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ACT-2 ~旅立ちと出会い~

とりあえず、キリのいい?この回まで連続投稿です。

・・さて、今から楔、打ち込みます・・・


「さて…どうする、かな?」


かなり心配してくる宿屋兼用の酒場の主人にひとまず別れの言葉をいい、ここまでやってきた。

目の前に広がるのは海と見まごうばかりの巨大な湖。

この大陸は巨大な湖で隔てられている、といっても過言でなく、ゆえに別名、第二の海。

キラキラと青く輝くその光景からは予測もつかないが、この湖には様々な生物が生息しており、

中には肉食の生物も多々と存在している。

しいていうならば、海と切り離され、さらにはこの湖にしみ出しているとある成分の影響もあり、

各個々において巨大化した生物達であろう。

その成分とは成長速度を異様に高めるものであり、

この湖に生息している生物は少なからず巨大化してしまう。

今のところこの湖に生息している生物を食べて、自らの身まで巨大化してしまった、というのを聞かない以上、

おそらく何らかの人間達には影響しない何かの力が働いているのであろう。

そういうのがこの地に住まうものたちの一般的な認識。

巨大化、といってもそれには限度、というものがあり

ある一定の大きさまでいくとその効果は発揮されなくなってくる。

しかし逆をいうならば、巨大化した生物達の肉などは普通の生物などにおいても比較的肉質や味がよく、

この湖に住まう生物、特に魚や鰭竜といった存在は高額取引がなされている。


「ま、考えてても仕方ないし。とりあえず、『召喚:水竜、【Select1(セレクトワン)】』」


ザザザッ。


ティンの言葉をうけ、目の前の水面が突如として波うちだす。

そしてその水はまるで生き物のように盛り上がり、


ザァァッ。


次の瞬間、ティンの眼前の湖の水が生き物のようにうねり、新たな形を形勢する。

水面が元のように静まりつつも、多少波打つ程度は湖面が揺らぐ中、

ティンの目の前にちょっとした大きさの透き通った首の長い何かの生き物らしきもの、が出現していたりする。

その生き物らしきものは、全身を水らしきもので形をとっているのか、

その表面がゆらゆらと湖面と同じく輝いている。

異なるのは湖面と異なり、その形が確実に固定化している、ということくらいであろう。

長い首の先には小さな顔というか頭がついており、ぽっこりとでた体にちょっとした長さの尾。

ついでに四枚ほどある鰭のような足のようなもの。


水竜。

一般にそう呼び称されているもっともこの世界ではポビュラーすぎるほどの召喚獣。

もっとも、召喚する側の力量と、そしてセレクト、と呼ばれる呼びだす存在の実力差に応じ、

その能力も、また力も格段にと変化する。


今、ティンが使ったこの術は一番何の変哲もない召喚術からしてみれば低い位置にあたるものであり、

呼びだした後の用途はといえば大概、足がわりになるくらいの実力しか持ちえない。

逆をいえば知性も戦闘力も何もない、ただ形を与えられただけの器、ともいえる。

水を固定化させて、足代わりにする形を創りだす。

それが一番低い召喚術におけるセレクト…俗にいうレベル最下位の術の一つ。


「飛んでいってもいいけど、やっぱりのんびりといくのもいいしね~」


場違い極まりないことをいいつつも、

ぴょんっと自分が今、呼びだしたというか創りだした『水竜』の背に飛び乗るティン。


「さ。それじゃ、出発進行~!」


何とも間が抜けているといえば間がぬけているが、穏やかな湖の一角にティンの声が響き渡る。


ザザザ……


ティンの言葉をうけ、『水竜』は静かに動き出す。

動くたびに静かだった湖面にきれいな波の道筋が刻まれてゆく。


この召喚獣は召喚した側の意思により特定の動きを確実にこなす。

ゆえにかなり重宝されるが、この召喚術。

かなりの実力と力を保有していなければできない技。

生命力と魔力、精神力に影響する術の一つであり、

どれをとっても自身がなければまず滅多と使われない術の一つ。

そもそも、呼びだしたはいいが、術者がそのまま倒れてしまう、ということもザラ。

もっとも、一番低い召喚術であればそのようなことはあまり起こりえないのだが……


「さってと~。聖都の聖廟、までどれくらいかかるかな?」


ティンが目指しているのは、聖都のはずれに位置している、聖廟、とよばれし場所。


聖廟、とはよく名をつけたものだ、とあるいみ感心してしまう。

実体を知らない信者達からしてみれば、そこはまさしく、聖なる場所、でしかないであろう。

世界をおかしくしているのがその場である、という現実を知りさえしなければ。


あむっ。

そんなことをつぶやきつつも、のんびりと水でできた竜の背にのり手にしたサンドイッチを一口。

朝、宿をでるときに、

一人旅というのもあってか食べ物にも困るだろう、といって親切にも用意してくれていた品。


「うん。まあまあ、かな?でもやっぱりあまり調味料とかが発達してないからな~」


それでも、小麦粉をどうにかパンにまでしているのはさすがといえるが。

それでもやはり固いものは固い。

卵を加えて焼くことにより、少し違ったサンドイッチが出来上がっているようだが。

しかし、それはティンの味覚からいって違っていると思うだけであり、

この世界からいえば、ティンが今手にしているサンドイッチはごくごく一般的な品。


「ここにくるとき長期戦覚悟できたからな~。

  とりあえず無難な携帯食料とかは多々ともってきたけど」


本来ならば持ち込みできる品の数はきまっているども、それらはどうにでも応用がきく。

やはり食事はおいしくなくては意味がない。


「亜空間収納パックがここでも使えるのが便利だよね~、うん」


誰ともなくつぶやくティンの言葉は当然誰にも聞こえていない。


亜空間収納パック。

それはティンからしてみればごくごく慣れ親しんだ代物ではあるが

おそらくこの世界の存在にとっては摩訶不思議な品であろう。

そもそもここの文明のレベルはティンの常識から見てもかなり低い。

もっともそれは仕方がない、といえば仕方のないことなのだ、とティンは誰よりもよく理解している。

いるがゆえに、自分の存在がどのようなものなのか十分理解しているつもりである。


「できれば、あまり人とかかわらずにこっそりと目的を達成したいけど……」


『うわぁぁ~!!!!』


そういいかけたティンの言葉をさえぎるように、

どこからともなく悲鳴がティンの耳にと聞こえてくる。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理っぽい・・・・」


聞いてしまった以上、見過ごすわけにはいかないであろう。

というかそんなことをしたら自分が自分を許せない。

というかかなり寝ざめが悪い。

ゆえに大きくため息をつく。


「仕方がない…んと、状況確認…っと」


つぶやいたその刹那。

ティンの額の上のあたりに薄い映像のようなものが出現する。

しかしそれはティン以外の何人にも視えない代物。


「あらら。…クラリス…かぁ」


でもま、ちょぅどいいかな?

