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転生特典? ギフトはエクストラチートでお願いした件〜最強能力で異世界を謳歌する〜   作者: 稲盛 皆藤


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1/1

転生特典のギフトはエクストラチートでお願いした顛末

 私の名前は小川あやね。今は異世界に転生して二度目の人生を歩んでいる。

 前世の記憶によると、ゲームメーカー勤務の会社員でゲーム開発の仕事だったようだ。

 勤続10年目の人たちが集まって、社長会という社長とみんなでワインを飲む会に参加した

こともぼんやりと記憶していたのだが、社長がモゴモゴと話す姿以外、何をしゃべったのか

などは記憶には無いのだが。



「あやねー。あやね。起きてよ。もう朝礼始まるよ。」

と同僚のあずさがあやねを揺り起こしていた。

「うーん。あと5分。ママぁ。」

とあやねは寝ぼけてあずさに答えていた。

「だから、私あなたのお母さんじゃないし、もう起きてってばあ。」

ともっと強めにあずさはあやねを揺り起こした。

「はぁー。お母さんじゃない?って」

とようやくあやねは寝ぼけながら薄目を開けることができた。

 そこに居たのは確かにお母さんではなく、同僚のあずさの顔だった。


「はっ、もうそんな時間。」

と言うとあやねは椅子には座っていたが机に突っ伏して寝ていたようで、

ようやくあずさに気が付いたようだった。


 ゲーム開発の仕事は、机に突っ伏して寝て起きる日が連日続くことも日常茶飯事で、

労働法規的には36協定の対象外の業務だったので、会社側もオールで働こうが電気代の事を

チクチク言うことも稀で、見て見ぬ振りをしているようだった。


 あやねはチーム内では、原作があるゲームでは、作家さんが上げてきた原稿の世界観を

ゲーム用に設定し直したり、登場キャラの設定を任されていた。

 どのキャラをどんな強さ、素速さ、防御、魔法、HP、MPなどの設定にするかを数値に

落とし込んでゲームバランスが原作との齟齬が無いように上手く調整していくのであった。


「はい、朝ですよー、じゃあ恒例の朝礼始めますよ。」

とあやねが目を覚ましたところで、ひょろ長身の黒縁メガネのチーム長が笑みを湛えながら

冗談交じりにあやねの方を向きながら朝礼の合図をチームの島に居た全員に聞こえるように

伝えた。

 そもそもオールでの作業はここでは珍しい物でも無かったので、これもいつもの光景だった。



 それでも公休日は守られることが多かったので、休みの日には日ごろのストレス発散も兼ねて

同僚のあずさと一緒に趣味のサバイバルゲームに出かけることが多かった。

 サバイバルゲームは通称サバゲと呼ばれていて、本格的な物になればなるほど武器や装備も

本物かと思われるので、銃刀法違反にならないようにしっかりとカバンに収めていた。

 BB弾を使用する場合やスポンジ弾やペイントボールを使用する場合など遊び方も多岐に

渡っていた。

 また試合会場は昔は野山など自然の多い場所に出かけることが多かったが、最近では

廃墟ビルなど近場での開催も多かったので、持ち運びに便利なように武器もハンドガンタイプを

あやねは好んで使うことにしていた。

 ゴーグルやエルボーパッド、ニーパッドなどサバゲ装備一式を常に会社のデスクの下に

置いていたのでオールで働いた翌日でもそのままフィールドに向かうことができたが、

チーム仲間から「ゾンビ」と揶揄われることが多かった。

 サバゲでは被弾した場合自己申告で「ヒット!」と叫んで両手を上に上げてゲームオーバー

となるのだが、自己申告しないでズルする行為を「ゾンビ行為」と呼ぶので、ゲーム開始前の

しかも仲間たちに「ゾンビ」と呼ばれるのには、リアルゾンビとゾンビ行為を掛け合わせた

