ買っていかれてはいかがですかな?

  旅に便利な竹細工の袋や水筒なども売っていますので」


竹を材料に使った水筒は中にいれている水などがこぼれることなく、また腐ることもないので旅には重宝する。

伊達に村長を名乗っているわけではない。

ちゃっかりと商売を促進する言葉を発していたりする。

もっとも、竹細工ものの収入がこの村の主たる収入源である以上、

村長とすれば少しでも外の旅人に売っておきたい、というのもある。

そしてその旅人からこの村のことが伝わればそれだけ村の細工物がよく売れることになるのだから。




「…夜に出歩くな、とはいったい……」


とりあえず、宿屋に案内され、食事も主に牛のミルクと山菜、そして肉類。

小さな村にしてはけっこう豪勢ともいえる食事をだされ、割り当てられたのは一つの部屋。

部屋の中には三つのベットが設けられており…ちなみに、ベットもまた竹製。

しっかりしとした骨組みで、竹のすこしばかりここちよい匂いが寝転がると伝わってくる。

部屋の中にはペットの他に机といすがあり、それらもまた全てが竹で作られている、という凝りよう。

伊達に竹細工の村、と内外にかつて宣伝していたわけではない。

今でもその宣伝文句は通用するが、ある出来事をきっかけに、

今はあまりそのことは吹聴されなくなっているらしい。

先ほどの村長の言い分と、そして宿の主人の言い分。

言葉は濁していたものの、すくなくとも夜、何かがある、というのは一目瞭然。

ゆえに今まで海賊、という家業を生業にしていたフェナスにはそのあたりのことがどうも気になるらしい。


「あの柵からみても、まあ無難なところで、瘴気に充てられた野生動物が狂暴化してるか。

  もしくは、瘴気にやられた魔獣がいるか、のどちらかじゃないかな?」


あむっ。

うん。

やはり竹の子の佃煮もいけるわよね。

そんなことをおもいつつも、夜食用に、と用意してもらった竹の子の佃煮を口に運びつつも説明するティン。

このあたりの竹林は年中生える竹と特定の時期に生える竹。

数種類の竹が群生している竹林となっている。

ゆえにこうして村単位で竹細工の仕事が要、となっていたりするのだが。

多種多様の竹があればその分、細工ものの範囲も広がる。

実際、このあたりで作られた竹細工ものはかなり高価な品、として他国に流通していたりする。

ゆえに商人達がこの村に仕入れにくることも多々とあり、

こういった宿も村だというのに設置されているのだが。


「…魔獣が瘴気にやられていたらそれこそ大問題ではないのか?」


かつて瘴気にやられた魔物に町が一つ壊滅させられた現状を聞いたことがある。

それゆえに顔をしかめてつぶやくフェナス。

それでなくても魔獣と戦うには実力が必要となるというのに、瘴気にやられた魔獣はといえば、

その本能からしてマヒするのか、痛みも何も関係なく、下手をすれば肉体が死んでもまだ行動する。

いわば動く魔獣の死体、といったところ。

瘴気を完全に浄化しなければ死体はそのまま動き続け…

魔獣としての本能のままに破壊を繰り返す存在となり果てる。

瘴気を浄化するにあたり、精霊の加護が加わった聖具、という代物で倒さなければならないのだが。

もしくは、精霊の力を借りた術をつかうか。

しかし、一般の人々がそのような術がつかえるわけもなく、

ましてや聖具、などといった代物はもはや伝説上のもの。

そういった存在が発生した場合、国に要請し、国から魔術師が派遣されやってくのるのを待つしかない。


「でも、それはない、とおもいますよ?」

「?なぜだ?」


きっぱりとありえない、という意味合いをこめて断言するティンの台詞に疑問の声をなげかけるフェナス。

ありえない、ことはない。

そもそもこの地はそれでなくても瘴気が発生しやすい地と聞いている。

なのにありえない、と言い切る理由がわからない。


「クレマティスがいる以上、そういった輩はこのあたりでは発生しないはずですしね~」

それは事実。

しかし、その意味がわかるのはおそらくこの場においてはティンのみ。

ゆえに、ティンのいっている意味は当然、フェナスにもレニエルにも理解不能。

そもそも、『クレマティス』という言葉の意味すらわからない。

まあ、判らなくて当然、といえば当然なのだが……


