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ACT-19 ~聖樹~

ひとまずこの回でひっぱりまくってたレニエル達の登場回はひとまず完了。

次回からはどちらかといえばRPGっぽくなります・・・



         WOLD GAME ~聖樹~



空を埋め尽くす、不可思議な光の奔流。

「ええいっ!何がおこったというのだ!?」

先刻、神殿より異変がおこったことが伝えられた。

状況を把握するために兵士などを派遣したはいいものの、

駒としていたはずの存在達は、突如として青き炎につつまれもろくも崩れ去った。

城にとある【物見の塔】の報告によれば、国のいたるところで緑色に鈍く輝きをもつ、

青き光が地上付近にて観測されている、とのこと。

城内、否、城の中より一歩外にでてみれば、いたるところにて炎が大地を覆っている。

どんよりとたれこめる灰色の雲が空を覆い尽くし、

その雲の合間よりもれているのは不可思議な光の道しるべ。

灰色の雲を通して雲の上にて何かがおこっているのがかろうじて判る程度。

とはいえすでに日は落ちたあと。

真っ暗闇の中に浮かび上がる光はどこからでも目視のみですら確認ができる。

城から外にでたとたん、倒れる道具…すなわち駒として扱っている兵士達の報告もあがっている。

何がおこったのかは理解不能。

「何ものかが、神殿に侵入し、精霊王を解き放ったとしかおもえませんな」

素直に解放に応じる、とはおもわないが。

そんなに素直に解放に応じるのであれば今の今まで数百年も幽閉されていたわけではないはず。

ゆえに、彼らには精霊王、とはよばれているものの、力なんてないもの、そうおもっていた。

また、それがあたりまえだ、とおもっていた。

力のないものを捕らえ、閉じ込めただけで、強力なる力が手にはいる。

その力をもってして死よりも逃れる力を手にいれた。

力をつかい、本来の姿は多少歪んだかもしれないものの、

それはまた新たな力の上乗せでどうにでもなる。

事実、反抗するような輩はすべて力でねじふせて、自分の駒としてまた道具として使用していたこの数百年。

ちょうどいい器があれば、自らの精神体をその器に移動させて、この王国のトップ…すなわち王を務めてきた。

ここ百年か二百年ばかりその力の使い道がより洗練されて他者に力を分け与えることも可能となった。

かの実験が成功すれば世界はすべて我がものとでき、実質世界を支配することができる。

そのための計画であり、また仮初めなる聖地でもあったはず。

にもかかわらず、その実験の始まりの地ともいえる場所の異変報告をうけてからさほど時間はたっていない。

とはいえかるく半日程度は経過しているともみられるが。

「街の様子はどうだ?」

「わが首都のものたちはすでに王の手駒。何かがあれば率先して使えるでしょう。

  しかし、街全体が炎に包まれている、という報告もあがっております」

事実、玉座の間をでて城のバルコニーにでてみれば、

街全体が夜だというのに淡い光に覆われており、

ちょっとした暗闇の中にうかびあがる地上の星々のようにもみえなくもない。

至るところよりきこえてくる何ともいえない断末魔のような、それでいて哀愁がこもった叫び声。

それらが何を示すのか、この場にいる彼らにはわからない。

それらは永い年月の果てに道具として使用されていたものたちが解放されたことを示す声。

強力な悪意ある意思より解き放たれた精神体…すなわち魂達がおりなす声。

が、今この場にいる【力】にとりつかれている存在達がそのことにきづくはずもなく、

ひたすらにただただ状況が把握できないがゆえに怨嗟の声をはきだしてゆく。

彼らは知るよしもない。

この現象が彼らの今までの力による支配の終わりであり、

そしてまた新たなる始まりである、ということを――




ほのかに明るみを帯び始める大地。

時刻の呼び名は時間帯によって異なっているものの、

太陽がのぼっている時刻と夜の間の時刻の呼び分け。

それらは、光の○○、闇の○○、という呼び分けで人々は時刻を示している。

中には時を示す鳥などの名をもじって呼ぶものもいるにはいる。

どこからともなく朝の訪れを告げる一番鳥の鳴き声が大地にと響き渡る。

