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幼馴染の男の子

翌日街にて人との挨拶の仕方、街での立ち振る舞い。お金の使い方、商品の買い方を教えた。


意外にもコハクは覚えが良く、平和に買い物を楽しめた。

ただ一つ困ったことはコハクが可愛い女の子を見つけると片っ端から求婚しに行こうとする。


「あのね、いきなり結婚は無理よ!」

「何でだよ!俺は早く可愛い嫁を見つけて里の奴らを見返したいんだ。アイツら俺には一生結婚は無理とか馬鹿にしやがったからな。」

「まずは友達から。仲良くなってお互いを知ってからよ?」

「…めんどくせーな。」

「今のやり方じゃ怖がられて一生結婚出来ないわ。」

「チッ!わかったよ。友達からだな」


(本当に分かったかしら?)

その後、片っ端から友達になろうと声をかけるが、コハクのナンパは上手く行かなかった。




「買い物終わったらポーション作り手伝って。あと庭の草取りも。」

「あ?何で俺がそんな事」

「家賃分の働きはしてよね」

「………わーったよ…」


ーーーーーーーーー


家に着くと家の前にリュートがいた。


「リュートこんにちは。何か用かしら?」

「カレン……その男は?」

「バイト君よ。」

「………ちわっ」

「………こんにちは」


心なしか空気が重い


「あ、何か必要な薬あるの?」

「そうそう、手に塗るいつもの傷薬が欲しくて。」

「了解!いまお店開けるわね。コハク、荷物奥に置いといて。」


コハクが荷物を置きに居なくなると、リュートに手を掴まれる。


「あの男は誰?素性はちゃんとしてるの?」


「多分大丈夫かな…?行き倒れていたところを拾ったの。自分でもお節介だと思うんだけど、なんか放っておけなくて。」


「お節介も大概にしなよ。よく分からない男と一つ屋根の下で暮らすなんて危なすぎる。」


「アイツ、私には何の興味も無いみたいだから大丈夫よ。今日も買い物に行ったら可愛い子に片っ端から声かけて回ってたぐらいよ。全部振られてたけどね」


「いつも重い買い物は僕と行ってたのに」


「えぇ、これからはバイト君がいるから大丈夫。今までリュートの貴重な休日の時間を削って手伝ってもらってて申し訳なかったわ。」


「そんなの全然苦じゃないから!」

リュートに急に肩を掴まれてビックリする。


「おい?これはどこに置く??


……お前カレンに何してんだ?」


「僕が手伝うからバイトは必要ないって言ってたんだよ」

「リュートは騎士団の仕事があるでしょ?ずっとは手伝えないし。バイトは必要なのよ。」


「…………お前カレンに絶対迷惑かけるなよ!」


「うるせぇ。分かってらぁ」


リュートは扉を強く閉めて出て行った。


「肩」

「え?」

「痛くねぇか?掴まれてたろ?」

「あ、うん。大丈夫。」

(どうしよう、あんなに怒って。やっぱりよくわからない男を突然雇ったら心配するわよね…。)


ハァ。とため息をつく。


「……俺…出て行った方がいい?」


子犬のような目で見つめられ思わず母性をくすぐられる。


「大丈夫よ!!リュートも急にコハクに会ってビックリしたのよ。人手が足りないのは事実だし、このまま居てちょうだい」


「そうか!俺ちゃんと仕事するからな!」

コハクはニカっと無邪気に笑う。


(さっきまで面倒くさそうにしてたのに…)

思わず頬が綻んだ。


それからポーション作りをする。

大鍋を出してもらったり、必要な薬草を教えて取ってきてもらったりする。


これで鍋で煮詰めて、煮詰まったら一度濾すの。


「ふーん。なかなか面白いな」


最初は面白がってたが鍋の熱気が凄く、コハクはうんざりしてきた。

「大変でしょ?ほら、冷たい手拭いを首に巻くと良いわよ」

コハクの首に巻いてやる


「…気持ちいい」


うっとりした顔で呟くので少しドキッとした。褐色の肌に滴る汗が艶っぽい。


粗野で乱暴だから気にしていなかったけど、コハクの顔は整っていてかなりのイケメンである。

(身長も高いし、もう少しスマートに誘えるようになったらナンパも成功するかもしれないわね。)


「カレン、鍋焦げるぞ」


「はっ!いけない!」

慌ててかきまぜる


「コハクありがとう。熱くて少しボーッとしちゃって。助かったわ」


「まぁな!俺は役に立つだろ!!」


「そうね。じゃあ鍋持ってここに流し込んでくれない?」

コハクは重たい鍋も軽々持つ。いつもは鍋が持てず少しずつ濾すのだが、今日は一気にできて効率が良い。

「最後にポーションに(まじな)いをかけるのよ。」

師匠に教わった呪文を唱える

一瞬薬が光を帯びた。


「これで完成よ。煮沸した瓶に入れましょう。」


二人でやる作業はいつもより早く終わる。


汗かいたから体洗ってくるね。コハクも汗流すでしょ?


「おう!俺は裏の川行ってくる!」

「タオルどうぞ」

「たおる??何だこれ?フワフワしてんな」

「体を拭くときに使ってね」

コハクの顔にタオルを押し付ける。

「ほら?気持ちいいでしょ!」

「…悪くねぇな」

「今日新しい着替えも買ったから着替えてね。今までの服、ちょっと臭うからついでに洗ってきてね。」

洗濯板と洗剤も渡す。


「チッ!めんどくせーな。」


「終わったら草取りもあるから。バイト君頑張ってねー♪」


「…わーったよ」


こうしてコハクは暗くなるまで働いた。

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