「まあ、今日は早くねましょ?明日も早いですし。それに久しぶりの陸で二人ともつかれてるでしょう?」


今までずっと船上で過ごしていたのである。

いくら元が大地に根付いた種族だとはいえ、船上と大地とでは疲れ具合も異なってくる。

それでもあまり疲れがみえないのは無意識のうちに大地より力を吸収しているがゆえであろう。

本来、森の民の一族はその大地より力を吸収し糧とする一族。

ゆえに大地に降り立っているだけで自然と力はついてくる。

そのことをティンはよく知っている。


「確かに、久しぶりではあるが……」


いいつつ、ちらり、とレニエルのほうをみるフェナス。

陸にあがってからこのかた、レニエルは常に興奮気味。

わからなくはない。

そもそも【レニエル】にとっては初めての陸ともいえるのだから。

それでもついてきたのは、彼の生まれもった役目を果たさんが故だというのも理解している。


「とりあえず、すでにもう日は暮れました。フェナス。私たちももう寝ましょう」


日が暮れれば自分達もまた眠りにつく。

それは彼らにとっては基本中の基本。

今までのように周囲を警戒することもなくその身をゆっくりと休めるというのは

たしかに精神上にもよいことづくし。

太陽が照っている昼間は彼らは活発ではあるが、太陽が陰った夜は基本、動作は鈍くなる。

それは彼らの一族の特性であるがゆえに仕方がない、といえば仕方がない。


「…そう、ですね。とりあえず今日は休むとしましょう」


いろいろと追及したいことは山とある。

しかし何より、明日もまた早い、とティンという少女はいっている。

ならば体を休めるときに休ませておかなければ今後どうなるかわからない。

すくなくとも、いざとなったとき、レニエルを守れる体力がなければ話しにならない。

そう自分の中で結論づけ、互いにそれぞれのベットに横になるレニエルとフェナス。

横になると同時、つかれていたのか深い睡魔が二人に襲いかかり、彼らは瞬く間に眠りにと誘われてゆく……




パチ…パチパチ…

周囲に火が爆ぜる音が響き渡る。

村のいたるところに設置されているかがり火の爆ぜる音と、数名の村人たちの足音のみが周囲に響く。


「よっ…と」


ふわっ。

完全に二人が眠りについたのを確認し、ふわり、と柵の外へと降り立つティン。

村の中には警戒した村人たちが武装して見回っており、常に見張りを怠ってはいない。


「あの子からいるから瘴気に魔獣がこのあたりで冒されてるってことはないはずだけどね~。

  だけど確かにこのあたりの気が乱れてるのは事実なのよね」


それがどうも気になっていた。

しかし二人の手前、そのようなことをいうわけにはいかない。

そもそも、周囲の自然の【声】が聴こえることを彼らにいえばどんな反応がくるのか目にみえている。

一族でもないのに一族の一員だ、とおもわれるのもかなり困る。

万が一、自らの正体がわかったとき、面倒なことになりかねない。


「これはもしかして、久しぶりに【人】に瘴気が入り込んだ口…かしら?」


かつてきちんと精霊王達が世界を守っていたときには滅多と起こらなかった現象。

それでも、引きあうように瘴気に冒されてしまう存在は時折いた。

その時は精霊王達が選んだ存在に聖具を渡すことによりことなきを得ていたようだが……

別にそういったことをするように、と指示したわけではない。

基本、この地は彼らに任せているので自分は完全に傍観者。

管理者とはそういった物だ、とティン自身も自覚している。


「さて。歪んだ闇の気配がしているのはこっちだから、とりあえずいってみますか」


周囲より感じる魔獣の気配。

しかしそれらはティンのほうには近寄ってはこない。

彼らは本能的に感じ取っている。

自分達が絶対にかなわない相手である、と。

ゆえに近づかない。

そもそも気配を察知するために多少の自らの気配を解放しているティン。

だからこそ、魔獣達はともかく、野生の獰猛な夜行性の獣もまた近寄ってはこない。

圧倒的な畏怖すべき【気】を本能的に感じ取り、それらの存在達はただただ小さくなっているのみ。


真っ暗な竹林の中、道なき道をのんびりと歩くティンの姿が見受けられてゆく――


次回はまたまた未定、です・・・


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