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第07話

あの銀色のボールやギギとかいう怪物の正体、異世界?異次元?とかいうものの存在が気になるがそれどころではない。あのボールもこちらに危害を加えようとする感じが無かったので普通に話をしてしまったが、信用して鵜呑みにはしていない。


ギギが周りの人へも攻撃を加え始めたのだろうか廃ビルの外に出ると人々の叫び声が辺りから聞こえてくる。

ユイの近くから離れてくれたのなら好都合だ。


大通りへ続く細い路地を進むとすぐにユイが傍に居るであろう街路樹が確認できた。

周辺には警官隊や救急隊の人が慌ただしく走り回っている。

先ほどギギにやられた警官も担架に乗せられ運ばれているところであった。ギギは逃げ回る人を襲いに行ったのか、その姿は確認できない。


辺りは大混乱で立ち入り禁止のバリケードテープを超えても止めに来る警察は誰も居なかった。


買い物の帰り途中だったのだろう手にはスーパーの袋を握ったまま項垂れて街路樹にもたれたまま座り込んでいるユイが見えた。見たところ外傷などは無さそうだ。


「ユイ!」


両肩に掴み軽く揺すってみると、「う、うぅ」と小さく声を出し、ゆっくり目を開けるがすぐに閉じてしまった。


「大丈夫か!?」

「う・・・ぁ・・・」


「今助けてやるからな」

こういう場合何か良い抱え方があるのだろうがお姫様抱っこしか思い浮かばす、膝を付き背中と足に腕を入れて持ち上げようとしたその時。


「おい君!危ないぞ。早く逃げろ!」


突然の男の声に顔を上げると20メートルほど前に立っているギギと目が合った。

や、やばい…。考える前に身体が動いていた。

俺はユイを抱え上げてすぐ横のビルのエントランスホールに走り込んだ。距離にして4メートルほど。後ろを確認している余裕なんて無い。

エントランスホールは広く開放的で隠れられる所なんて無かった。とりあえず奥の方に行くしか…


「ガシャーーン!!」

背後の窓ガラスが派手に割れる音がして、血の気が引くのを感じた。

直観で動いたらヤバいと感じ立ち止まった。

背後から「シュー…シュー…」と呼吸音が聞こえる。

間違いなくギギだ。動いたらやられる。振り返る事もできない。


意識の全てが背後に向けられる。だ、誰かギギの注意を逸らしてくれ…。


「…カチ…カチ」


ギギの息遣いとともに床に爪が当たる音が聞こえる。警戒しているのか、距離を保ちながらゆっくりと移動しているのようだ。

ユイを抱えたままだとユイが危険だ。

俺は奴を刺激しないようにユイをこの場にゆっくりと下ろすことにした。

ゆっくりと身体を屈めると骨が軋む音が聞こえ額から汗が落ちる。ユイの重たさを手放した時点でも奴は背後でゆっくりと歩き回っている。


「すぅぅーーはぁぁーー」


呼吸を忘れていた。深呼吸で冷静さを取り戻すと、ようやく奴以外にも意識を向けられた。

そういえばお尻の右側にさっき廃ビルで拾った鉄パイプが入ったままだ。

こんな物で対抗できるのか?

奴のスピードには到底かなわない。

警棒での打撃はほとんど効果が無かったみたいだし。

でもやらなきゃ確実にやられるだけだ。


意を決しゆっくりと振り返る。


ギギと目が合うと奴は笑うかのようにゆっくりと口を開けて徐々に姿勢を低くして攻撃態勢に移ろうとしていた。

「ば、化物・・・」

段々と腹が立って来た。何でこんなやつに命を脅かされなきゃならない。ましてやユイまで危険に晒して。たかがデカい犬じゃねぇか。物理攻撃が効かなきゃ背後を取って首でも絞めてやるか!?鉄パイプを握る手に力を込める。


「わああああああぁぁぁぁーーーー!!!」


両手両足を広げて叫ぶとギギは驚き飛び退き一瞬怯んだような感じがした。逃げてくれるかと期待したがそんなに甘くはなかった。


「ググ・・・グ…グググ…」


刺激し過ぎたか、なんか怒っているみたいだ。


嫌な予感しかしない。


「ギシャャァァァ―!!」


ギギは吠えるとこちらに駆けだしてきた。そこまで早いわけじゃないが、この見た目の奴が突進して来たら、そりゃパニックにもなる。

俺は直線的な奴の攻撃をなんとか横に回避する。


ギギもすぐに2撃目の為に俺の方に身体の向きを変えようとしているが隙だらけだな。


「こんのやろっ!!」と横っ腹を思いっきり蹴り上げてやった。

ギギは2メートルほど飛んで転倒しジタバタしている。

「あ、あれ?少しは効いてる?」


フラフラと立ち上がったが口から涎を垂らして苦しそうにしている。


「ギガァァァシャァァァ!!!」


ギギは涎をまき散らし大きく吠えると口を大きく開けて再びこちらに真っすぐに突っ込んできた。ダメージがあるのか動きが鈍い。


今度は鉄パイプを折る勢いで頭を狙い振り下ろした。


ガキン!!


渾身の力を込めて振り下ろした鉄パイプだったが、ギギは器用に鉄パイプに噛みつき攻撃を止めた。


鉄パイプを顎の力で強く押さえられ、前にも後ろにも動かない。

さらにギギは横向きになっていた首をもとに戻し鉄パイプを捻ってくる。

抵抗するが力が強すぎる!腕を捻られて鉄パイプを手放してしまった。


「あ…」


鉄パイプを咥えたギギがニヤリと口角を上げて笑ったように見えた瞬間、鉄パイプがこちらに飛んできた。

咄嗟にガードをするが衝撃で後ろに倒れ込んでしまった。


「ぐ…」


ガードした腕の感覚が無いと思ったら突然息が詰まるほどの痛みが襲ってきた。

「ぐああ・・・!!」

見ると右腕が普通は曲がらないところで曲がり手が動かない。骨が折れたようだ。

ギギはとどめを刺そうと前傾姿勢になり今にも飛び掛かってこようとしている。


やばい!

逃げれるのか?ユイはどうする?

戦うにしてもこんなやつとどうやって…くそっ!痛みで考えられない!

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