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愛人と遊ぶ時間はあっても、私との対話時間はゼロですか?」〜タイパ至上主義の転生令嬢、婚約破棄から3秒で王子の全資産を差し押さえて完全勝利〜

掲載日:2026/04/25



「エリュシオン! 貴様のような可愛げのない女との婚約は今この瞬間をもって破棄する!」


王立アカデミーの卒業パーティー。

豪華なシャンデリアの下、第二王子カイルが、可憐(を装った)男爵令嬢リリィの肩を抱いて宣言した。


(……はい、キタ。定型文。前世の乙女ゲームのシナリオ通りね)


私、エリュシオンは、冷ややかにその光景を見つめていた。


前世はブラック企業で「タイパ」と「コスト削減」に命を削った敏腕コンサルタント。過労死してこのゲームの世界に転生した時、私は誓った。


「二度目の人生、無駄な時間は一秒たりとも過ごさない」と。


「……エリュシオン、聞いているのか! 極刑すら妥当な悪女め、今すぐこの場から消え失せろ!」


カイル王子の背後には、彼の「愛人」である取り巻きの令嬢たちが並んでいる。

そして中心でリリィが、私にしか見えない「悪女の笑み」を浮かべていた。


「あー……。カイル様。その『婚約破棄』、撤回はなさいませんね? 今なら三秒以内なら聞き流してあげますが」


「ふん、一秒で十分だ! 破棄だ!」


「……三秒経ちました。交渉決裂ですね」

私は指をパチンと鳴らした。


すると、会場の扉が勢いよく開き、私の実家である公爵家の『税務監査官』と『弁護士軍団』がなだれ込んできた。


「な、なんだ!? この連中は!」


「カイル様。あなたが私との対話を無視し、愛人と遊んでいた時間は合計四千時間以上。その間、あなたが彼女たちに贈った宝飾品、ドレス、別荘の維持費……これら全て、我が家からの『融資』で購入されていますわね?」


私はバインダーを叩いた。


「婚約破棄が王子側の不貞で行われた場合、契約に基づき全融資額は『即時一括返済』。たった今、あなたの全口座を凍結、ならびに王族専用の遊興費口座も差し押さえました。はい、あなたは今この瞬間から、一文無しの無職です」


「は……? 一文無し……?」


カイルが真っ青になる隣で、リリィが叫んだ。「嘘よ! 私は聖女として――」


「聖女? あなたが裏で行っていた他国への情報漏洩、いじめの指示書。全て私の秘書(元・愛人の一人)が回収済みです。はい、これが証拠のパケットログ(通信記録)です」

リリィの背後にいた愛人の一人が、一歩前に出て私に深く頭を下げた。


「エリュシオン様、ご指示通り。……カイル様、私、あなたの愛人を『リスキリング』して、今はエリュシオン様の秘書として雇用されていますの。あんなタイパの悪い職場、辞めて正解でしたわ」


「な……お前まで裏切るのか!?」


「裏切りではありません。ホワイトな職場への転職ですわ」

私は絶望に震える二人を見据え、冷徹に告げた。


「カイル様は資産凍結による国外追放。リリィ様は国家反逆罪で終身刑。……衛兵、連れて行きなさい。私の貴重な時間をこれ以上、このゴミたちのために割きたくありません」


「待て! エリュシオン! やり直そう!」


「嫌ぁぁぁ! 私は王妃になるのぉぉ!」


無様に叫ぶ二人を、私は一瞥もせず背を向けた。


会場の外では、私が「有能なビジネスパートナー」として目をつけ、外堀を埋めておいた隣国の第一王子ゼノス様が、最高級の馬車で待っている。


「お疲れ様。三分以内で終わらせるとは、相変わらず仕事が早いね」


「当然ですわ。これからは、もっと『QOL(生活の質)』の高いことに時間を使いたいですから」

ゼノス様は私の手を取り、跪いてキスをした。


「では、残りの人生という長い時間を、私と共有してくれないか?……残業なしのホワイトな結婚生活を約束しよう」


「あら……それなら検討の余地がありますわね」


こうして、BADENDを爆速で回避した私は、最高にタイパの良い幸福を掴み取ったのである。





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