虹の花
(悔しい悔しい!なんなのよ!!ディアス様もディアス様よね。急に手のひら返して!)
プリプリ怒りながら帰る。もう来る事はないので通行証も門番のおじさんに返却する。
「カレンちゃんどうしたの?」
「ポーションの卸しを断られたわ。来週からはディアス様のご婚約者様のお家が卸しに来るって!」
「そんな!急にか!?そいつは酷いな…。
ごめんな、おじさんには何もしてやれねぇんだけど。飴食べて元気だせよ。お前さんの師匠譲りのポーションは町で評判だし食いっぱぐれる事は無いから安心しな。」
「ありがとうおじさん。」
「最近腰痛が酷くてね、また店に湿布貰いに行くからな。あんまり落ち込むなよ」
飴を口の中で転がしながら帰宅する。
「ただいまー。」
「おう!おかえり!…おめぇ暗い顔してなんかあったか?俺は今日魔石採ってきたぞ!それにな…」
ゴソゴソとコハクは裏から何かを持ってくる
「ほら!綺麗な花だ!!お前こういうの好きだろ!」
虹色に煌めく花をコハクはカレンに渡す。
「わっ始めてみる!聖虹花だわ!!凄く綺麗…」
美しい花に見惚れ、ショックを受けた事も忘れてしまった。
「お花なんて貰ったの初めて。コハクありがとう」
「…おう…そんな喜ぶと思わなかったぜ」
照れくさいのか顔が赤くなっている
「コハク…魔石はどうしたの?」
「俺たち魔族は魔素っていうエネルギーを定期的に浴びに行かないと動けなくなる。西の方に魔物の住む山があるだろ?そこは魔素が豊富だから浴びに行ってきたんだ。
多分魔石ってのは魔素から出来てる。魔素が濃い場所に行くとゴロゴロ落ちてるぜ?まぁあんなとこ人間が入ったらひとたまりもねーけどな!」
「私コハクの魔物の姿を見た事ないんだけど。やっぱり魔物なのね」
「俺にしか採ってこれねぇ!俺に感謝しろ!!それに魔石で魔法の練習もした。これで次は騎士団に勝てるぜ!」
「さすがコハク!」
「…でも魔素を浴びるとムシャクシャしてよ!いつもの茶をくれ」
二人でゆっくりとお茶を飲む。
「実は今日城でポーションの卸しを断られたの」
「今までやってきたのに急にか!?」
「凄くショックだった。でもコハクが居たから元気出たよ。一人だったら夜通し泣いてたかも。」
コハクに頭を撫でられる
「これからも俺がついてるからな」
「う…うん…」
(なんだかドキドキしちゃう。)
「じゃ、おやすみー」
「こらっ寝る前の歯磨きは!」
「チッ面倒くせー」
「口の臭い男はモテないわよ」
「……磨くよ。」