そうでもないよ
去年の暮れに喫茶店であの子と会った
あの子はクリームソーダで
僕はコーラフロート
―寒いのに冷たいのだね
あの子が言って
―でも、飲みたかったから
僕が言って
おいしかったけど、からだがふるえた
それで、あの子の前に、あたたかい紅茶が
僕の前には、あたたかいコーヒーが、運ばれてきた
紅茶を飲み、ふうと軽く息をついたあの子が
―今日のこれはね、忘年会なんだ
と、あの子
―そうなんだねえ
と、僕
―あんまり盛り上がらなかったかなあ
お店を出てあの子が言って
―そうでもないよ
僕が言って
歩き出そうとした僕に、あの子が手をさし出してきて
僕は、その手にそっとふれた
駅まですこし、遠回りした