上手い言葉遊びの意味があったのだった。



「あやねー。そっち一人行ったよ。」

と近くに居たあずさがチーム同士でアドバイスを送ってくれた。

 今日は人数があまり集まらなかったので、味方4人 VS 敵5人の変則的な人数での

ゲーム開催だったが、まあお遊びなのでとやかく言う人は居なかった。

 フィールドは会社近くの廃墟ビルの中だったので、そんなに天候や気候のアドバンテージは

無く快適に遊ぶことができた。


「サンキュー。あずさ。」

とあやねはアドバイス通りにこちらにそろりそろりと近づいて来る敵を確認できた。


「ヒットー!」

と敵の大柄な男が残念そうに両手を上げてゲームオーバーの意思表示をした。


「やりー。」

とあやねは小さくガッツポーズすると満面の笑みを湛えた。これで4人 VS 4人の同数対決に

なったのでハンデは無くなったのだった。

 どちらも慎重で膠着状態がしばらくの間続いたように思えた。


「ピカッ、ピカー」

と周囲がまるで暗い夜空に明るい太陽が落ちて来たかと思う程の大爆発の光が辺り一面を

光で覆ったので、その場に居た全員が何も見えなくなって目を瞑った。

 サバゲに催涙弾や照明弾を使用して行うことなどはあまり聞かなかったので、全員が目を

瞑って光が過ぎ去るのを待つしか無かった。


「あやねー。あやねー。」

と近くにいる筈の同じチームのあずさが声を掛けて探していた。

 ようやく光が過ぎ去ったのだが、もう生き残りの8名もそれどころではなくなって全員が

敵味方関係なく集まって全員の安否を確認していた。


「あやねー。あやねー。」

とあずさがチームメイトを探す声がフィールドに響いた。その場に居た筈の9名の内あやね

だけが姿が見えなくなって居た。


「あやねさーん。あやねさーん。」

とその後も全員でフィールド内を捜索したし、しばらくすると光を見たと通報を受けた警察官も

立ち会ってあやねの捜索を続けたがあやねだけが神隠しにあったかのように失踪してしまったのだった。



「天使さまー。あれって私を探してるんじゃないでしょうか。」

と地球の上の方から下界の様子を見ているようであったが、その映像にはピンポイントで

あやねたちが先ほどまで行っていたサバゲのフィールドが映されていた。

 どういう技術かは分からないが廃墟ビルの各階の様子も見れるようになっていた。


「えっと、ええっと。あなたお名前は?」

と非常に慌てた様子の、典型的な頭の上に輪っかを付け、背には真っ白な羽を備えた天使様が

あやねに問いかけてきた。


「はい、初めまして、私は小川あやねと申します。」

と10数年の会社員生活で名刺を出したことはほとんど無かったので作法は忘れてしまったが、

名刺も持たなかったので、軽くお辞儀をして答えた。


「えーっと、えーっと。アトランチス大陸の勇者ロットの末裔のラタリーではなくて?」

とまたもや美形の天使様は顔を少し赤らめながら、訳の分からないことを口走った。


「すみません天使様、私黒髪ですし彫りの無い典型的な日本人ですよ。

 そんな外人っぽい名前言われても、ちょっと。。。」

とあやねも訳が分からずに日本人アピールを行った。


「あ、あ、あーそうでしたか、1000年ぶりに召喚術を使ったので、座標の指定位置を

 間違えてしまいましたわ。ご、ご、ごめんなさい。。」

と天使様は、らしくなくあっさりと間違いを認めて申し訳なさそうに平謝りされていた。


「そ、そ、そうなんですね。では天使様、私は人違いのようですので、

 元の場所に戻してもらえませんか。」

とあやねは冷静になって天使様にお願いをしてみた。


「そ、それはできませーん。

 召喚術は一方通行でして、次の行先も決まってます。はい。」

と天使様はさらに申し訳なさそうに答えた。


「え、で、でもそのアトランチス大陸の勇者ロットの末裔のラタリーさんが必要なんですよね?