ほのかに常に緑の光につつまれていた湖もまた、黄金色にゆっくりとそまってゆく。

地平線よりのぼる太陽の光にてあらたに映し出されるは、

今までになかったはずの光景。

「……我々はいったい……」

つい先ほどまでたしかに船の上にいたはずである。

なのに気づけばどこかの大地の上。

周囲を覆い尽くしている淡き光が水による壁のようなものだ、と理解するのにそうは時間はかからない。

周囲にみえるは、みたこともない木々。

足元は淡き白い光をはなつ石のようなものが敷き詰められているのがみてとれる。

よくよく目をこらせばところどころに噴水なのか、水が大地より噴き出ているのがみてとれる。

さらに、よくよくみれば地上にも水路らしきものがあり、

すみずみにわたり、水がゆきわたっているのがみてとれる。

ふと目にはいるは、眼下に広がるほんのりと黄金色に染まった湖。

その湖が木々の色を反射して緑色にほのかにひかっているのがみてとれる。

無意識のうちにゆっくりと歩き出し、大地の端らしき場所からなんのきにしに周囲を確認。

大地の端には水の壁のようなものがはりめぐらされており、さわってもぷよぷよとした感覚はあるものの、

それでもそこをつきぬけられるようなかるいものではないものがみてとれる。

どちらかといえばそこに入り込んでしまっても、弾力性によってはじかれるような代物。

少し離れた場所には小さな湖のようなものがあり、

ちょっとした港のような場所があるのではあるが、今の彼らはそれにはきづかない。

そもそも自分達が今どこにいるのかすら把握していない。

彼らとてついさきほどまで船上、すなわち湖の上にいたはずなのに、

いきなり違ぅ場所にて意識を取り戻せば何が何だかわからないのも道理。

一瞬、緑色の光に包まれたかとおもうと、彼らは今現在の場所にとたたずんでいた。

この場が自分達が船上よりみていた湖の底より浮かび上がってきた神殿なのだ、

と理解するのにはすくなくとも時間がかかる。

彼らがいる場所からは神殿そのものは大きすぎて把握しきれない。

さらに神殿そのものを様々な蔦などがとりかこみ、

ひとつの緑の塊のようになってるように傍目からはみえるようになっている。

そんな状況で自分達のいる位置が把握できるはずもない。

「…そういえば、竜王様、それにホセ様は?」

ふと、その場についさきほどまでいたはずの彼らの姿がみあたらないことにきづき、

誰ともなく声をもらす。

少し離れた位置とはいえ、全員がこの場にそろっているようにも垣間見える。

にもかかわらず、かの二人の姿だけこの場にはみあたらない。

ざわざわ……

しばしなんともいえないざわめきが彼らの中を支配してゆく。

彼らが自分達の置かれた現状にきづき、きちんと把握するのはあと少し先――




まるで不思議な一夜であった。

空より降りそそぐ光の奔流。

そして、一夜あけて目にしたものは、それまではほとんど枯れ果てていたといっても過言でなかった、

枯れ果てていたはずの大地に生い茂る緑の数々。

さらには、畑には収穫時期ではないはずの野菜までもが成長し収穫可能となっている。

さらには街の中などにある木々にも季節に関係なく様々な花や実がなっている。

太陽がのぼるにつれ、そんな不思議な現象が誰の目にもあきらかにとなってくる。

太陽の光もこれまでは弱弱しく感じていたはずなのに、今日の朝日はどことなく暖かい。

周囲に舞う蝶や小鳥といった存在達もいつにな不思議な現象。

精霊達や自然と心かよわせることができる種族ならば、

大地そのものが祝福の声をあげているのに気付いたであろう。

しかしそれらに気づける存在はごくわずか。

普通にくらす存在達はそのようなことまではわからない。

わかるのは、何かがおこっている、ということのみ。

しかしその出来事はどちらかといえば良い方向に導くもの。

そう直感的にだれもが理解する。

今までこんなに自然が暖かである、と感じたことはなかった。

太陽の光もどこかむなしく、どこか寒々しかった。

にもかかわらず、今朝のぼってきた太陽の光はとてもあたたかく、

まるで全てをつつみこむかのごとくのぬくもりを漠然とではあるが感じさせる。

さらにいえば昨日まではたしかに芽吹いてすらいなかった草木の数々。