声のしたほうを確認しようと状況をざっと見てみたところ、少し離れた場所にて、

どうやら船が湖の生物、『クラリス』に襲われているらしい。

「このまま水竜にのってってたら戦闘にはむかない…か。召喚、解除」


バシャっ。


バチン、とティンが指を鳴らすと同時、それまで形を成していた水の竜が瞬く間に湖と同化する。

ふわり、それと同時に湖の上にと降り立つティン。

そこは別に浅瀬というわけではなく、普通に深い湖の一角。

にもかかわらず、ティンは何でもないように湖の上にと立っている。


「さて、と、いきますか」


ふわり。

まるで重さを感じさせずにその場よりティンは何でもないように浮かび上がり、

そのまま


「威力の調整できるかな~?」


何とものんきなことをいいつつも、

いまだに悲鳴が聞こえてきている方向へとそのまま飛空してゆくティン。

この世界、空を飛ぶ魔術は完全には確率されていない。

しかし、ティンにとってはそんな些細なことは通用しない。

そのままいまだに水音と叫びと悲鳴、そして怒号が飛び交っているであろう方向にむけて

そのままその体をむけてゆく。






「うわぁぁっ!?」

「何だ!?この大きさは!?」


この湖の航海…あまりにも大きな湖なので、

ほとんどのものがこの湖にて船を出す場合は海と同じように、航海、と呼び称している。

本来の海を大海、と呼ぶならば、こちらは小海、といったところであろう。

湖からは幾本か海に通じている川もあり、それらは大河として名を知らしめている。

どういう理屈なのか、はたまた現象なのかはわからない。

わからないがともかくこの湖は常に絶えず地下から湧き出た水により常にその形を変えることはない。

地下より湧き出ている水の影響なのか、この湖に生息する生物は異様に大きく育つ傾向がある。

もっとも含まれている物質のおかげなのか、この湖にクラス生物はその肉質においても、

またその他からとれる材質などからいってもかなりの値段で重宝されている。

が、しかし、体が大きくなる、という特性だけでなく、

そこにいきる生き物の凶暴性までも大きくしてしまうらしく…


結果。


「くっ!対クラリス用の槍がきかないだとぉ!?」


誰ともなく思わず叫ぶ。

襲撃は想定内、というかむしろこういった襲撃は日常的。

常に湖の上にて暮らす彼らにとっては襲われたときの対処法なども日々精進し腕を磨いている。

が、しかし目の前のどうみても巨大なイカはかるく小さな山くらいの大きさはどうみてもある。

だいたい、よくて二階建の家程度の大きさの生き物たちを相手にしていた人々にとってはまさに脅威、としか言いようがない。

そもそもそのいくつもある触手ともいえるものにて船をがんじがらめにされている。

対魔物用の対策をとっていなければまちがいなく今ごろは船ごと木端微塵にされている。

それでもかなり頑丈に強化の術を施しているはずの船はミシミシと今にも壊れそうな音を立てている。

この世界ではより強い樹木、コルース樹により造られ、外装に様々な術式を施しているこの船は、

あるいみ、船だけでも戦艦、といっても過言ではない。

術式、とは文字通り、力ある言葉などを決められた形に刻み込むことにより威力を発揮させる技のこと。

こういった船などにおいては、浸水しないように防水の術式が大概組み込まれて作られる。

それでもその式を扱えるものはごくごく限られた力ある魔術師、もしくは神官、

あとは精霊の加護をうけている種族の存在達であるがゆえに

式が施されている、というだけでかなり高価な品となる。

かなり資金をかけて頑丈に式をかけているはずの船がきしんでいる。

それはまさに、彼らにとっては死活問題。


と。


「あらら~。あの~?手助け、いります~?」


何とものんびりとした声がどこからともなく突如として聞こえてくる。

仲間の声は全て覚えてはいるが、この声には聞き覚えがない。


『誰だ!?』


思わずその場にいたほとんどの者が同時に叫ぶ。


「誰、といわれましても。通りすがり?なんですけど~」


声はどうやら上空から。

はっと思わず上をみてみれば、自分達の頭上にふわふわと浮かんでいる人影一つ。

…ありえない。

というか人間が空を浮かんでいる?

