星と花と満月と
夕方月が登る前に月光花が咲く言う丘に着いた。
空が赤から紫、そして紺色に変わっていく。
「空、カレンの色みたい」
「え?あぁ髪の色?地味な色よね。」
「…俺はそうは思わない」
月が登るにつれて桃色の花が開いていく
幻想的な光景に見惚れてしまう。
「コハク、さぁ採るわよ!」
「おぅ。そうだったな。綺麗で見惚れちまってた。」
(コハクも綺麗なものを綺麗って思うのね。)
黙々と採り続けすっかり夜が耽る。
「はぁ。腰痛い。このくらい採れれば充分ね。コハクありがとう」
「あーっ!ほんと腰いてぇ!」
グーっと伸びをするコハク
「ねぇ、寝転んでごらん?月と星がとても綺麗よ?」
そう言って私は花畑に寝転ぶ。
コハクも隣に寝転んだ。
空には無数の星が海のように広がり。風が吹く度に花びらが舞う。
「あー。ここは天国みてぇだな。」
「本当ね。」
コハクの方を見ると予想以上に顔が近くてビックリした。
(まつ毛まで白い。横顔綺麗だな…)
「カレンどうした?」
コハクも振り向くと距離の近さに一瞬驚いたようである。
(胸の鼓動が苦しい。ずっとこうして見ていたい。)
数秒間見つめ合っていると、急にコハクに抱きしめられる。
コハクの匂いに頭がクラクラする。
(でも…同じ事を違う女の子にもやってるよのね)
そう思うと悲しくなり涙が溢れた。
「カレン、俺……え?お前泣いて…」
「な、何でもないの」
ゴシゴシ涙を拭い笑顔を作って話す
「もう遅いから早く帰りましょう」
「あ、あぁ。…なんか、ごめん」
その日は帰るまで何も喋れなかった。