それらが一夜にして生い茂っていることから、何かが世界におこっていることは明白。

その【何か】はわからないが、すなくもとも悪いことの前触れでないのは確か。

昨日まで寝たきりであったはずの隣人ですら、まるで憑き物がおちたかのごとくに元気になっている。

そのような光景がいたるところにてみうけられている朝のひと時。

そしてその現象は、港町ヘドローグと呼ばれる場所においてもみうけられる。

他の場所とことなるのは、この場所が【アダバル湖】に隣接しているもっとも大きな港町であり、

また、山脈をはさんではいるものの、【エレスタド王国】に最も近い港町である、ということがあげられる。

ここしばらく湖の異変があからさまに目だっていた。

それまでも巨大生物は多々といたにしろ、ここしばらくは巨大なる生物が当たり前ともなっていた。

それらの巨大生物が無害ならばいうことがないが、それらは人々。

すなわち、湖を渡る船舶などを襲っていた。

何か【帝国】が湖を使って実験しているのではないのか、という噂がまことしやかに噂されていた。

しかし無力なる人々にできることは、目の前の現実に対処してゆくしかなすすべがない。

すこしづつ、どこか疲れ果てていっていた人々の心の中にまで入り込むような暖かな朝日のぬくもり。

漠然と誰しもが無意識に涙をながしている様がみてとれる。

涙をながしている存在もどうして自分が泣いているのか、また泣いている事実にすら気づいていない。

それは無意識のなせるわざ。

大地に生きる存在全ては世界につながっており、ゆえに無意識下に世界の異変を感じ取ることが可能。

人々といった知能ある存在はその理性ゆえにその本能的な直感を失っているものもいる。

しかし感受性のたかいものは自然の変化をつぶさに感じ取ることが可能。

ゆえに、感覚的に漠然とではあるが理解することは可能。

世界に精霊王達が戻り、ゆえに世界が喜びに満ち溢れている。

季節をとわずに咲き乱れる花々や祝福するかのごとくに飛び交う小鳥たち。

きらきらと世界をゆっくりとてらしだしてゆく太陽の光はまるで光の雪のごとくに、

ゆっくりとゆっくりと、この惑星そのものを時間帯に応じて包み込んでゆく。


「なんか昨日よりも湖が穏やかだなぁ」

「というか今までこんなに穏やかな湖みたことがあるか?」

「ないな」

朝早く、いつものように漁にでるためにと船を繰り出した。

いつもならば必ずある早朝の巨大生物による襲撃もなく、ゆったりとした落ち着いた湖面。

ここ数日、何かが確実におこっている。

かなり警戒されていたとある盗賊が、竹細工の街カマサイト付近の森において、

その首領とおもわしきものとともに壊滅した、という報告があがった。

真実を確かめるために出向いた自警団などがみた光景は、

そのあたり一帯が不可思議なほどに氷づけになっており、

その氷は触れてもまったく冷たさも感じさせない代物であったらしい。

しかも解ける様子すらみせないことから、氷ではなく透明な水晶なのでは?

という意見すらとびかう始末。

しかしそれが氷であることは、一部せりだしている場所を折り炎にくべてみたところ、

確実にその氷の柱は水へと変化した。

水晶ならばそのような形状変化となるはずもなく。

ゆえにそのあたりを覆い尽くしているのはまちがいなく氷である、と結論が一応だされている。

竹細工の街との交流も再び復活し、さあ今までの貿易の遅れを取り戻そうとばかりに動きだした矢先。

今度は夜空に不思議な現象を確認し、一晩が経過して外にでてみれば、

昨日までとは異なる景色。

どこをみわたしても確実に草木における緑が目に入る。

これまではたしかに、草木などといった緑は意識してさがさなければ絶対にみつけられなかったはず。

にもかかわらず、とある屋敷などに関しては、一夜あけてみてみれば、

屋敷全体が蔦におおわれ一面緑の矢先になりはてていたりする。

そんな現状の中、湖に繰り出した猟師達。

いつもとは異なる湖の様子。

しかし嵐の前の静けさといった不気味なものではなく、どこかとてもすがすがしい感じをうける。

「まるでお伽噺の中にでてくる聖なる日のようだなぁ」

「あはは。箱舟が空を飛び交い、深緑の神殿が空を移動するってやつか?