いや、翼人か?それにしては翼がみえない。

ならば、亜人、と考えるのが無難なのかもしれない。

亜人の中には精霊の加護をうけてその力を行使するものがいる、ときく。

しかし、しかしである。

こんな場所にいるような存在ではないことを彼らは十分に知っている。


「手助けいらないようならほっときますけど~」

何とものんびりとしたその声に思わず、

「これが手助けいらないようにみえるかっ!?」


あまりにのんびりしたその声におもわず突っ込みをいれてしまう。

おそらくその行為は誰にも責められないであろう。

特に、仲間の命がかかっているこんな現状でそこまで冷静に判断できる、とは思えない。



声をかけたのは、いらぬお節介、ということもありえるから。

そもそも手助けがいらないのならばそれにこしたことはない。

しかし、戻ってきた返答はどうやら手助けがほしいらしい。

ちょうどまだ食べ足りない、というかお腹がすいていることもある。

ちなみに彼女の好物の一つが、こりこりとした歯ごたえがある食べ物だったりする。

ゆえに、


「ならよかった~。ちょうどお腹すいてたんですよね~。焼きイカっておいしいですよね♪」


にこやかに笑みを浮かべつつも、目の前の巨大なイカもどき、通称、『クラリス』。

それを食べ物、と認識してさらっととてつもない発言をしている少女、ティン。


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?』


一瞬、上空に浮かんでいる人影のいいたいことが分からずに

その場にいた数名が思わず同時に声を漏らす。

それと同時。


「爆炎」


ゴッ!!


上空に浮かんでいるとおもわしき人物から何かの声が発せられたとおもうと同時。

突如として目の前で対峙していたイカの変異種、『リンクス』が突如として炎にと包まれる。

一瞬、何がおこったのかその場にいるすべてのものが理解不能。


「仕上げっと」


唖然とする彼らとは対照的に、何かのんびりとした声が再び聞こえ。

次の瞬間。


ドォッンッ!


目もくらむほどの轟音と、閃光が彼らの視界と耳を覆い尽くす。

あまりの閃光にその場にいた全てのものが目をつむってしまったがゆえに直視していないが、

もし直視していれば、

どこからともなく発生した巨大な稲妻がクラリスの体を貫いた様子を目の当たりにしたであろう。


ザバァァッン!!


轟音と閃光が収まったその刹那。

何か巨大なものが水の中に倒れる音が鳴り響く。

恐る恐る目をあけた船の乗組員とおもわしき人々がみたものは、

ぷかり、と湖にと浮かぶ、さきほどまで自分達が必死で戦っていた『クラリス』の死体。


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』


おもわず誰もがそれをみて無言になってしまうのは仕方がない。

というかまったく状況が理解できない。


そんな中。


「あ、すいませ~ん。あなたたちの獲物とはわかってますけど、足の一本、もらってもいいですか?

  私、焼きイカも好物の一つなんですっ!」


何やら場違いともいえる声が彼らの耳にと聞こえてくる。



彼女からしてみれば

そもそも、クラリスは食べ物認識であったのだからその問いかけは間違ってはいない。

しかし第三者からしてみればその問いかけはあまりに理解不能、ともいえる。



かなり突っ込みどころ満載すぎる。

よくよくみれば攻撃?を仕掛けたのはどうやら少女、らしい。

しかも珍しく黒髪の少女。

長い髪は一つにミツアミでくくられているがその長さは腰の辺りまであるであろう。

服装は上空にいるがゆえによくよく見なければわからないが、

上下に別れた服と上着っぽい何かを着ていることくらいは理解できる。


「あ…ああ……」


あまりに現実離れしすぎている目の前の現実。

ゆえに、ただただ流されるままにつぶやく乗組員らしき人物の姿が

しばらくの間見受けられてゆくのであった……


次回はまたに・・・

今のところこれの打ち込みは100KBほど完了中・・・

でもまだ完結してません・・・

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