 ん、アトランチスって失われたアトランティスのことですか、

 私もゲーム設定の参考資料として読んだことありますけど、

 それって10000年以上前に滅んだって。」

とあやねは堰を切ったようにまくし立てた。


「えっと、そうなんですか、もうそんなに時間が経っているのでしょうか。

 と言うことは、座標軸だけなく時間軸も間違えてたと。あわわ。。。」

と天使様の慌てぶりは見ていても心苦しかった。


 1000年以上ぶりだったので、座標軸と時間軸の設定を間違ってあやねさんが

召喚されてしまった。また次の1000年は召喚術は使えないとのことだった。


「もー、分かりました。元の世界の暮らし、気に入ってたんですからね。

 天使様、どうするんですか、次は。」

とあやねは残して来た家族や同僚のことなどをとても残念に思ったが、もう切り替えるしか

手段が無いことを悟ったのだった。


「あ、そうなんです。あなたがこれから行く世界では、こちらの異世界では、

 人間属 VS 魔属の争いが何百年もの間継続しているのです。

 このままでは異世界全体が崩壊してしまうので、地球から勇者の末裔を召喚して

 その仲介者として戦争を止めさせるようにと、世界神様からご命令がありまして。

 魔法を使うのが魔属と呼ばれ見た目は人間属と大差無い。

 先祖を辿れば同じ種族だったのですが。

 魔法を使える、使えないで、そういう教育をしてきたからそうなってしまったのだと。

 人間属は身体能力を鍛えたり、武器を使う技術を磨いた。

 魔属は魔法を磨いて魔力を代々使えるように遺伝子に組み込まれた。

 ということなのです。」

と天使様は簡単に状況の説明をあやねに行った。


「え、でも私、勇者ロットの末裔のラタリーでも無いし、何の力も無いのにどうしろと?」

とやや怒り口調であやねは天使様に抗議を唱えた。


「本当に申し訳ございません、が、私は転生者に必要な能力を授ける能力を世界神から

 授かっていますので、そこはもうあやねさんのご希望は何なりとお申しつけください。」

とやや自信ありげに天使が鼻息荒く答えた。


「え、力くれるの。まじで。チートでも?最強チートでも?エクストラチートでも?」

と言うとあやねはこれまでの社会人生活で積み上げた力を発揮できるかもしれないということ

に気が付いた。

 あやねは何千というゲームキャラに能力を持たせる仕事を10年以上やってきたのだ、

その筋のプロ中のプロだったのだ。


「はい、そのエクストラチートが何か分からないのですが、私にできることでしたら。」

と天使はぼんやりとだが、何か難しいことを言われるのは覚悟の上で自信なさげに答えた。


「ちょっと、考えさせてくださいね。」

とあやねは言うといつものお仕事モードに入った。

 今回はゲームキャラではなく、自分自身の能力値を決めるお仕事が入ったのだった。

 天使様も自分の非があったので、あやねの長考モードにも決して急かすことなどせず、

大人しく座っていたのだった。



 それから地球時間換算で2時間は経った頃にようやくあやねは考えが纏まったようで口を開いた。


「何でも良いって言ったわよね。」

と確認の意味を込めてあやねは天使の顔をまじまじと見た。


「はい、私にできることであれば何でも、はい。」

と辛抱そうに待っていた天使は答えた。


「じゃーね、天使様と同じ力を下さい。」

とあやねは満面の笑みで答えた。


「人に能力を与える力を下さい。」

とさらに笑顔であやねは天使様に答えたのだった。

 しばしの沈黙があった後に天使は自信ありげに答えた。

 おそらく世界神様と意思の疎通を図っていたのであろう。


「はい分かりました、それだけでよろしいのですか?ルックスとか種族とかのご希望は?」

と心配そうに天使様が確認してきた。


「あー、その辺は(キャラのビジュアルなどグラフィックデザインは他の人の仕事だったので)

 天使様にお任せで。」

とあやねはあっけらかんと答えた。

 天使様は逆に驚いた顔つきをしていたようだったが、

「では、あやね様の前途に幸多いことを願って。お元気で。さようなら。」

と天使は言葉を詰め込むと同時にあやねは意識を失った。

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