  それこそ竜王様が姿を現して竜達が空を埋め尽くすってか?」

それは誰しもが幼き日にきくおとぎ話し。

かつてこの世界で現実に起こったこと、とはいわれているがそれがいつのことなのか、

きちんと理解しているものはまずいない。

しかし、【箱舟ノア】の存在は、数多の場所に残された絵画などによって認知されている。

「しかし、ほんとうに今日は湖が穏やかだなぁ」

「こんな沖にでても襲われないのは始めてじゃないのか?」

「違いない」

始めてどころかそんな話しはきいたことがない。

しかも湖を吹き抜ける風すらどこか温かく感じるのは彼らの気のせいか。

もしも彼らがよくよく目をこらせば、周囲にとけこむかのごとくに存在しているとある一角に気づいたであろう。

それは湖の色にとけこみよくよく注意しなければわからないが、

湖の上に浮かぶとある島のようなもの。

島そのものは水の壁に囲まれており、その水が湖そのもの光を反射して、

一種のカモフラージュ効果を生み出している。

すなわち、そこにあるにもかかわらず、水の反射効果により、周囲にとけこみ、

そこにあるのにみえていない、という効果をもたらしている。

しかしそれはよくよく注意してみれば違和感を感じることができ、

さらに注意してみれば湖にうかぶ空中に浮かぶ大地と、

そして大地の上にそびえる真っ白い石のようなものでつくられた、

緑の蔦に覆われしとある建物を認識できる。

しかしそのようなことをしるすべもない猟師の彼らはそのようなことをするはずもなく。

ただただ今までとはちがう湖の現状にしばし戸惑ってゆく。

彼らは知らない。

すでにこの湖に害となる彼らが魔物とよんでいた生物は生存しておらず、

すべての魔物となっていた生物は新たな転生、もしくは本来あるべき姿を取り戻し、

この湖はあるべき姿にもどっている、ということを。



この地より精霊王の加護がなくなってはやどれくららいの年月が経過したのであろう。

記録にある報告ではすくなくとも二百年やそこら、といった期間ではない。

それほどの永い間、様々ないきとしいけの存在達がどうにか精霊王達が捕らえられている場所を特定し、

世界に平和をもたらそうと行動を起こし、事実、旅だったことも記録にのこされている。

彼らの記録が途絶えたのはすべてグリーナ大陸に現存するエレスタド王国の中において。

王国に問い合わせてもそのようなものたちは入国すらしていない、とそういわれ、

それ以後のかれらの足取りがまったくもってつかめなくなっていた。

そのようなことが続けばおのずとかの王国が何かを隠していると判断できる。

できるが証拠もなく、また宗教国家としてしかも世界教ともいえるセレスタイン教を教えている聖なる国。

歴史もあり、表だって批難することもできず、今現在にまで至っている。

かの王国そのものも、アダバル湖とアロハド山脈に囲まれていることから、船をつかって入国する以外方法がなく。

その湖そのものも年々と危険生物が多発しており、滅多と湖上に繰り出すことすらできなくなっていた。

しばらく世界が様子見で行動をおこさないのをみこしてか、

だんだんと王国の非情なる行いは世界中で目につくようになり、

ついには他国にすら兵士などを派遣し悪逆非道なることをするようになっていた。

国の兵士達が治安を保つためにそれぞれの国が兵士などを派遣するものも、

どうやったのか、かの王国は魔獣を操る方法を得たらしく、

兵士達はことごとく手先となりはてたらしい魔獣たちに壊滅させられていた。

魔獣に太刀打ちできる存在はそうそう多くはいない。

ましてや目撃者は全ていつのまにか行方不明となりはてていた現状からして、

正式に王国に抗議の声をあげることすらできなかった他の国々。

一番の迷惑を被ったのはそういった国のしがらみにまったく関係ない普通に生活している存在達。

エレスタド王国による行為は少なくとも人族だけでなく他種族にもおよんでいる。

時にはたった一つの存在を手にいれるためにその種族全体を壊滅に追い込んだ。

という噂すらまことしやかにささやかれている。

どこまでが噂で真実なのか、それをしる手段はない。

しかしそれはただの噂でなく、それをものがたるかのように、

数百年前までは共存していたという精霊族などはいつのまにか世界から姿をけしていった。

それに伴い、だんだんと大地の恵みもすななくなっていき、

