また暇になった導師さま達
部屋には、会員の姿はない。
道師さまとラメの紫服男、それに女性スタッフの3人が、壷を置くはずの長机に頬杖をついてたそがれている。
カラスに何かしらの恨みを持っている女性スタッフがつぶやいた。
「また、会員さんたち来なくなっちゃいましたねぇ」
道師さまが、例の杖を片手でいじりながら、
「そうだなぁ、うまく行きかけたんだけどなぁ」
ラメの紫服男はライバルが使っているビンを前に置いて腕組みをした。
「あいつら、また新たな手口を編み出したらしい。が、内容がよくわからん。このクリスタルのビンに何か細工したのは間違いないんだが・・」
「俺らもまた何か考えなきゃいけないかなぁ」
その時、ドアが静かに開いて一人の女性が入ってきた。
「あの~、壷をお祓いしていただきたいんですけどぉ」
突然の来訪者に3人は一瞬あたふたしたが、すぐにいつものポジションに付くと、道師さまは壷を置くように促した。
「あら、このビンは・・」
あまりに慌てたものだから、ライバルのクリスタルのビンを机に置いたままだったのだ。
「あのマンションのナントカ教会でくれるビンよね。実は私も行ってみたんだけど、なんか胡散臭いのよねぇ。それにこちらはお悩み相談もしてくれるでしょ。最近は忙しそうであまりしてくれなくなったけど。実は、今日は壷のお祓いだけじゃなくてちょっと聞いてほしいこともあるんだけど、いいかしら」
ラメの紫服男は、一瞬道師さまと顔を見合わせた後、「ふっ」と気が抜けたように表情を崩すと
「いいですよ。今日はそんなに忙しくないですから、じっくりとご相談にのりましょう。じゃあ、壷は後で精錬しておきますから、先にお悩みをお聞きしましょうか。」
とやさしく言うと、道師さまと共に椅子に腰掛けた。
それを見ていた女性スタッフは、
「もう、二人とも人がいいんだから・・こうなると長いのよねぇ・・・」
と小さな声でつぶやき、部屋から出て行った。
オイラは、しばらく3人の様子を見ていたが、なにやら声が小さく、ただしゃべっているだけでつまらなくなってきたので、本来の目的である鉄塔の確認にいくことにした。
今回は、女性スタッフのすっとんきょうな奇声を聞かないで飛び上がれるので、なんとなくうれしい。