ここ数百年においては収穫できる食物すらかろうじて、といった具合となっていた。

しかし、この現状はなんなんだろう。

すなくとも何かがおこったのは明白。

今までお伽噺などでしかみたことのなかった小さな羽の生えたどうみても人あらざる存在。

すなわち妖精や精霊、といったような生き物が大気中をとびまわっているのがみてとれる。

自然豊かな土地であったものの、そういった存在に今までお目にかかったことは一度たりとてない。

にもかかわらず、朝の収穫のために訪れた森の中で、

まるでお伽噺の世界のごとくにそういった生き物がとびまわっているのはこれいかに。

人が近づいてもそれらの生き物は隠れることもなく、まるで何かを祝うかのように、

ひたすらに何かを祝福するかのごとくに飛びまわっている。

よくよくみれば何かの踊りをしていることがわかるであろうが、そこまでの余裕をもてるはずもない。


世界各国、否、この世界のいたる場所においていまだかつて伝説、もしくはお伽噺。

としかあつかわれていなかった現象がまきおこる。

それは場所により時間帯は様々なれど、だがしかし、同じ現象がおこっているのは世界規模でみれば明らか。

世界規模でそのような現象が起こっているという現実を人類等は知る術もない。

精霊などといった種族においては直接的に精霊王の加護を直に感じることもできるがゆえに、

輝ける王や精霊王達が完全に復活した、という力の波動を感じ取ることができる。

そしてまた、精霊達にとって【世界】という枷はない。

すくなくとも、彼らが本来生息している精神世界においてそのような枷は存在しない。

彼らの意思疎通により、世界に王達の力が戻ったことが伝えられ、

世界は新たな目覚めを迎えてゆく。

その過程において世界各地で様々な現象がおこっているのだが。

一番そういった面から取り残された人類がそのことに気づくことはまずありえない。

その心に自然への感謝と自然との一体と、そして自然との共存という概念を取り戻さない限り……



アロハド山脈。

その頂上の一角であり、そしてまたもっとも地上においては高き場所に位置している、ともいわれる場所。

その一角に存在するは、世界を見守る聖なる宮殿。

天界への入口ともいわれている聖なる宮殿、【水晶宮クリスタルパレス】。

「どうやら王とともに精霊神様も呼びだされたようですね」

「コランダム様が降臨なさったのは何千年ぶりでしょうか?」

「柱の皆さまがそろったことにより呼び出されたようですけど、

  輝ける王もまたどうやら【聖樹】として目覚めを迎えられるようですしね」

「ああ、かつての緑の聖殿が復活しましたね」

ざわざわとざわめく宮殿内部。

先日この地に預けられた人々はいまだに養生中なれど、

しかしこの地が聖なる地だと理解しているのはごくわずか。

というのもほとんどのものは浄化の水晶の中にてその体を癒されており、

普通に休息をとるのみで回復をはかれるものはそういなかったのも事実。

「…【聖樹】?」

そんな中、その場にいる竜族の存在達の会話の中に聞きなれない言葉を耳にし思わず聞き返す。

そのような響きをもつ言葉はいまだかつて聞いたことがない。

今現在いるのは、この地、水晶宮内にとある訓練の場。

この場において、竜族の武将や兵士などが常に鍛錬を怠ることなく行っている。

より強くあることもまた、自身の役目。

それもあり鍛錬の参加を希望した。

「フェナス殿。輝きの守護たるあなたはお聞きになったことはないのですか?」

そんな目の前の女性…王より預かりし【輝きの守護】たるフェナスの言葉に疑問を返す火焔将軍。

「それはしかたなくない?ルード。

  聖樹でなくなったのは地上においてはかなりの年月が経過してるはずだし。

  かつての王国がかの御方によって粛清されて神殿もともに湖の底に沈んだわけだし」

その【御方】が再び降臨してきていることをしっているのは、

竜族の中でもごくごく一部のものたちのみ。

「そういえば、結局、王とともにいた、あの少女っていったい?」

そんな四将達の会話をききつつも、ふと思い出したようにいっている別の竜族の一人。

「気配は普通の人のようでいて異なっていたしね。私たちですらわからなかったし」

「問題はあの名前よ。【ティン・セレス】って……

  【セレス】ってこの世界、すなわち惑星の名でしょ?

  世界の要ともいえる【天空殿セレス】の名が示すがごとく」

事実、この世界を見守る天界においての神殿はこの世界とおなじ名を冠している。

「しかも、【ティン】って創りし存在っていう意味をもってるわよね……」

「そういえば、王はあの方のことを【ティンク様】ってよばれてたけど……

  まさか、創造主エトランゼセレスタイン様。すなわちティンクセレクタそのもの、とはいわないわよね?」

『・・・・・・・・・まさか…まさか…ねぇ?』

その名が天青石をもじってつけられている、と気づくものはこの世界には存在していない。

「聖なる気配でクリノ様とクロア様も目覚めを迎えられたみたいよ?」

グリーナ大陸を守護せし存在達。

今までは眠っていた状態であったが、聖なる気とともに目覚めを迎えた。

その波動はこの地まで届いている。

う…真実をいうにいえない。

この場にいる数名の将神達は真実をクレマティスよりきかされている。

そんな会話が耳にはいってくるものの、勝手に説明できるような内容でもない。

ゆえにルードとよばれし火焔将軍はただただ沈黙するより他にない。

それゆえに。

「はいはい。それよりあなたたち?精霊王様がたの復活。

  それにともない我らが竜族もまた忙しくなるでしょう。

  今まで精霊達にかわり属性をもつ竜族は変わりをどうにか担っていたでしょう。

  今後は精霊王達との連携をも伴って世界をより元の状態、すなわち平等なる地にもどしていかなければ」

あえて話題をかえてパンパンと手をたたきつつ、そんな彼らを牽制する。

言っていることは間違ってはいない。

そもそもここ数百年にわたり、精霊王達の仕事を自分達が肩代わりしていたのは紛れもない事実。

そして、

「フェナス殿。聖樹というのはかつてこの世界を守っていた聖なる樹の総称です。

  数千年前より本体となる聖なる樹木の形は変わっていたのですが。

  緑の聖殿の復活により再び【聖樹】が【輝ける王】の本体となるようですね」

先ほどのフェナスの疑問に答えるかのように別の四将神の一人が説明を施している様子がみてとれる。

あえて四将とよばれし竜神達、四大元素を司る竜将達が話題を変えていることには誰もきづかない。

「そういえば……」

かつては【輝ける王】もまた本体を別にもっていたと聞かされたことがある。

しかし精霊王達が姿をくらまし…正確には幽閉された後、その【本体】がどこにあるのか。

一族ですら知っているものはほとんどいなかった。

おそらくは世界のどこかにあったのであろうが、真実を知る術はない。

おそらく今の王たるレニエルにきけばわかるであろうが、

何よりも重要なのは過去ではなくて今現在でありそして未来。

「今回、アバタル湖にて復活した聖殿は緑の神殿ともいわれてまして。

  かつての緑の民の聖なる地としてあがめられていた場でもあります。

  浮遊する大地とともにある聖地なので必要に応じ、空にありき、大地にありき、といった具合となります」

時には【天空殿セレス】と並んで存在したこともあった聖なる神殿。

しばし、四将達による森の民と聖なる神殿とのかかわり合いが、

この場、すなわち水晶宮の訓練場においてみうけられてゆく――



続きの打ち込みはいまだに10KBのあたりで打ち込みぱたっととまってます・・

気長に、気長に打ち込み予定です・・・

しかし、楔のほう・・・のんびりうちこみしてたら

ラストのパターン、初めにきめてたのよりいろいろと増えてしまい、

いまだに悩み中・・・

初心わすれずべからず、で初めにかんがえたとおりにいくか。

それともはたまた…

まあしばしあちらのラストのほうはかんがえます・・・

何はともあれ、またいつか~(次はこんどは何か月ごだろう?<自覚あり・・

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